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Beを大事にするケア

こんにちは、絵を描く総合診療医、春カルボナーラ(はるカルボナーラ)です^^♪

今日は、私が普段行っている「総合診療」に関連して医療面接で大切にしているコミュニケーションの視点から深掘りしたいと思います。

DoとBeとは?~Voicyパーソナリティーの小松先生から学んだこと~

みなさん、病院での診察ときいて、どんな場面をイメージするでしょうか?医師と話とするのは緊張する、という人も多いのはないでしょうか。

私が普段の診療で心がけていることは、Be(今、ここに在るあなた)を大事にするケアです。

先日、DoとBeについて、環境音響家でVoicyパーソナリティーの小松正史先生が1月6日の放送で取り上げており、大変勉強になりました。放送では、勉強家の兼松さんが提唱されるDoとBeについてお話しされていました。

海に浮かぶ島に例えると、do表面からみえる島(自分の仕事)、be島の下にあるマグマ(自分が本当に好きなこと)という捉え方です。
この枠組みは、医師・患者関係のコミュニケーションを考える上でも、相手への理解を深める手法として分かりやすいと感じました。

小松先生のVoicyの放送はこちら。


兼松さんの記事はこちらをご覧ください。
「勉強家兼松佳宏に聞く部下を成長させる方法」https://xtech.mec.co.jp/articles/1664


患者さんのDoとBeとは?

DoよりBeを大事にするケア、というのは、私の持論なのですが、勉強家兼松さんが提唱されるDoとBeにもつながると思い、言語化してみたいと思います。

では、患者さんのDoとBeとは?

Doが症状とすると、Beは症状の背景にある思いや価値観なのではないかと思います。

症状の背景にある思いや価値観のことを医学用語では、解釈モデルと呼んでいます。医学部では、医療面接の試験で解釈モデルのことを習いますが、実際の診療現場では、病気の診断・治療が優先されて、症状の背景にある思いや価値観がなおざりになれることも少なくありません。

Do(症状の原因となる問題、疾患は何か?どんな治療をするか?)が医療の中心となっているんです。もちろん、病気を治すこと(Cure)はとても重要です。けれども、Cureの視点だけでは行き詰まることもあるため、Care(日常を支えていくケア)も大事になります。

Do(症状)の下にあるBe(真のつらさ、困り事)に寄り添う診療

「検査で異常がないのは分かりました。じゃあ、この症状はどうすればいいんですか?」
「病気の状態は理解しました。でも、これからの生活が不安です」
総合診療科の診察室では、そんな患者がいらっしゃることも少なくありません。

語弊を恐れず伝えるなら、総合診療科では言いません。

総合診療科では、そのような場合でも、「これは、私の専門分野ではありません」とは言いません。これは先輩から教えてもらったことですが、
「全てを治すことはできないけれど、何でも相談できる場所」
それが総合診療科です。

「生活でどんなことがお困りですか?少しでも症状が楽になるよう、一緒に考えていきましょう」

「ご家族として、ご不安なことはどんなことですか?体調や暮らしを整えられるようサポートしていきますね」

そんなふうに寄り添い、Do(症状)の下にあるBe(真のつらさ、困り事)に寄り添っていきます。

何でも検査で調べられるからこそ、人と人として向き合う診療を大切にしていきたいと日々感じています。

最後に

目の前にいるあなたの思うこと、感じること、これまでの人生のこと、生活の心配事など、「いま、ここ」に焦点を当てて向き合うことが、Be(今、ここに在るあなた)を大事にする診療ではないかと考えます。
これは、医療の原点となるコミュニケーションであり、聴くことのスペシャリストである総合診療医の専門性でもあると思います。

たとえ症状がゼロにならなくても、病気の原因が100%分からなくても、
真のつらさを共有し、それが少しでも和らぐよう対話を重ね、ケアを続けることで、居心地の良さや安心感を得られるのではないでしょうか。

まだまだ医師として未熟ですが、Beに寄り添う総合診療医で在りたいと思います。

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