見出し画像

【崩スタ考察】ホタルの必要性、説明不足、そして違和感について


 こんにちは。今回の記事では「ホタル」というキャラクターについて、気になった点や作中で果たそうとした役割について考察していきます。最初に明言しておくこととして、筆者は明確にホタルに批判的な立場を取っています。できる限り客観的な視点からホタルというキャラクターを批判するつもりではありますが、ホタル推しの方には不愉快に思われるであろう内容が多々含まれます
 自分はホタルに批判的な方はもちろん、ホタル推しの方ほどこの記事を読み、本当にホタルが推すに値するキャラなのか考えていただきたいと思っていますが、その点はご注意ください。
 1章はあらすじを確認するだけなので飛ばして問題有りません。また崩壊スターレイルver2.0~2.3までのネタバレを大量に含みますので重ねてご注意ください。

1.ホタルについてのおさらい
(登場シーンとストーリーでの行動まとめ)

 改めて確認しておくと、ホタルはかつて存在したグラモス共和国の人造兵士の生き残りです。兵士が他勢力に渡らないよう、「ロストエントロピー症候群」という致命的な病を患っており、「生きること」「ホタルとして死ぬこと」に強いこだわりを持ちます
 グラモスが崩壊した後は星核ハンターに所属し、冷酷な機械兵士の「星核ハンター」サムとして97億2300万信用ポイントの莫大な懸賞金をかけられている(カフカは109億、刃は81億、銀狼は51億)凶悪犯でもあります。

2.0と2.1の内容 

 次にホタルの行動についても振り返りましょう。ホタルの初登場は開拓者のピノコニー入場直後です。ホタルはハウンド家に疑われて追われており、開拓者に助けを求めます。「保安官」ギャラガーの介入によって密航者の疑いが晴れたあと、開拓者とホタルはデートを楽しみました。
 密航者・ロストエントロピー症候群という重大な秘密を打ち明けたのち、二人はツーショットを取りました。この箇所は印象に残っている方も多いでしょう。

ここは切り取った人も多いはず

 しかし楽しい時間は花火によって終わり、目覚めると全く雰囲気の違う夢境でした。ホタルは記憶域ミーム「死へ向かうのは何物」(以後ミーム)に捕まるものの、ブラックスワンの介入で一度は助かります。

 開拓者は現実のピノコニーで目を覚まし、スワンにピノコニーの美しい夢が「沈没」していることを伝えられます。その後、ヴェルト経由で銀郎のメッセージに従い、スワンと夢境ホテルに入ると黄泉に会います。
 ホタルが夢境で活動していた痕跡を発見して追跡するとホタルがミームに殺害される現場に遭遇したのでした。

 ミームはすぐに逃亡し、スワン、黄泉とホタルの痕跡を探索しているとサムに遭遇します。黄泉とサムが戦うなか主人公はスワンに転送され、アベンチュリンと会談します。
一方、黄泉とサムの会話では
・サムは開拓者に殺意が無くメモキーパーと黄泉を追い払いたかった
・サムの運命の台本にはいつも数行しか書かれていない
・今回の指示は「星穹列車に共に『大いなる遺産』を追わせること」のみ
・黄泉はサムの中身がわかり、助けられるかもしれない
・サムには夢を見る機能が無い
ことが述べられました。

2人ともかっこよくて好き

2.2の内容

 時間は飛んでアベンチュリン戦後、アベンチュリンと黄泉の戦闘の余波に巻き込まれた開拓者は真の夢境でサムに遭遇し
・サム=ホタルである
・本来はホタルが1回目に殺された所でカミングアウトするつもりだった
・ミームに殺された後、夢境の一層下の「流刑の地」にたどり着いた
・情報共有のため夢境ホテルに戻ったが、黄泉,スワンに邪魔された
・黄泉の斬撃でピノコニーの表層と深層が繋がった結果会えた
ことを伝えます。
 刃との短い回想ののち、場面転換でヴェルトと合流します。

このシーンについては後述

 ホタルから事情を聞いたあと、ロビン、サンデー、ギャラガーと合流して全員が揃います。ピノコニーの過去を語ったり「夢の主」ゴフェルに対抗することを確認し、ヴェルト、サンデー、ロビンは「夢の主」に交渉しに向かいます。残りのメンバーは「星核」に影響を与え、不安定にして交渉を有利に進めようとしますが、ピノコニー大劇場は警戒厳重で簡単に近づけません。そこで「スラーダTMセレモニーオーディション」に参加し、参加者として大劇場に入ることにしました。

最近株があがったおもしれー男
選択次第で戦闘を回避できたらしい

 優勝して劇場に入ると真の黒幕だったサンデーが待ち構えていました。
現実世界を諦めるて夢境での安全で平和な生活を主張するサンデーに対し、ホタルは
・苦痛に打ち勝てない「幸せ」は「逃避」である
・自分が自分のために選択するのは生来の権利である
・自分のような弱者であっても決定権は自分にあってサンデーには無い
と返します

ここはツイッターでも結構突っ込まれていた所

 ホタルは自分が二回目の死を経験すれば、ピノコニーが秩序に完全に支配されることを防げるとして「もう一つの戦場」に向かいます。
 ここで回想が入り、死という結果自体は決まっているが、どういう過程で死ぬのかによって大きく意味は違うこと。今は「星核ハンター」というラベルが墓石に刻まれているが、いずれ「ホタル」として死にたいと語ります。ここからピノコニーのラストですが、本筋に関係ないので省略。
 補足すると、終盤にてホタルが夢から覚めて「秩序」の残党の情報を集め、代償として「死」んだことが黄泉から語られています。

2.3の内容

 ホタルは銀狼と話したのち、自由時間でジェイドの経営する「ポーンショップ・ヒスイ」を訪れます。「生きたい」と望むホタルに対し、ジェイドは同等の価値を差し出せないと拒否。しかし強い渇望を持つホタルを同類として興味があり、ジェイド個人として「星核ハンター」を招待しました。

 ホタルは開拓者と合流し、「アイリス家の役者」だと嘘を吐いたことを謝った後、しばし会話を楽しんで別れます。

 調和セレモニーの最中、花火の爆弾回収が始まるとホタルはこれが「三度目の死の前兆」であると話します。そして、常人には到達困難な「原始の記憶域」に爆弾を運び、被害を減らすため飛び立ちます。
 すると突然空が花火に覆われ、二人は宙を舞い、他のメンバーは空を見上げるのでした。

?????
 

 花火によれば、爆発騒動はホタルの「3度目の死」の予定を安全に処理するため茶番とのこと。依頼人は明言こそ無いですが、列車組以外でホタルの味方となると、おそらく銀狼ではないでしょうか。 

2.ホタルというキャラクター

そもそも…ホタルは本当に必要なの?

 ピノコニーのストーリーでは、ホタルは「必要不可欠だった」と言える役割がわかりやすい形でプレイヤーに提示されていません。
 アベンチュリンは夢中で死んでカンパニーをピノコニーに介入させ、黄泉は虚無の使令として、またブラックスワンはメモキーパーの能力を生かして主人公たちを「秩序」の夢から覚まし、ブートヒルは巡海レンジャーのメンバーを呼び込んで「秩序」の夢を揺るがしました。
 しかしホタルにはそういう分かりやすい役割がありません。星穹列車に時計屋の遺産を追わせるのがホタルの目的ですが、そもそもギャラガーが星穹列車を招待したので、何もしなくてもギャラガー側がコンタクトを取り、時計屋の遺産を追うように事情を話すはずです(というかホタルと最初に出会った地点にギャラガーが居たのは…と邪推している)。
 「二度目の死」はホタル唯一と言ってもいい大事な働きですが、詳細が不明な上選択肢次第では必要な情報が開示されず、一部のプレイヤーには必要性がわからなくなっています(詳しくは最後の補足参照)。戦闘の仕様的なことを言えば「ハルモニア聖歌隊」ディエス・ドミニは靭性撃破が大事なボスなので、さぞホタルは活躍できたでしょうに最終決戦に参加していません
 他にホタルがした行動と言えばデート,ギャラガーとサンデーを案内する,一緒にオーディションを受けると言った些末なもの。2.3の茶番に至ってはホタルが居なければ爆弾騒動は起きず、むしろ平和だったと言えます。

 もちろんホタルが居なければストーリーはかなり変化します。安易に居なくなっても問題ないと言うことはできませんが、他のキャラクターのような明確な必要性を与えてあげられなかったのはシナリオライターの落ち度でしょう。

 こうは言うものの、キャラに魅力があれば不要でも良いんです。構成上はキャラの重要度と出番が正比例するのが美しいですが、好きなキャラにはたくさん出て欲しいのも人情。例えばアベンチュリンも2.1のかなりの尺を占めていて掘り下げ過剰感がありますが、アベンチュリンというキャラクターを魅力的に描写していたのであまり問題だとは思っていません。

行動原理が意味不明/説得力が無い

 これが最大の問題です。ホタルの行動は矛盾が多く、数少ない納得できる部分も描写が少なくて筆者には説得力を感じれませんでした(ここは主観)。
 ホタルは普通の生活に憧れていると随所で語る一方で星核ハンターに所属しています。「ホタル」として普通に暮らしたいのに、その努力の痕跡が全然見えません。なぜ星核ハンターとして「サム」を名乗り、「ホタル」と名乗らないのか。好意的に解釈すれば星核ハンターはあくまで腰掛け、「ホタル」として死ぬための過程なので、仮初め名前「サム」を名乗っているという見方もできます。しかし結局ユーザーの勝手な推測でしかありません。 
 ちゃんと描写しろよ公式!グラモスのMV作ったり「三度目の死()」PV撮る暇あったら内面描写をもっとやれ!(お気持ち表明)
 
そもそも、なぜ一大犯罪組織の星核ハンターに所属しているのでしょう。ホタルは持病で通常の生活が送れないにしても短時間であれば生身の活動が可能、サム形態で生活することも出来るはずです(バーベキューできる程度の器用さがあると明言されているので)。少なくとも、犯罪組織に加担するよりははるかにマシな一生が送れるはずです。

キャラストの部分に動機らしきものが書かれているが、情報が少なくて何もわからない

 可能性としてはホタルが望む最期をエリオの台本が強力にサポートしている、あるいは主人公や星核ハンターの面々が好きなどの理由が考えられますが、描写が無い!仕事しろホヨバース!(再度のお気持ち表明)

 主人公と言えば、ホタルは主人公への好感度がやたら高く、距離感が近いです。これは恐らく主人公がかつて星核ハンターに所属ないし同行していたからで、カフカ同行任務の情報やアチーブメント「古い友人、新しい友人」の存在からかなり信憑性の高い推測なのですが、過去の開拓者とホタルが仲良くしていた描写は管見の限りありません。
 なのでホタル側の好意に説得力が薄く共感できない、またホタルが対人関係で距離感を図れない一種のコミュ障に見えてしまう問題が発生しています。

 本来こういった内面描写は本編はもちろんショートアニメや紀行PV、キャラストで補完していくものなのですが、ストーリーはもちろん、ショートアニメと紀行PV、キャラストはルーツのグラモス時代を強調して「星核ハンター」ホタルとなった動機を一切語らない。視聴者(というか筆者)が一番欲しい情報を公開していません。

 参考までにPV2本のURLを貼っておきます。ここまで読んでくださった方なら、このPVがエモーショナルなようで、その実大事な情報に欠けているとご理解いただけるでしょう。
 どうしてこんな虚無と矛盾まみれのキャラクターが生まれたんですか?
ホタルはピノコニー編の主人公とボスの思想的対立を補強するために作られ、失敗したのだと筆者は考えています。

なぜホタルは生まれたのか

 結論から言えば、ホタルは「列車組とは対になる、弱者としてサンデーを否定するキャラクター」です。
 グラモスのルーツが強調されるのはホタルの哀れな出自を強調するため、展開上重要な働きをほぼしないのは思想描写に尺を割きすぎたからと思われます。
 ホタルはストーリー上で「弱者」として描写されています。最初に「なぜ生命体は眠るのか?」に対して「目を覚ますのが怖いから」と後で否定される解答をして弱みを見せていますし、サンデーとの問答でもサンデーはホタルに弱者の扱いで語り掛けます。

弱者扱いを否定しても、なぜ弱者扱いされたのかは疑問を呈していない

 ホタルが本当に「弱者」か?というのは一旦置いておき、先に対立構造を確認しておきましょう。
 サンデーの主張は一言で言えば「永遠の逃避」です。スタレ世界の宇宙は混乱、恐怖、悪意が蔓延っています。星穹列車のような実力のあるグループは脚光を浴びる一方で弱者の立場は悲惨。まさしく「空を飛ぶことを鳥の天性だと思うのは、地に落ちて死んだ鳥を見たことが無いから」です。そこでサンデーは人々をピノコニーに閉じ込め、永遠に甘い夢を見続けることでこの問題に終止符を打とうとします。独善的な考え方ではありますが、サンデーはあくまで善意と同情心が主体になっています。
ここは「秩序」の信徒として支配欲の側面が強いゴフェルとは違う所。

このツッコミはサンデーという人間を端的に表している

 一方、列車組、そして時計屋は不断の前進を主張します。
たとえナナシビトの一人が進めなくなったとしても、後輩が必ず先に進んでくれると期待して前を向き続けます。

  ロビンはより強硬な立場を取っており、夢境の幸せは幻と断じて現実世界で生きるべきだと主張します。

夢からも自力で目覚めるし、本当に強い

 一方比較的サンデーに近い立場なのがホタル。彼女の言は、裏を返せば本当の弱者は庇護下に置かれても構わないとすら考えているようです。
とはいえ、一方的に弱者と決めつけ、庇護するサンデーには批判的です。

 三者微妙に異なった考えでサンデーと対決を決めたわけですが、列車組やロビンがいくら反論した所でそれは「強者」の主張、弱者救済が主眼のサンデーには響きません。しかし「弱者」のホタルがサンデーの理想を否定するなら、悲惨を飲み込みそれでも前に進もうとするなら、それはサンデーの主張に対する強烈なカウンターパンチとなり得ます。これこそホタルというキャラクターが用意された意図でしょう。
 
 また、ピノコニーはストーリーを通して「結論が決まっていても過程によって意味合いは大きく変化する」というメッセージを度々伝えてきます。

 特に刃との会話シーンは非常に示唆的です。車は自動運転で行先を変えることはできず、いずれヤペラー=死と終幕にたどり着きます。そして会話の内容も「生き延びたいけど死を恐れてるわけじゃない」「ちゃんと自分の骨を埋める場所を選ばないと」「終わりは決して他人に定義されるものではない」と上の主張を繰り返します。
 つまり、「地に落ちた鳥であっても、後に続く鳥が飛べたなら(開拓組)/それが現実なら(ロビン)/自分で選んだ末路なら(ホタル)それは肯定すべきもの」なのです。こうしたストーリーを作るうえでもホタルというキャラクターは一見大事な役割を持っています。

ホタルは役割を果たせたのか?

 これは筆者の判断になってしまいますが、ホタルを「弱者」と呼ぶのはかなり無理があります。
 サンデーはホタルに「弱者」として語り掛け、確かに不治の病で死が約束されている彼女はある意味で「弱者」と言えます。

立場上はこのお爺ちゃんに近い

 しかし、ホタルのこれまでの描写は「弱者」のイメージからほど遠く、また「弱者」と呼ぶにはホタルはあまりに強すぎます。
 ホタルは確かにロストエントロピー症候群という病を患っていますが、病状が明確に描写されることはありません。例えばホタルと別れた後ホタルの顔が思い出せなくなるとか、体の一部が透けるといった描写があれば別でしょうが、プレイヤーが見るホタルの姿はあまりに生き生きとし過ぎています。 
 また、ホタルは宇宙に名を轟かせたグラモスの鉄騎の生き残りであり、ショートアニメでは鉄騎の中でも精鋭だったと明かされています。多くの味方を巻き添えにスウォームを殺した大爆発でも生き延びる生命力も持ち合わせています。星核ハンター「サム」としても活躍しており、各種PVや光円錐に見られる姿は「強者」でしかありません

 さらに言えばプレイアブルキャラとしては高性能、かつ自己回復を持っていて並のアタッカーよりはるかに生存能力が高いです。 ここまで強力な人間を「弱者」扱いするのは流石にシナリオ上必要だったとしても無理があると言わざるを得ません。

細かな、しかし無視できない違和感

 ところで、ホタルには違和感のある描写が散見されます。最初の出会いからして、現地人ではないホタルが秘密基地を持っているのは妙です

  サム=ホタルは単純な性格だと語られているのに、ホタル本人は隠す方が得意だと語ります。その割にサンポが登場した時は戦闘慣れを隠す気が無かったような。

 ホタルは人造人間であり、クローンなのか同輩と顔が同じに見えます。

 一方男の「サム」も確認されています。クローンならばあり得ないことで、ホヨバースはエヴァの渚を出したかったのでは?と邪推します.

 また、サムを装着したホタルは常に敬語で喋り、何らかのこだわりや規則がありそうですが、ショートアニメでは普通に喋るサムが登場します。

 またホタルの年齢について。星核ハンターの加入順はカフカ→サム→刃→銀狼であることがわかっていて、サムは古参メンバーです。

過客遺物のフレーバーテキスト

 星核ハンターが結成されたのは100琥珀紀前の星核の誕生以降でしょうから、長くとも結成して2400年のスタレ世界では比較的新しい組織です。

 具体的にサムとして何年活動しているのかはグラモスの崩壊の時期やサム、刃の加入時期がわからないため正確なことが言えませんが、星核ハンターのネームバリューや数々の実績からしても数十年では足りない期間活動しているのはほぼ確実でしょう。また、そうなると今後もそれなりの年数生きる可能性が充分にあります。長命種基準では「短い」んでしょうが。

 またWEBイベでメイクの経験が少ないというような内容を話していますが

 チャットによれば以前カフカからリップを貰ったとのこと。使い方がわからないならカフカに聞けば良く、なぜリップに馴れていないのか。

 もちろん、こういった設定の一つ一つは説明を付けられます。秘密基地はとっさに言いつくろったもの、「隠す」方が得意なのはあくまでホタルの主観的評価、クローンの素体は複数あり、冷徹なサムの口調すら乱れる程の緊急事態の表現、サムが加入したのはごく最近で、「毎日」しないだけでリップ自体は使っていた。しかし、こういう違和感のある設定がポロポロ出てくるのはキャラクター造形として質が低いですし、筆者は違和感を覚えずにはいられませんでした。

サムとホタル

 星核ハンターサムとホタルは全く違う性格のキャラに描かれてきました。
サムが寡黙で冷酷で大柄な機械なのに対し、ホタルはお喋りで温和で小柄な美少女です。また、サムは命令を遵守する側面が強調されている一方、ホタルは開拓者のため台本に逆らう情に流されやすいキャラです。サムとホタルが同一人物だとするなら、なぜ全く違う振舞いをしていたのか?という説明が絶対に必要なのです。
 例えば「真面目な人物が実は猫好きだった」こういうギャップは説明の必要がありません。真面目と猫好きは同居しうる属性だからです。しかし「真面目な人物が実は泥棒だった」このギャップには説明が必要です。真面目という属性は泥棒を否定するので、「金に困っていた」「真面目さは偽装だった」といった対立を解消する説明が必要なのです。そうでないと読み手はキャラクターの評価が出来なくなります。
 振り返ってホタルを見ると、この類の説明がほぼなされていません。一応サムはホタルの演技だと語っていますが、演技の理由までは説明していません。もちろんグラモスの軍紀だったとか、「サム」としての自分を嫌ってあえて口調を変え、分離を図っているなど理由は考えつくものの、結局ユーザーの勝手な当て推量に過ぎません。
 本来真っ先に説明すべき公式が口を噤む限り問題は解決しないのです。

まとめ

 ホタルというキャラクターは一見ピノコニーの重大イベントに関わり、ラスボスとも主張的に対立する重要キャラクターのように扱われています。しかし、細かく設定を見てみると関わりは些末ないし詳細不明、主張についても説得力に欠け、細かな違和感もある欠陥のあるキャラクターです。
 なぜホタルに明白な役割を与えなかったのか、なぜ素直に「弱者」扱いできない設定(例えば、グラモスのエリートから落ちこぼれの逃亡兵に設定を変えるだけでも相当説得力は変わるでしょう)設定の齟齬を放置したのか。全く謎は尽きませんが焼き鳥氏の脳内について考えても結論は出ません。

おわりに

 本noteの内容は以上となります。本当はガチャや各種イベントなどの周辺情報についても書きたかったのですが、「お気持ち」の側面が強くなってしまうこと。またあまりに分量が多くなってしまうことから断念しました。
 末筆ながらホタル以外の崩壊スターレイルは本当に素晴らしいシナリオと巧みなバランス調整のゲームです。ホタルの一件はホヨバースに失望しましたが、それでも続けていこうと思うのでどうぞよろしくお願いします。

補足 二度目の死について

 ホタルが本当に必要なのか?という問題で、黄泉がホタルの役割を認めていたことを思い出した方も居るでしょう。

 ここでホタルが提供した情報は何だったのか?適切な選択肢を選ぶと、ホタルが「死」の向こう側に別の世界=エナの夢と現実のはざまの存在に気づき、黄泉に伝えたと語ります。
 そもそも黄泉はティエルナンとラザリナの墓参りに来たのですが、エナの夢を知っていた可能性が非常に高いです。黄泉はピノコニーに入るため「巡海レンジャー」を詐称しましたが、本物のレンジャーを呼ぶ意図もあったと後に明かされています。

 強者を集めてエナの夢を壊す案は黄泉の発案ですし、レンジャーの遺物で他のレンジャーを集められることも知っていた可能性が高いです。

黄泉は否定も肯定もしていないので、知らなかった可能性もあるが

 また「ファミリーの支配」もエナの夢を指している可能性があります。黄泉は元ピノコニーのナナシビトのラザリナ、ティエルナンと親しく、秩序の野望を知る機会があったのでしょう。

 つまり、黄泉がエナの夢を壊す手助けこそホタルの果たした必要不可欠な役割です。
 しかし、この情報は先にも述べた通り選択肢次第では表示されません。情報が無ければホタルの役割はぼやけ、必要だったのか確証できません。
 更に「二度目の死」に関しては不明点が余りに多すぎます。まずホタルが何を考えて離脱したのか不明です。強敵が目の前にいて「死」の予言があるとすれば、筆者ならその強敵と戦って「死」ぬと考えますが、ホタルには何が見えていたんでしょうか。

 わざわざ「本当の」死と誇張した表現を使った理由もわかりません。ホタルのキャラストでは夢境に入ることを「死」と呼んでいて紛らわしいのですが、夢境の出入りはエリオの言う「死」には入りません。カウントするとピノコニー入りした時点で一回「死」んだことになってしまいます。
→ピノコニーに入る際はホタルがアスデナ星系に入ったとしか言われていないので、おそらくアスデナ星系の境目(まだ惑星「ピノコニー」の範囲ではない)で「死」んだのだと思われます。つまり、入る分には「死」はカウントされず、出るときは「カウント」されるということになります。

 このように「二度目の死」についての描写は非常に曖昧かつ不親切です。

7/12 必要不可欠な働きについて、過剰な断言を訂正
7/14 ホタルの年齢についての記述を訂正
7/15 一部内容で筆者の主観的判断を客観的と誤認させる表現をしていたため訂正
7/16 ホタルの二度目の死について情報追加につき、関連の記述を訂正
7/20 「死」のカウントについての考え方を修正
7/24 ホタルの秘密基地について追記


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?