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【言葉ではなく実体をみよう】

これは「時代の風」という毎日新聞の寄稿欄(1924/6/2)に藻谷浩介さんが寄せられた文章の題です。(新聞では”実体みよう”となっていますが、割付の都合上”を”を略したのでしょう)

この「時代の風」にはいろんな方が文章を書かれていますが、必ず読むのが藻谷浩介さんと長谷川真理子さんのもの。他の方々のは読んだり、読まなかったり、無視したりです。
もちろんこのお二方の御意見に全て賛同という訳ではありませんが、意見は異なってもその基となる考え方が真っ当だから、こちらの考えに別の視点から光を当て、いろいろなことを考えせてくれます。

さて表題の文章に戻りますが、TVや新聞、そしてネットにはいろんな言葉があふれていますが、言葉だけがかるく独り歩きをしていないかということ。
「御飯論法」の首相や「”責任をもって”という無責任な言葉を振りまく」首相の国ですから、言葉が軽くなったことで国民を責めるわけにはいきません。
そういった軽い言葉に気安く振り回されないで「本当はどうなんだ」ということを見て考えようということです。

先日「消滅自治体」とか「ブラックホール自治体」と言う風のキャッチフレーズを「人口戦略会議 と称する民間団体」が発表しました。先に言ってしまえば、この団体は以前は「日本創成会議 」の名前で同じように「消滅自治体」を大袈裟に触れ廻り、アベノミクスの柱「地方創成」のバラマキの根拠を宣伝した「民間団体」です。

どこの自治体でも「お前んとこ無くなりそう」と言われれば心穏やかではありません。しかも中央官庁や有力政治家とべったりくっついていることが一目瞭然の団体が言っているわけです。
「さあどうすんべえ」と地元政治家・代議士を通じて関係官庁に情報収集とかお願いに上がるのに必死になります。
そこで官庁の頭のよい奴が「消滅自治体援助計画大綱」とか称する救済計画でも作り上げれは、事の是非を問う前に「予算を分けてください」となり、無駄な経費をさらに盛り込んで関係法案はスムースに国会を通過します。

藻谷さんの文章にリンクは次のようになっています https://mainichi.jp/articles/20240602/ddm/002/070/063000c が、毎日新聞のデジタルに登録していないと見れないと思いますので一部をコピーして添付します。(←関係者より著作権問題の指摘があれば対応いたします)。
藻谷さんによれば日本の「過密」と「過疎」の概念が非常に特殊である。日本の可住地の人口密度は1000人/k㎡を越えており、都市国家や島嶼国家を除けば、バングラディシュ、韓国に次いで世界第3位。
4位のインドや5位で欧州トップのオランダは600人/k㎡前後で、過疎の代表とされる鳥取県や高知県と同水準。過疎地の人口が今後さらに半減しても、世界の中では平均以上の密度のままである、ということです。

要するに、世界の人口密度から考えれば「日本の過疎は世界の過密」であり、東京のような超高人口密度を基準にして考えるのはおかしいということ。
世界は日本で言う「過疎」の状態で、それでも世の中はうまくまわっている、というのが実情(実体)のようです。

この例は「過疎・過密」でしたが、いろんなところで、実体の崩れかけた・失われた言葉が横行しています。TVや新聞・マスコミが仰々しく語りかけて来る時、それが指す実体とはいかなるものかを、慎重に見極めて行きましょう。


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