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それだけでいい





思わず私は叫んだ


君に告白した直後だった




友達歴そこそこ

親友以上恋人未満

そんな関係から進みたくて

今日私は一歩を踏み出した




私は前から君が好きだ

大、大、大、大、大好きなのだ

なのに……なーのーにーー

この男は、

俺に君は釣り合わないとか、

俺と君は住む世界が違うとか、

そういう事ばかり言う


違う

私が聴きたいのはそんな言葉じゃない


もう一回言う何度だって言う

私は君が好きだ大好きだ

大、大、大、大、大好きだ

ほんのちょっとでも可能性があるのなら

付き合いたい

だから、好きか嫌いか

それだけでいい

それだけでいいのに

なんで分かってくれないのよ

そして、話は最初に戻る





好きになるのに理由がいるか、と

私は思わず叫んだ

君は大きく目を見開く


釣り合うとか釣り合わないとか

住む世界が違うとか違わないとか

そんなのどうでもいい

私が聞きたいのは、

君が私を好きか嫌いかだけ

それだけなの

さあ、どっち!?



大声で息を切らして巻くしたてると

君は驚いたまま小さな声で

『好きです』と言った



その言葉に嬉しくなって

勢い良く飛びつく私と

受け止めきれなかった君は

そのまま倒れ込んでしまう


二人とも土まみれで

見つめ合う

いい歳した大人が

道の真ん中で何してんだか


ロマンチックには程遠いけど、

なんだか私と君らしくて

笑ってしまった




*******

朗読に向かないかなと思いつつ、主人公に愛情がわいたのでこちらに。

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