見出し画像

気象予報士試験 法規 気象業務法 雑則&罰則 Vol.14

気象予報士試験に出題、又は出題されそうな雑則の規定は第37条から第39条ではないでしょうか(※個人の見解です)。

(気象測器の保全)
第37条 何人も正当な理由がないのに、気象庁若しくは第6条第1項若しくは第2項の規定により技術上の基準に従ってしなければならない気象の観測を行う者が屋外に設置する気象機器又は気象、地象(地震にあっては、地震動に限る。)、津波、高潮、波浪若しくは洪水についての警報の標識を壊し、移し、その他これらの気象測器又は標識の効用を害する行為をしてはならない
(土地又は水面の立入)
第38条 気象庁長官は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気又は水象の観測を行うため必要がある場合においては、当該業務に従事する職員を国、地方公共団体又は私人が所有し、占有し、又は占用する土地又は水面に立ち入らせることができる
2 前項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた土地若しくは水面に立ち入らせる場合においては、あらかじめその旨をその所有者、占有者又は占用者に通知しなければならない。但し、これらの者に対し、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
(障害物の除去等)
第39条 気象庁長官は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気又は水象を観測するためやむを得ない必要がある場合においては、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得て、当該業務に従事する職員に、障害となる植物又はかき、さく等を伐除させることができる。
2 気象庁長官は、離島、湖沼、山林、原野又はこれらに類する場所で、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気又は水象を観測する場合において、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得ることが困難であり、且つ、当該物件の現状を著しく損傷しないときは、前項の規定にかかわらず、所有者又は占有者の承諾を得ないで、当該業務に従事する職員に、障害となる植物又はかき、さく等を伐除させることができる。この場合においては、すみやかにその旨を所有者又は占有者に通知しなければならない。

罰則

🔴3年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金、又は併科(§44)
両罰規定あり。

・第37条違反(気象測器又は警報の標識の損壊、移動、効用を害する行為)

🟡1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(§45)

  • 指定試験機関の役員・職員・試験官等が規制の対象です。詳細省略

  • 登録検定機関に対する規制もあります。詳細省略

🔴50万円以下の罰金(§46)両罰規定あり。

  • 第9条違反 観測に使用する気象測器に関する違反
          検定に合格した測器を使用しなかった。

  • 第17条第1項違反による無許可予報業務の実施
          予報業務には気象庁長官による許可が必要

  • 第19条違反 無認可で予報業務の目的又は範囲を変更した
          予報業務の目的又は範囲の変更には「認可」が必要

  • 第19条の2後段違反 気象予報士以外の者に現象の予想を行わせた

  • 第21条違反 業務の停止の命令違反

  • 第23条違反 警報を発表した(気象庁以外の者は原則できない)

  • 第26条第1項違反 無許可での気象の観測の成果の無線通信による発表

🔴30万円以下の罰金(§47)両罰規定あり。

  • 第20条の2の規定による業務改善命令の違反

  • 第38条第1項の規定による土地または水面への立ち入りを拒み、又は妨げたとき

  • 第41条第1項又は第3項の規定による報告をせず、又は虚偽報告をしたとき

  • 第41条第4項又は第6項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき

🟢20万円以下の過料

  • 第22条の規定(予報業務の休廃止)による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

  • (略)

令和4年第1回(第58回)学科一般知識 問14
罰則が適用される事例の正誤問題
(1)気象庁が観測を行っている雨量計を、土地の所有者が無断で別な場所に移設した。⭕️罰則適用あり。
👉第37条違反。3年以下の懲役又は100万円以下の罰金、又は併科。大きな罪です。

(2)予報業務の許可を受けた事業者が、検定を受けていない気圧計を用いて、当該予報業務のための気象観測を行っていた。⭕️罰則適用あり。
👉第9条違反。50万円以下の罰金。

(3)遊園地の運営者が、検定済みの気象測器を遊園地内に設置し、気温と風向・風速の観測値を最寄駅に電光掲示した際に、気象庁長官に届け出ていなかった。❌罰則なし。
👉遊園地の運営者は法6条第2項の「政府機関及び地方公共団体以外の者」に該当し、電光掲示板に観測値を示すことは「その成果を発表するための気象の観測」に該当するため、技術上の基準に従って気象の観測を行わなければなりません。ただ、法6条第3項に気象庁長官に届け出なくてはならず、廃止した時も同様に届け出る必要があります。
気象業務法第6条の違反については、罰則が規定されていないため、無届は、法第6条第3項に違反する行為ですが、罰則はありません


令和3年度第1回(第56回)学科一般知識 問12
罰則が適用されるか否かの正誤問題。
(1)予報業務許可事業者が、当該予報業務の目的及び範囲に係る気象庁の警報事項を予報業務の利用者に伝達することを怠った。❌罰則適用なし
👉予報業務許可事業者の警報事項の伝達は元々努力義務規定。伝達において不可抗力で実施できないこともあることに鑑み、罰則はない。

(2)気象庁長官による予報業務の改善命令を受けた予報業務許可事業者が、改善命令に違反して業務を行った。⭕️罰則適用あり。
👉30万円以下の罰金です。法47条。

(3)予報業務許可事業者が、予報業務のうち現象の予想を気象予報士以外の者に行わせた。⭕️罰則適用あり。
👉50万円以下の罰金です。法46条。

(4)予報業務許可事業者が、気象庁長官の認可を受けずに予報業務の範囲を変更して業務を行った。⭕️罰則適用あり。
👉50万円以下の罰金です。法46条。

令和2年度第1回(第54回)学科一般知識 問14
罰則の適用に関する正誤問題。
(1)地方公共団体が気象庁に届出をして使用している雨量計を、通行人が正当な理由がないのに壊した。⭕️罰則適用あり。
👉3年以下の懲役又は100万円以下の罰金、又はその併科。

(2)ある小学校が、気象庁長官の検定を受けていない風速計を校庭に設置して毎日一定の時刻に観測し、その成果を教育のために利用していた。❌罰則適用なし。
👉「教育目的」であるため、検定機器を使用する必要はなく、届出も不要。

(3)気象庁長官の命を受け、私有地で観測を行おうとした気象庁職員の立ち入りを、土地所有者が正当な理由なく拒んだ。⭕️罰則適用あり。
👉30万円以下の罰金となります。

平成29年度第2回(第49回)学科一般知識 問14
(1)地方公共団体が気象庁に届出をして使用している雨量計を、通行人が正当な理由がないのに壊した。⭕️罰則適用あり。
👉令和2年度第1回(第54回)問14(1)に同じ。

(2)気象予報士が死亡したときに、その相続人がその旨を気象庁長官に届け出ることを怠った。❌罰則適用なし。
👉違反しても罰則はありません。

(3)気象庁以外の者が自ら行った(ただし、船舶又は航空機が行う場合を除く)気象の観測の成果を、気象庁長官の許可を得ずに船舶又は航空機において受信されることを目的とした無線通信による業務発表を行った。⭕️罰則適用あり。
👉50万円以下の罰金。法46条。

(4)気象庁長官の命を受け、私有地で観測を行おうとした気象庁職員の立ち入りを、土地所有者が正当な理由なく拒んだ。⭕️罰則適用あり。
👉30万円以下の罰金。法47条。

平成26年度第1回(第42回)学科一般 問14
罰則(ただし、罰金または懲役)が適用されるかの正誤問題。
(1)地方公共団体が気象庁に届出をして使用している防災用の雨量計の設置位置を正当な理由なく移した者は処罰の対象となる。⭕️罰則(懲役または罰金)適用あり。

(2)予報許可を受けている事業者が、1年間の長期間にわたり予報業務の休止をするにあたって、休止に先立ちその許可を気象庁長官に申請しなかったときには、その事業者は処罰の対象となる。❌罰則(懲役又は罰金)の適用なし。
👉休止の場合は、休止の日から30日以内に届け出ることになっています。休止の届出を行わなかったときには、20万円以下の過料になります。過料は行政罰ですがこれを処罰ということになれば、処罰の対象となります。ただ、休止に先立ちその許可を申請しなかったということについて間違いとなります。

(3)気象予報士が死亡したときに、その旨を気象庁長官に届け出ることを怠った相続人は処罰の対象となる。❌罰則の適用なし。
👉気象業務法の規定に違反しますが、相続人に対する罰則の適用はありません。

(4)気象庁長官の命を受けて私人の私有地で観測を行おうとした気象庁職員に対して土地への立ち入りを拒んだ所有者は処罰の対象となる。⭕️罰則の適用あり。
👉但し、正当な理由なくというのが要件になります。30万円以下の罰金です。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?