見出し画像

気象予報士試験対策 学科 一般知識 エマグラム

本日はエマグラムについてです。気象予報士試験の勉強をするまで、お恥ずかしきことながら「エマグラム」を見たことはありませんでした。

気象庁ウェブサイトから引用

上の図は気象庁ウェブサイトにあります。詳細なる解説も書かれているので、詳しく勉強される方は、そちらをご覧いただければ。
まず、グラフの縦軸(y軸)は気圧を示しています。y軸の大きくなる方向は高度が高くなる方向と同じです(高度が高くなるので、気圧は下がります。このため縦軸の数字は上に行くほど小さく表示されています)。x軸と異なりy軸の値が均等になっていないのは対数表示のためです。
実技問題では、稀に気圧の表示の直下に高度をメートル表示していることもあります。
横軸(x軸)は気温を表しています。
露点温度は概ね−40℃付近以下ではグラフに記入されていません。
①、②、及び③の複雑な形をした折線以外に比較的等間隔で傾きの傾向が同じような直線・曲線があります。これについて説明します。
気象庁のウェブサイトに掲載されている(上記引用のエマグラム)では、
①ラジオゾンデによる気温の観測値
②露点温度
③湿度 を表示しています。

🟠乾燥断熱線
まず最初に、朱色で斜め45度で左に傾いている線が引かれていますが、これは乾燥断熱線です。10ケルビン毎に線が引かれています。上空に向かって数字が増えていることに気が付きましたでしょうか。上空ほど温位が高いということを示しています。
概ね1kmごとに10℃気温が下がるように引かれています。各線の単位はケルビンで示しています。この乾燥断熱線が高度1000hPaと交差するところが温位となっています。

🟢湿潤断熱線
緑色で朱色の線よりも傾きが大きく上空に向かって傾きが小さくなっている曲線があります。これは湿潤断熱線と言われるものです。10ケルビン毎に線が引かれています。低層で傾きが大きいのは、高度が上がっても気温減率が小さいことが影響しています。下層は湿潤であるため気温減率が小さかったことは昨日解説しました。他方、上空に向かうと空気は相対的に乾燥しているので気温減率が大きくなるため、エマグラムの見かけ上、上空ほど傾きが緩やかになっているように表示されています。乾燥断熱線と同じく上空に向かって数字た大きくなっているのは相当温位が上空ほど高いということを示しています。

🟣等飽和混合比線
紫色の線でこのエマグラムで最も傾きの大きい線が等飽和混合比線です。単位はg/kgです。等飽和混合比の数値が右に行くほど大きくなっている(気温が高くなるほど等飽和混合比が大きくなる)のは、飽和水蒸気圧が気温に比例するということを思い出せば納得できると思います。


エマグラムでは、空気の安定度を確認するのに大変有効な図表です。
赤の実線の気温と紫の実線の露点温度の差が小さい時は、湿度も高く空気塊は湿っています。
反対に、赤の実線と紫の実線の感覚が広いところ(例えば800hPaから500hPaの間)では、空気が乾燥していることがわかります。
反対に、この両方の線が接近している500hPa以上の上空では湿度が高いということがわかります。湿度が高くなると水蒸気が凝結して雲ができやすくなります。

空気の安定度を測るために、エマグラムを使用した作図問題が実技試験ではしばしば出題されます。このエマグラムを使用することで、雲ができる場合の雲底高度(持ち上げ凝結高度ともいいます)や雲頂高度(ゼロ浮力高度又は中立浮力高度ともいいます)などもわかります

学科一般で勉強していた時には、へぇ〜雲底高度がわかるんだ、でもそれが何?という程度でした。
エマグラムでは、このほかに対流抑制(CIN)、対流凝結高度(CCL)、自由対流高度(LFC)、対流有効位置エネルギー(CAPE)と覚えるものが多くて、その意味することの理解が大変でしたので、通読して理解が苦しい場合には動画や対面による解説を受ける方が時間の節約になると思います。
ことエマグラムについては、教科書で理論的な勉強をするのは大切ですが、私の経験ではエマグラムを使用した実技試験問題を解いてみたことで身についた気がします。

本日はここまでとなります。
最後までお読みいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?