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気象予報士試験対策 学科一般 大気の循環、組成ほか

過去問
平成28年度第2回(第47回)
問6 放射についての正誤問題。太字部分の正誤判定。
(1)地球大気の中で地球放射を多く吸収している気体は、二酸化炭素とアルゴンである。❌
  👉「アルゴン」が間違いです。アルゴンは地球放射(赤外放射)をほとんど吸収しません。

(2)二酸化炭素には、2.5〜3μm、4〜5μmおよび15μm付近の波長領域に強い吸収帯があり、この領域は窓領域と呼ばれている。窓領域は人工衛星による雲域等の観測に役立っている。❌
  👉強い吸収帯ではなく、吸収帯ではない領域を窓領域と言います。大気中の二酸化炭素に吸収されない赤外線を気象衛星は観測しています。(窓領域は二酸化炭素による吸収が少ない波長帯です)
  cf 大気の窓:8〜12μmで対流圏での吸収がほとんどない領域です。

(3)一般に、雲頂高度が高いほど、雲頂から上向きに放射される赤外放射は多くなる

  👉雲頂高度が高くなるほど明るく映ります。雲頂高度が高いということは温度が低いということです。温度が低い=赤外放射は少ないということですから、「多くなる」ではなく「少なくなる」が正解です。

平成28年度第2回(第47回)
問10 オゾンに関する文章の穴埋め問題。
 成層圏の温度分布の形成に重要な役割を果たしているオゾンは、酸素分子の紫外線による光解離反応によって、___①___の成層圏で多く生成され、___②____とプラネタリー波によって冬半球の___③___に運ばれる。
 一方、温室効果ガスの___④_____は、オゾン層のオゾンを減少させる。

👉①低緯度
  ②ブリューワー・ドブソン循環
  ③高緯度
  ④フロン

平成28年度第2回(第47回)
問11 音質効果を持つ待機中の成分についての正誤問題。
(1)水蒸気は温室効果を持つが、その温室効果の大気全体への寄与は、現在のところ、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素などに比べて小さい。❌
 👉水蒸気の温室効果は大変大きいので問題文の記述には誤りがあります。

(2)メタンの温室効果は、同じ分子数で見ると二酸化炭素の温室効果より小さい
👉二酸化炭素と比べるとメタンの温室効果は24.5倍も高いです。
  ちなみに一酸化二窒素は二酸化炭素の320倍もあります。

(3)北半球中高緯度における大気中に二酸化炭素濃度は、冬に極小、夏に極大となる季節変動を繰り返しながら、年平均の待機中濃度は年々増加している。❌
 👉冬は植物による光合成が減るため、二酸化炭素量は増大します。他方、夏は植物による光合成により二酸化炭素濃度は減少します。

(4)大気中の二酸化炭素の年平均濃度は、北半球の方が南半球より概ね高い。⭕️
 👉二酸化炭素の発生源である人工、工業、畜産業ともに南半球よりも北半球の方が多いことが原因で、問題文は正しい記述です。

平成26年度第1回(第42回)学科一般知識
問10 成層圏の循環に関する正誤問題
(1)北半球の中高緯度の成層圏では、夏季には対流圏からプラネタリー波が伝播せず、天気図では等高度線は北極を中心とする同心円状になり、西風が卓越する。❌
 👉プラネタリー波が成層圏に伝播するのは冬季なので、「夏季には対流圏からプラネタリー波が伝播せず」は正しい記述です。
 天気図では、北半球の夏季の北極は北極上空の方が気温が高くなるため温度風の関係から(北半球では、気圧の高い方を右側に見て風が吹く)東風が卓越します。よって末尾の「西風が卓越する」が誤りです。

(2)北半球の中高緯度の成層圏では、冬季には対流圏からプラネタリー波が伝播し、天気図には等高度線の不規則な蛇行がしばしば見られる。⭕️
 👉正しい記述です。このまま覚えましょう。

(3)北半球の中高緯度の成層圏では、冬季には対流圏からのプラネタリー波の伝搬によって、北極周辺での急激な気温上昇、および高度場と風の場の大規模な変動を伴う突然昇温が起こる。⭕️
 👉成層圏突然昇温と呼ばれる現象です。このまま覚えましょう。

関連であわせてもう一つ復習
(成層圏準2年周期振動)
Quasi-biennial oscillation
赤道域の成層圏での風系が約2年周期(26月)で規則的に変動する現象のこと。
アメリカの R.J. Reed と イギリスの R.A. Ebdon により発見された。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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