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気象予報士試験対策 学科 一般知識 温帯低気圧

中緯度地方に現れて低緯度の熱を高緯度に運ぶ役割を担っています。統計的に処理された熱の運搬であるフェレル循環の役割です。

温帯低気圧の学習で重要なことは地上付近の低気圧と上空の気圧の谷との関係です。
500hPa面での気圧の谷をトラフと呼んでいます。地上低気圧の中心と500hPaのトラフを結んだ線(渦管と言います)が上空に向って西方向に傾いていると低気圧は発達します。地上低気圧の西にトラフがあればいいというのではなく、あまりにも遠い場合には地上低気圧は発達しません。
実技試験ではこの点について詳しい解答を求められる場合がありますが、学科試験の一般知識対策ではその発達の仕組みはそこまで覚えておかなくても大丈夫です。
学科試験の一般知識と専門知識を得たのちに、実技対策をしていく上で、少しずつ高度なことを学んで行った方が良いと思います。1発合格を目指すなら、学科対策の段階で深く勉強しておくことが大切ですが、分割して科目合格を目指す方法もあります。

🟢上空のトラフの東側と西側の風
上空のトラフの西側には温度場の谷(サーマルトラフ)があります。トラフの西側では北西風で寒気移流。トラフの東側では温度場の尾根(サーマルリッジ)があり、南西風の暖気移流。
 学科試験では等高度線と等温線のそれぞれの谷の位置関係について問われる問題が出ていました。前段落を覚えておけば得点できます。

🟢温帯低気圧の発達の元 エネルギー
 温帯低気圧は南北方向の気温傾度が大きいところで発生します。高緯度側にある冷たい空気と低緯度側の暖かい空気の境(ある意味前線ですね)で、低緯度側の熱を高緯度側に運搬しようとする空気の流れで発生します。北半球ではコリオリ力の影響を受けて反時計回りの風により低気圧中心の東側では南寄りの風が、西側では北寄りの風が吹くようになります。
 冷たい高緯度側の空気は南下して暖気の下に潜り込もうとし(寒冷前線の動きと同じですね)、暖かい低緯度側の空気は北上して寒気の上に乗り上げようとします。
 空気の安定のところで記述したとおり、空気は冷たい空気が下に、暖かい空気が上に昇ことで安定します。この空気の安定しようとする流れの影響を受けて、エネルギー保存の法則により風が吹き、天気が荒れます。
 温帯低気圧の発達では低温で密度の大きい寒気が下層に、高温で密度の小さい暖気が上層に移動することで位置エネルギーが減少しますが、エネルギー保存の法則によって減少した位置エネルギー分は運動エネルギーになります。このエネルギーによって風が強く吹きます。前段落で天気が荒れると言ったのはそう言うことです。
このエネルギーが温帯低気圧の発達に寄与しています。

🟢温帯低気圧の盛衰
 冷たい空気と暖かい空気が接してその温度傾度が大きくなり(等温線の集中帯が見られるようになる)ある限界を超えるとその前線上に波動が生じて低気圧が発生します。
 気象衛星写真の雲の画像ではリーフクラウドと呼ばれる中層雲と下層雲の雲ができます。
地上の低気圧の中心の西側上空に上層の気圧の谷がある場合には低気圧は発達します。
冒頭記述した通り、渦管が上層に向かって西に傾いていれば低気圧が発達を続けます。
 気象衛星写真の雲の画像ではバルジと呼ばれる北方向に膨らんだ厚い雲ができます。
 上層の気圧の谷(トラフと言います)が地上低気圧に接近してくると地上低気圧の前面では暖気移流と上昇流が強まり、地上低気圧の後面では寒気移流を下降流が強まります(温暖前線と寒冷前線ができます)。
 地上の低気圧よりも上層のトラフの方が進むスピードが速いため上層のトラフが追いついてきます。渦管の傾きが鉛直方向に近づく頃が地上の低気圧の発達の程度は最盛期を迎えます。気象衛星写真の雲の画像ではドライスロットが写り、低気圧が閉塞に入りつつあることが観測されます。
 渦管の傾きが鉛直になる頃、低気圧は衰弱に向かいます。気象衛星写真の雲の画像では低気圧中心付近の雲は雲頂高度が下がり下層雲が分布するようになります。
 ※気象衛星の画像解析は別の機会に。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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