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ビジネスマンのための「世界の宗教」

みなさんどうもこんにちは
ビジネスマインドチャンネルです。

今回は、國學院大学神道文化学部教授の井上 順孝氏の著書、
90分でわかる! ビジネスマンのための「世界の宗教」超入門
について解説していきます。

それではさっそく本書の要点を3つお伝えしていきます。

要点1
世界の人々の中で、宗教は生活にも政治にも深いかかわりをもつことが多い。

要点2
これからのグローバル社会を生きていくために、自国および他国の宗教や慣習について理解を深めておくことは大切だ。

要点3
本書の各章では、日本の宗教の概要をはじめとして、ユダヤ教、キリスト教、イスラム、インドの宗教文化、上座仏教、東アジアの宗教について、それぞれ成り立ちや歴史、教派の違い、教え、生活習慣、タブーなどについて、基本的な事項がまとめられている。

たしかに我々日本人は宗教についての馴染みが薄く、グローバル社会では恥をかくことが多いですね。
深堀していくので最低限の知識を身に付けましょう。


チャプター1! 日本人として、宗教を知る

日本での暮らしの中で、宗教について改めて考える機会は少ないかもしれないが、世界的に見ると多くの人が何らかの信仰を持ち、日常生活と宗教、政治と宗教が深く結びついていることは決して珍しくない。
グローバル化が進む昨今、相手の文化や価値観を理解するにあたり、その背景となる信仰の歴史や特徴について知っておくことは、コミュニケーションの一助となるだろう。

世界の宗教について見ていく前に、日本の宗教について概要をおさえておこう。日本人は「無宗教」と自覚している人が多いかもしれないが、寺の檀家になっている人や、神社に参拝に行く人の数は非常に多い。
実際に信仰をもち宗教行動をしている人は全体の2~3割と考えられるが、日本社会には慣例としての宗教的儀礼が根付いているといえる。初詣や節分といった年中行事、七五三などの人生儀礼、地鎮祭などの生業儀礼、お盆やお彼岸といった先祖供養なども、生活の一部として自然に行われている。

日本の宗教で人口が多いのは、神道と仏教だ。神道では宗教法人である神社は約8万社あり、天照大神、八幡神、稲荷神などの「祭神」と呼ばれる神が祀られている。
神社は地域とのつながりも強く、神社のある土地の信者を氏子と呼ぶ。神社の祭は大切なものとされ、氏子を中心に運営される。また、定期的に神社の社殿を新しく造りかえることを遷宮といい、伊勢神宮の20年に1度の式年遷宮などが有名である。

仏教には現在主に13の宗派があるが、大別すると奈良仏教(法相宗、華厳宗、律宗)、密教系(天台宗、真言宗)、浄土系(浄土宗、浄土真宗、時宗、融通念仏宗)、日蓮系(日蓮宗)、禅系(臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)と分けられる。
最も檀家が多いのは浄土系である。それぞれの宗派によって本尊や教えが違っており、特徴がある。
江戸時代の檀家制度(仏教系の寺院の檀家でなければ戸籍が認められない)の名残により、現在も葬儀や年忌法要は仏教式で行うという家がほとんどだ。

神社と寺院は、江戸時代までは神仏習合状態だったが、明治時代になると神仏分離が進んだ。僧侶の肉食妻帯が許可されたり、神社は「国家の宗祀」とされたりしたのもこの頃である。第二次世界大戦に敗戦すると、神社は特別な地位を失う。

政教分離、信教の自由が憲法に明記され、新しい宗教教団が多数設立されるようになった。

私自身は宗教についての見聞が全くないので、
仏教だけでもこんなにあるんだなーと驚きました。
私みたいな方も多いと思いますので、次は世界の宗教について見ていきます!

チャプター2!世界に散らばる民族宗教、ユダヤ教

ユダヤ教は、ユダヤ人と呼ばれる人たちが信仰する民族宗教である。
ユダヤ人は各地に離散して暮らすディアスポラの民であるため、それぞれの地域でユダヤ教も多様に発展した。
世界にいるユダヤ人約1500万人のうち、約5割が米国、約3割がイスラエルに居住しており、そのほかフランス、カナダ、イギリス、アルゼンチン、ウクライナ、ブラジル、南アフリカなどにも住む。

ヨーロッパなどにおいて迫害を受けてきた歴史があるため米国に住むユダヤ人が多く、ニューヨークを中心とする経済界でも活躍している。
ひと言にユダヤ教と言ってもその潮流はさまざまで、改革派、正統派、保守派など、ユダヤ教の教えをどのように守っているかの価値観の違いによって分かれている。

ユダヤ教徒が集まる会堂はシナゴーグと呼ばれ、礼拝のほか学習や交流の場としても使われる、信者にとって大切な場所だ。礼拝で説教をする人はラビと呼ばれ、ユダヤ教について専門的な知識をもっている。

ユダヤ教の教えとして代表的なものに「十戒」がある。ここには、唯一神を信仰すること、神の名を唱えてはいけないことなどが示されている。ユダヤ教徒は安息日である土曜日は仕事をしてはならないという教えがあり、前日からその準備に追われる場合もあることに留意したい。

また、食についてもきまりがあり、ユダヤ教のきまりにのっとったものを「コーシェル」という。牛や鳥は食べるが豚は食べない、うろこのある魚は食べるがうろこのないうなぎは食べないなどのほか、同じ食材であっても調理法にもきまりがある場合があるので気をつけたい。

食事の決まりなど、日本ではほとんど馴染みのない文化なので注意が必要ですね。
お次はキリスト教です。

チャプター3!キリスト教 ~カトリック・オーソドックス~

キリスト教のカトリックは、ラテン・アメリカ、ポーランド、フィリピンなどを中心に、世界の人口の6分の1を信者にもつ。オーソドックス(正教)は11世紀にカトリックから分裂したもので、ルーマニアなどに多い。国や民族ごとに教会組織があり、「ギリシャ正教会」「日本ハリストス正教会」などの名前をもつ。信者は世界の人口の3%ほどだ。

カトリックとオーソドックスはその組織のあり方に違いがあり、各教区の司教の上に最高責任者・ローマ教皇がいるのがカトリック、各教区に主教はいるが、ローマ教皇のような最高責任者がいないのがオーソドックスである。そのほか、礼拝で使われる言語や、祈りを捧げる対象がカトリックはマリア立像や十字架にかけられたイエス像、オーソドックスはイコンと呼ばれる平面に描かれた像であるなどの違いもある。

一方、その教えについては共通する部分も多い。
神は唯一神であるが、「父(神)」「子(イエス)」「聖霊(人に込められた、神の息吹)」という三つのペルソナがあるという考え(三位一体)、神は人間の姿で現れるという考え(受肉)、目に見えるかたちで神の恵みを受けること(サクラメント)、などである。
クリスマスや復活祭(イースター)が行事として大切にされていることも共通している。隣人愛の精神に基づき、社会福祉活動も盛んである。

チャプター4!キリスト教 ~プロテスタント~

プロテスタントは、16世紀にカトリックから分かれたキリスト教の新しい流れで、新約聖書の教えに従うという信条をもつ。
北ドイツ、北欧から米国やカナダへも広がったルター派と、フランス・スイスで主に活動するカルヴァン派のほか、さまざまな派に分かれている。プロテスタントにはカトリックのように教皇のような立場はなく、教派ごとに各々が独立した活動をする。

カトリックの神父は独身であるのに対し、プロテスタントの牧師は結婚してもよく、また女性の牧師がいることも特徴だ。カトリックのような祈りのための像はない。また、その教えにおいてカトリックと大きく違う点は3つある。儀礼に参加することよりも内面の信仰心が重要であるとする「信仰義認」、伝承よりも聖書に書かれていることが重要だとする「聖書主義」、洗礼を受ければ誰でも祭司となる権利をもつとする「万人祭司主義」である。

教派によって特徴のある教えとしては、ルター派の「ベルーフ(仕事は神によって与えられたものとする考え)」や、カルヴァン派の「予定説(人類はやがて終末を迎え、最後の審判を受けるという考え)」などがある。このような教えが、勤勉な生活を送ったり、慈善活動を行ったりといった行動に結びついていると考えられる。

イギリスは16世紀後半に、政治的理由からカトリックを離れ、英国国教会という独自のプロテスタント教派を作った。18世紀になると、英国国教会からメソジストという教派が分かれて形成された。メソジストは野外で演説、布教活動するのが特徴だ。英国国教会、メソジストともに、日本で相次いで大学を設立している。

また米国においては、17世紀に英国国教会のありかたに疑問をもつ人たちにより、バプテスト派という新しい教派がうまれた。米国は半数以上がプロテスタントの信者であり、米国の大統領にもプロテスタントが多いのが特徴だ。米国の核を築いてきた人たちの民族的・宗教的背景を表す「ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント」という言葉にもその影響力の強さが表れている。

イギリス、米国ともに、19世紀から20世紀にかけて、救世軍、キリスト教科学(クリスチャン・サイエンス)、末日教徒イエス・キリスト教会(モルモン教)、エホバの証人(ものみの塔)など新しい教団も次々と作られている。

キリスト教も宗派や教えの違いがたくさんありますね。
ビジネスマンとしての教養を深めるには最低限の知識は押さえておきたいです!
次はイスラム教に移ります。

チャプター5!戒律を守る、イスラム教

イスラム教は7世紀にアラビア半島のメッカでムハンマドが神の啓示を受けたとして誕生した。信者は推定で15億人、実に世界の5~6人に一人が信者であると考えられている。アラブや中東の国ではイスラム教徒の割合が高いほか、人口としてはインドネシア、インド、パキスタン、バングラデシュ、トルコ、イラン、エジプト、ナイジェリアなどもかなりの大きさだ。イスラム教徒のうち約9割がスンナ派である。シーア派は数は少ないもののイランを中心に強い影響力をもつ。最高責任者や指導者のような立場の者はいないが、ウラマーと呼ばれる宗教に関しての学問の専門家や、スーフィーと呼ばれ聖者として崇められることもある神秘主義の修行者が人々をまとめることもある。

イスラムの教えの基本は「六信五行」である。六信とは、唯一神(アッラー)をはじめ、神に仕える天使、神の言葉を預かる預言者など、信じるべき六つをまとめたもの。五行とは、信者が実践するべき宗教行動五つで、信仰告白(自分の信仰を声に出して唱える)、喜捨(富をもつものが、もたない者に分け与える)のほか、断食、礼拝、巡礼がある。

断食は、イスラム暦でのラマダーン月の30日間、日の出から日没まで飲食を断つことだ。日没後は最初の食事をとり、夜は祭りのように賑やかになる。礼拝は1日5回(シーア派は3回)、メッカの方角へ5分程度祈りを捧げること、巡礼は決められた期間にメッカにあるカアバ神殿に巡礼に行くハッジ巡礼というもので、原則、一生に一度行くものとされている。

イスラムの聖典は、神の言葉が書かれているとされるコーランで、声に出して読むものである。そのほか、預言者ムハンマドがとった言動を伝承し、イスラム教徒の手本とするためのハディースや、イスラム教徒の行動を法学者が解釈してまとめたイスラム法(シャリーア)などがある。

イスラム教では、アルコールや豚肉を食するのは禁じられており、調味料としての使用や調理法についても細かく定められている。イスラムの規範に合ったものを「ハラール」、合っていないものを「ハラーム」という。細かな戒律は日本人には馴染みがないものも多いが、イスラムの人口を考えるとマーケットとしては大きく、ハラール認証を取得して巨大なマーケットに進出しようという動きは増えるだろう。生活習慣では、女性は髪や顔を隠す、男性同士でもへそから膝までは人前で見せないなど日本とは異なる習慣も多い。

まとめ


本書では、今回紹介しきれなかったインドの宗教文化、上座仏教、東アジアの宗教についてもその歴史や教え、戒律などについて概要がまとめられています。
世界の宗教の概要を俯瞰して知りたいという方に、ぜひ一読をお薦めしたいです。
私は読んでいると眠くなってしまったので、夜寝る前に読むのもおすすめだったりします。

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