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これからの計画論の条件(7)メタボリズムからミチゲーションへ


7.メタボリズムからミチゲーションへ
 これまでの計画論は対象とする都市は、有機体的なモデルでいえば、成長・変化・進化するという有機体的なモデルで考えられてきました。代表的なのは60-70年代をリードしたメタボリズム論です。その思想を具現化した建築作品でいえば、黒川紀章の中銀カプセルタワーであり、カプセル型の住宅が交換・移動・流通・増殖して変化し続けることが意図されていました。都市計画においても、成長する都市をどうコントロールしていくかが基本的なテーマであり、賢く成長させていく「スマートグロース」が求められていました。
 現在の日本の都市の課題は、人口減少・高齢化にともなう中心部のシャッター商店街や、空き家空き地問題、スポンジ化といわれる住宅地の空洞化の問題であり、すなわち、成長ではなく、衰退し縮減する段階に入った有機体をどう取り扱っていくか、すなわち賢く都市をどう縮退させていくかという「スマートシュリンク」がテーマとなっています。まさに緩和「ミチゲーション」と受容「エンブレイス」のための計画論が求められているのです。
 これまでの計画論を「青春」「青年」の計画論であるとすれば、これからは「老年」の計画論となるでしょう。これまでの、必ず改革しなければならないという強迫観念はナンセンスとなり、現状維持でよしとする「介護」的な眼差しこそが必要になります。 


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