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たくわえられた蜜はもはや花のものではなく、あくまでも蜜蜂のものである

  わたしの好きな花田清輝は、フランスのヌーベルバーグのさまざまなシーンを、日本の若い映画作家たちがヒョウセツしているという非難にたいして、それは「盗用」ではなく「影響」であるとたしなめて、「モンテーニュは、あの本この本と読みちらかすことの好きなかれ自身を、花から花へととび移っていく蜜蜂にたとえ、だが、その結果、たくわえられた蜜は、もはや花のものではなく、あくまで蜜蜂のものであるといった。」という言葉を引用して、「影響を受けることを拒否することが、個性的だとおもいこんでいるような作家たちは、いつまでたっても、「自分の蜜」をたくわえることはできないだろうといいたいのだ。」*1と書いている。
 なんとなく、いろいろな本の引用と感想になりそうな、このブログの最初にふさわしい気がして引用してみました。
*1  花田清輝全集第9巻「映画ジャーナリズム論」p169

1997年飛騨高山美術館



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