神戸の電車男?No.9

2度目の手術
 2005年8月16日、第12胸椎の破裂骨折の手術を受けた。
 壊れた胸椎を摘出し、そこに私自身の肋骨を移植し、その周囲を人工椎体で補強するという大工事である。
 午前9時に開始されたオペは午後5時くらいまではかかったはずである。
私が病室に帰ったのが午後6時頃だったと聞かされた。
 術後は背中の痛みと胸腔に挿入されたドレーンの不快感に苦しんだ。
時々痰が胸に貯まって苦しくなるのだが、それを外へ出そうとして咳をすると手術の傷や摘出した肋骨の部分が痛む。
咳だけでは無く、楽しくて笑うのも怖々した風だった。
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ベッドから離れて
 2005年8月21日、術後5日目で胸腔に挿入されていたドレーンがはずされ、車椅子で移動できるようになった。
背骨の手術が終わるまでは座ることもできなかったから、その日はとても嬉しかった。
 車椅子で病室の外へ出て始めにしたのは?、……、勿論喫煙だ。
医者に言えば叱られるのだろうが、1ヶ月も禁煙していたのだから、とりあえず自分の闘病へのご褒美に、と思って数本吸った。
(美味い!)
 幸せがまた1つ手元に取り戻せたような気がした。
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リハビリ
 2005年8月22日、リハビリ室での本格的なリハビリが始まった。
「本格的」と言ったのは、2005年8月5日から、ベッド上での簡単なリハビリは始めていたからだ。
 右の大腿部の筋肉が凝り固まったようになっていて、膝の屈曲すらろくにできない。ベッド上のリハビリの段階で、膝を90度まで屈曲することができるようにまで快復していたが、90度から先が辛かった。
リハビリの先生の手で強制的に膝が曲げられるのだが、長期間の寝たきり生活で萎縮した筋肉が引っ張られる際に、激痛が走るのだ。
「おりゃぁぁ!痛たたたたたぁぁぁ!」
 って、ずっと言い続けてたような気がする。
 平行棒を手で持って、歩く練習もした。
1ヶ月寝たきりでいると歩き方みたいな生活の基本動作も忘れているようで、頭では (歩かなきゃ!)  と思っているのだが、筋肉の痛みへの恐怖から恐る恐るゆっくりとしか歩けない。
「膝を曲げて前に出して……、踵から足を下ろして、その足で踏ん張って……つぎはお尻に力を入れて、腰から前に押し出す」
 とかって先生に声を掛けてもらわないと歩けなかった。
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その後
 リハビリを始めてから1ヶ月後、私はゆっくりとではあるが、自力で歩けるようになった。
 そして、2005年9月30日、2ヶ月余に及んだ入院生活が、ようやく終わった。
 階段を上り下りするだとか、片足立ちになってズボンや下着から足を抜くだとか、布団に寝ている状態から立ち上がるだとか、…、まだまだできにくい動作もあるが、とりあえず大好きな神戸へ、家族の側へ帰ってこれたことを嬉しく思っている。

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