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「透明化するアジア人」を聴いて

voicyパーソナリティのChisaさんが、「透明化するアジア人」という題で、アカデミー賞授賞式でオスカー像を受賞したロバート・ダウニー・Jrが、オスカー像を贈呈したプレゼンターのキー・ホイ・クァンを無視した件を紹介してました。

私は事の経緯を知らなかったので、妻に聞いたところ、ロバート・ダウニー・Jrがキー・ホイ・クァンだけ無視してクァンから「私ともハグしてよ」と言い寄ってきたのにも関わらず無視した…という事みたいですね。私は即座に「それは酷い」と思い、あの小林よしのり氏の名作「戦争論」のシーンを思い出しました。

小林氏はアーロン収容所に捕虜として収容された会田雄次の「アーロン収容所」から、白人の黄色人種に対する差別心の凄まじさを紹介しています。

イギリス人は大小便中も日本人が入ってきても平気。ただ、絶対に彼ら(イギリス人)と目を合わせてはいけないそうで、反抗心の表れと思われるそうだ…(中略)
タバコを手渡したり口をきいたり絶対せず、床の上に一本落として顎で拾えとしゃくるだけらしい。
女が全裸で髪をすいてる時に(日本人捕虜が掃除をしに)部屋に入っても平然としている。むろん入ってきたのが白人だったら大騒ぎだが、日本人の時には存在を無視するのだ。つまり、サルなのだね。サルの前なら裸でも平気だと高崎山で思ったよ。
東洋人に対する彼ら(白人)の絶対的な優越感はまったく自然なもので努力しているのではない。…そう会田氏は書いている。家畜と同じだと思っているのだ。

小林よしのり著「戦争論」p142〜p143より
小林よしのり著「戦争論」より。それにしてもこの白人の表情、ムカつくというか、怖さを感じます。

更に、フランスの哲学者サルトルもアメリカが広島に原爆を落としたのを新聞で知って「ドイツの都会だったら、白人種の上にだったら彼ら(アメリカ人)も敢えてなし得ていたかどうか疑問だね。黄色人種だからね。彼らは黄色人種を忌み嫌っているんだ」と言ったので、白人の黄色人種に対する差別って本当に根深いんだな、と実感します。日本にいると分かりませんが。

小林よしのり「戦争論」より


(追記)今回のオスカー授賞式の映画の題名が、広島に落とした原爆を作るマンハッタン計画の所長、オッペンハイマーですから、なんとも運命的なものを感じます。

ロバート・ダウニー・Jrがキー・ホイ・クァンを猿と思っていたわけではないでしょうけど、クァンを無視するという態度には、白人の東洋人に対する差別心というのは決して拭えないんだな、と思いました。グローバリズムはアメリカニズムですから、この白人の差別心に我々日本人は対抗していけるのでしょうか…。

そう言えば、安倍晋三首相とトランプ大統領(共に当時)が日本でゴルフした時、安倍さんがバンカーで足を取られてすってんころりんしたのに、トランプは手を差し伸べようとしないでスタスタ無視していったのを見て、「安倍さん、ざまあないな」と思いましたが、今回のオスカー授賞式と同じ臭いを感じました。

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