見出し画像

ゲンソクJrと家族のセレクション奮闘記⚽

「セレクション受けたい」

まさに青天の霹靂とはこういうことを言うのか。

ゲンソクJrは、嫁ソクに促されこう言った「〇〇FCのセレクション受けたい」

良くも悪くも放任主義の前所属チームに親子共々嫌気が差し、年明けからチームを移ったばかりで、少年団のチームでありながら、指導者のみならずチームメイトからも的確な指示が飛び交う恵まれた環境で、まるで水を得た魚のようにプレーしていた中で驚きの意思表明。

「地域中の上手い奴らが集まるんやで?あと一緒のチームの〇〇も△△も受けるって言ってたよな?あいつらにも勝たんとあかんねんで?」

どうせ友達が受けるからとか安易な理由かなと思い諭してみる。しかし。

「挑戦してみたい。」と引き下がらないゲンソクJr。

「分かった。まだ申し込み期限まで時間あるから、それまでの練習とか試合を見て判断する。」

親父のテストが始まった。

友の予期せぬ大怪我

大きな目標ができたことは、彼のプレーを大きく変化させた。このチームで圧倒的な結果を出さないと親父は認めてくれないとでも思ったのか、新チームの公式戦デビューでの2ゴールを皮切りに親父へのアピールが始まる。

そんな中、悲劇が起こる。セレクションを受験予定で、なおかつ合格確実と言われていた同じチームの親友がその試合中、突破を試みた際に敵の足が掛かり転倒。少しの間プレーを続けたが、ずっと痛んでいる様子を案じたゲンソクJrは彼に寄り添いベンチにバツマークを送り交代を促した。検査の結果、鎖骨骨折、全治3ヶ月の重傷だった。セレクションは絶望。小学校2年生の少年にはあまりにも残酷な現実だった。

そしてこれがゲンソクJrに覚悟を決めさせる出来事になった。

5年間の集大成

申し込み期限前日。改めて意思確認。
挑戦したい意思は変わらず。なんとなく覚悟は伝わったし、何より親のせいで諦めたと思わせたくなかった。あとは何より受かっても落ちても良い経験になるだろうと思った。

あと言われてみれば最初に「挑戦したい」と言われた際に、無意識にこう反応してしまった。

「ヴィッセルの年間シートあるのに見に行けるんか?」

え?僕は息子が受かると思ってるのか?
それならとにかく背中を押すだけ。2歳から初めたサッカー、5年間の集大成となる我が家のセレクションが始まった。

セレクションスタート

重傷を負った親友の母親から病院の情報をリサーチして伝えたことに対するお礼のLINEをもらい、そのやり取りの中で、受験する意思を伝えた。母親からも温かいお言葉とともに親友からの言葉も添えられていた。

「ゲンソクJr、頑張れよ‼︎いつも通りのゲンソクJrなら絶対大丈夫だから思い切ってな‼︎ゲンソクJrは視野が広いからどんどん周りを使って、行ける時は迷わず自分でも行け!」

涙が出た。そして彼の気持ちも背負って挑もうと息子にも伝えた。

1日目

セレクションは3日にわたって開催される。嫁ソクは大袈裟にサッカーの神様が祀られている神社に参拝、絵馬、お守りと厳戒態勢。そして初日を迎える。

30名の予定から負傷した親友が減り29名の参加。そこから12〜13名を入団させる予定ということで告げられる。

現所属チームから1名、前所属チームから1名一緒に受験するということでリラックスでき、良い状態で入れた。

ただ参加者の中で明らかに1番チビなのは明らか。フィジカル系のトレーニング、特に50m走ではかなり遅れをとった。

しかしボールを扱う1対1のトレーニングから風向きが変わる。意外性のあるドリブルにその場のコーチ陣も驚く。

そしてミニゲーム、1人不参加者が出たことで1チームだけ1人少ないチーム構成。そんな中、おそらく今回のセレクション参加者で1〜2番の実力者とともにチームを牽引し全勝で終え初日は終了。

「疲れたー!友達できた!」

充実感に満ちた表情で引き上げてきた。

2日目

初日の終わりに親父なりの修正点を伝え、2日目に挑んだ。そこで嬉しいサプライズ、負傷中の親友が応援に駆け付けた。彼の勇気には尊敬の念しかなかった。

ただ初日の手応えが裏目に出てしまう。メンバー構成が変わり、ボーダーライン上のレベルぐらいの人が集められていたように感じた。その中でミニゲームでは無謀なロングシュートを繰り返し、完全にアピールは失敗に終えた。

父親として、自主練やこれまで色んなアドバイスをしてきた中で悔しい気持ちが溢れていたら、親友からJrが声をかけられる。

「あのドリブルよかったな!めっちゃうまかった!さすがや」

最終日に向けて、再度ゲンソクJrのスイッチが入った。ありがとう。

最終日

「上手い人いっぱいおるやろ?そんな中で自分を取りたいと思ってもらわなあかんねん。悔いのないように出し切ってこいよ。」

この言葉で最終日へ送り出した。

最終日ということで「この色のビブスは当確組?あの色は当落線上?」とか色んな想像をしてしまう中で、そこまで大きなインパクトを残すことなく最終日が終了。3日間の挑戦があっという間に終わった。

正直合格は厳しいかなという思いと、もし仮に受かって入団できたとしてもあのレベルの中でやるのかとか複雑な思いが巡るばかりなので、息子に尋ねてみた。

「もし受かっても厳しいなって思ってるなら断ってもいいみたいやけどどうする?どう思った?」

彼は迷いなく、「やりたい。もっと上手くなりたい。」もし受かったら彼が選んだ道を尊重しようと思った。

選考結果のお知らせ

結果はメールで3日ぐらいで通知が来るとのこと。こういうのって大体決まってて合格ならすぐ来るんやろなって思ったりしていた。

そしてセレクションから2日後にメールが届く。なんとも言えないタイミングだ。

とにかく驚いた。

娘ソクは「あんた天才じゃないの!」と言って大喜び。
ミスタイピングを疑ったが、それなら説明会の案内について記載がないはずやから、これは事実なんやろう。

外から見てきた親父より、ゲンソクJrと一緒にプレーしてきた仲間の方が見る目があったということやったんやなと思うと自然と笑けてきた。そうや、僕はそんなに高いレベルでサッカーをしたことがないんやった。

スタートライン

聞けるのであれば選んでいただいた基準を是非聞きたいと思うが、初対面でも臆することなく選手に話しかけまくって友達を作り、ずっと声を出して楽しそうにしてたのを見て、ムードメーカー枠で取ってくれたのかなと今の段階では思っておくことにしよう。

親の想像を裏切ってくれたゲンソクJr、これからどんな景色を見せてくれるんやろか。

ここからがスタート、これからも自分と仲間を信じて楽しめ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?