【原神】セノダジャレ辞典
セノのダジャレを収集した謎の辞典。原文を参照しないと理解しにくい部分については、その都度解説を加える。今後新たにセノがやらかした場合は、随時追加していく予定である。
「大マハマトラ」と「大マッハマシン」
2022年9月22日、原神公式Twitterにて以下のツイートがあった。
セノのキャラクター詳細のツイートであるが、そのツイート本文に「教令院の学者たちを監督する「大マハマトラ」。クシャレワー学院が作った『大マッハマシン』よりも効率よく仕事をこなす。」とある。この文言は他の場所においてもセノの紹介文として使用されている。
この「大マハマトラ」と「大マッハマシン」、一見何となく語感が似てるかも…くらいに思い見過ごしがちだが、原文ではれっきとしたダジャレになっている。あくまで公式視点の紹介ツイートで、セノ本人が言ったわけではないのでは?と言われそうだが、ティナリのキャラクターストーリー2にその答えがある。
誰かさんとは十中八九セノのことであろう。では肝心の原文はというと、「大マハマトラ」は「大风纪官(=大風紀官)」、「大マッハマシン」は「大风机关(=大風機関)」と表記される。
発音はそれぞれ「大风纪官」「大风机关」となり、声調を除けば音は同じで、ダジャレになっている。日本語においても、「マハマ」と「マッハマ」で、何とか掛けようとした努力の痕跡が見て取れる。
ちなみにセノはこのダジャレがお気に入りらしく、ファルザンの前でもこすったことがある。ファルザンが自身の開発した新作の機械装置の命名に悩んでいた際、セノが名前を提案した場面がある。
「出力が高い」ことと「マハマトラと繋がりを持った」という二つを理由に、大マッハマシン(原文:大風機関)はどうかと提案している。「出力が高い」の箇所は、原文では「可以掀起大风(大風を起こせる)」と表現されており、これだけで「大マッハマシン(大風機関)」という名前を提案するに十分な理由になるはずであるが、わざわざ「マハマトラと繋がりを持った」ことを第二の理由として付け足しているのはなぜかというのは、ここまで読んでいただいた方には自明だろう。
また、Ver3.5の風花祭の冒頭においても、ティナリの前で堂々とこすっている。
「ナツメヤシ」と「朝・夜」
ティナリのキャラクター紹介画像にセノのものと思われる書き置きの文が載っている。
意味深に『』で括った単語がある。日本語では「ナツメヤシ」と「朝」「夜」となっており、全く掛かっていない。原文を見てみよう。
ナツメヤシが「枣椰」で、日本語で「朝」となっていたところは「早」となっており、これは「枣椰(zǎoyē)」と「早・夜(zǎo・yè)」とを掛けたダジャレである。これに関しては、日本語からのアプローチだと全く気付きようがない。
「キャンディ」と「噛(キャ)ンデ」
(外すことはできません)
可愛さいっパイモン
「駄獣」と「妥当」
セノのキャラクターストーリー4に以下の文がある。
「駄獣」と「妥当」という2つの単語が『』で括られている。原文では「妥当」の部分は「妥」と表記されている。
これは駄獣の「駄」と、仕事を処理するという意味の办妥の「妥」を掛けたダジャレである。わざわざ「さらに付け加えた」とあるあたり、どうしても言いたいという執念を感じることができる。
こいつは楽しい試練になるかもしれん
Ver.3.2「虚空の鼓動、熾盛の劫火」予告番組 28:06〜
個性派揃いの無相たちを制覇しないとな
Ver.3.2「虚空の鼓動、熾盛の劫火」予告番組 29:17〜
一瞬分かりにくいが、「性派」と「制覇」がかかっている。
「手合わせ」と「のけ者」
ver3.2のテーマイベント「ワンダフルキノコンピック」の第五幕ストーリー終盤でもらえるセノの手紙にダジャレが潜んでいる。
原文の「想和她切磋牌技(彼女と七聖召喚の腕を磨き合いたい)」の箇所の、七聖召喚の腕前を指す表現「牌技」と、その後の「排挤」がかかっている。日本語版では、それぞれ「手合わせ」と「のけ者」の箇所あたりに相当する(日本語版には「牌技」のみに該当する表現はなく、「切磋牌技」をひっくるめて「手合わせ」と訳している)。
日本語版のみを見ても気付けないが、わざわざ「のけ者」と鍵カッコをつけているあたり、何とか気付いてくれというセノの気迫が感じられる。
スメールの強威とスメールローズ
魔神任務のスメール編をクリアすると、ティナリのボイスに「セノについて・どうしてだろう」が追加される。
そこに書かれているティナリの先生(生論派賢者ナフィスのこと)の発言により、セノが「スメールの『強威』により賢者たちの名声を取り戻すべきだ」と先生に言ったことが分かる(なぜセノがティナリ名義で見舞いに行ったのかは突っ込まない)。強威という単語にダジャレの合図の鍵カッコがあり、原文ではこの箇所は「须弥『强威』」と書かれる。
ところで、スメールローズは原文では「须弥蔷薇」と書くが、実は中国語では「强威」と「蔷薇」はどちらも発音が「qiáng wēi」で全く同じである。つまりこれは「须弥强威」と「须弥蔷薇」をかけたダジャレとなっている。
発言の趣旨は、「一連の出来事により賢者のイメージが失墜してしまったが、これから名声と威厳を取り戻して行くべきだ」的なことであり、スメールローズは関係ないが、どうしても何かと掛けた表現を入れたかったのだろう。(もしかしたら、スメールローズを持ってお見舞いに行ったことを示唆しているのかもしれない)
「結末」と「待つ」
セノは自身のボイスで、ジョーク(ダジャレ含む)について「場の雰囲気を和らげたい時があるんだが…どんなジョークで人が笑うのか、俺には分からないんだ。」と言っているが、それ以前にまず相手にそれがジョークだと気付いてもらうという壁がある。ゆえにこの一見不自然な振り仮名は非常に合理的と言える。何せ振り仮名がなければ、多くの旅人はその意図を見逃していただろうから。
この二人が顔を合わせては、アカーンルイア
Ver.3.5「風花の吐息」予告情報番組 13:42〜
ちなみに、この「アカーンルイア」は響きの良さからか、Twitterでしばらくトレンド入りするに至った。ダジャレ師冥利に尽きたことだろう。
まさに、キノコンのいキノコり(生き残り)をかけた戦いというわけだ
Ver.3.5「風花の吐息」予告情報番組 25:49〜
ヴァルベリーで、パイモンがすベリ落ちた
ver3.5の風花祭にて。
ちなみに本国版では、ヴァルベリーは原文で「落落莓」であり、これによってパイモンが「落」ちたというシャレになっているため、ほぼ文脈を崩さずに再現されている。
また、その後にパイモンがこんなことを言う。
これは、ザイトゥン桃が原文で「墩墩桃」であり、「墩墩」が「ずんぐりしている」という意味を持つことを踏まえたものである。
「コレコレイ」と「ラクラク駄獣」
先に言っておくと、これはダジャレではない。この記事の趣旨からは逸れるが、やや分かりづらいため一応収録しておく。Ver3.5の風花祭にて、以下のような場面がある。
これにセノが超速反応し、
セノは結局何が言いたいのかというのは、原文を見れば分かりやすい。
これは、先程見た「これはコレイ」のくだりの原文である。後半の「柯莱来」に注目。「对〜来说」で「〜にとっては」という意味であり、〜の部分に柯莱(コレイ)を入れて「对柯莱来说(コレイにとっては)」とした場合、「莱来」の部分が連続して同音になるという偶然が起こる。セノはこれに反応し、
「堆高高」はお肉ツミツミのことである。要するにセノは、「柯莱来」と同じように、音の組み合わせが「ABB」式の語として、「堆高高」を挙げたのである。
これは直後の、「でもテイワット大陸では、「ググプラム」のような命名のほうが多いみたいだ」のくだりの原文。ググプラムは「钩钩果」であり、「ABB」式ではなく「AAB」式の語である。
ここではセノは終始、音の組み合わせの視点から、言葉遊びを繰り返しているのである。
日本語版では「コレコレイ」の「コレコレ」に注目し、同じリズムを持つ「ラクラク駄獣」を重ねているが、その後の「ググプラム」のくだりはやや分かりにくく、「でもテイワット大陸では〜」の「でも」の逆接関係を読み解くのが困難。
コレイ、やっと「来れ」たのか
Ver3.5の風花祭にて。
ペン「フー」レンド
Ver3.5の風花祭にて。
「ウィン」と「ブルーム」
Ver3.5の風花祭にて、イベントメインストーリー終了後、キャッツテール前にいるセノに話しかけると見ることができる。
風花と、「ウィン」と「ブルーム(「勝利の花」や「運気が開花する」的な意味合いか)」を掛けている。
「偶然」と「宮」「膳」
ver3.6の学院祭にて。宮中には食膳がある意か。
「怪倒」と「怪盗」
ver3.7テーマイベント「終局!夢のような歓談」より。綺良々のお客様が怪盗だった場合、仲間に知らせる合図をどうするかを巡っての発言。
「背面・裏側」と「裏面」
同上。
「終わり方」と「尾割り方」
ver3.7テーマイベント「終局!夢のような歓談」より。「尾割り方」は「尾の割り振りの仕方」の意か。
「目配せ」と「尾配せ」
ver3.7テーマイベント「終局!夢のような歓談」より。これはダジャレとは言えないが、ダジャレだと誤解を招くような演出があったため、念の為収録しておく。
「目配せ」の尾バージョンということで、それをもじって「尾配せ」と発言している。これは別にダジャレではない。ただ、その後まるで例のダジャレを言ったかのようなリアクションを周囲が取るため、「本国ではダジャレなのかな?」と思った方もいるかもしれないが、別にそうではない。
本国でも目配せの意の「眼色」をもじって「尾色」と言っているだけで、我々の言うところのダジャレとは少し違う。
正直なところ、これは別に白けるような内容ではなく、むしろなかなか語感の良い言葉遊びのため、シャルロットが感嘆の息を漏らしたのはともかく、旅人とパイモンが呆れたようなリアクションをしたのはよく分からなかった。
「召喚」の下に隠されし「怪」
ver3.7テーマイベント「終局!夢のような歓談」より。シャルロットが恐らく記事の見出し文句を思案している最中、セノが最後の語句を提案する場面。
日本語ではダジャレになっていないが、原文では、
シャルロットの「隐于『召唤』下的…」に対し、セノが「谜「团」」と言う。
「谜团」は謎という意味の中国語だが、「团」にのみ鍵カッコがついているのは、直前の文句「召唤」と韻を踏んでいることを示すものだろう。
「晶蝶」と「象徴」
2023年誕生日メールにて。
「帽」子と「冒」涜
2023年、公式Twitterによる生誕祭ツイート。
【おまけ】ダジャレの特徴についての分析
せっかく例を収集したので、セノのダジャレの特徴をいくつかまとめてみようと思う。
まず、言うまでもなく原神は中国のゲームであるため、原則は中国語の発音で考えなければならない。日本語への翻訳の際はそのまま該当箇所が直訳されるのみで、ダジャレは再現されない。別言語への翻訳において、原文で書かれた趣旨を崩さず、文脈に矛盾が生じないようにダジャレを再現するというのは、よほどの偶然が重ならない限りは至難の業である(この点において、大マハマトラと大マッハマシンやヴァルベリーは、翻訳班の健闘と言える)。このことを考慮せずに、日本語版においてダジャレを見つけ出そうとすると、こじつけ気味の解釈が生まれたり、徒労に終わる可能性が高いだろう。
ただ例にあるように、日本語版の生放送やCMなど、日本への発信を主とした場においては、しっかりと日本語のダジャレが採用されている。また、キャンディの例のように、前後の文脈なるものがなく、独立して存在する性質のものに関しては、必ずしも原文の趣旨を忠実に反映する必要はないため、同様の処置がなされている。
ダジャレの特徴としては大きく二つある。一つは、中国語の発音において同じ音となる言葉が選ばれるわけだが、その際に声調は考慮されないということ。もう一つは、ダジャレには二つ以上の言葉が必要だが、その全てあるいは少なくとも一つには、必ず鍵カッコが付されるということである。
ダジャレの内容(面白さ)は一旦考えないとして、基本的にセノの発言や文章中に鍵カッコが出てくれば、ダジャレを疑ってよい。ただ、単なる強調の意味合いで付けられたものか、ダジャレの合図かは区別する必要がある。とは言ってもダジャレの場合、言葉選びがやや不自然になったりする傾向があるため、気付きやすい。しかしスメールローズの例のように、ダジャレを構成する言葉全てが、必ずしもその一連の文中に出てこないというケースも確認されたため、今後注意が必要である。
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