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荒瀧が披露した歌の歌詞について

はじめに

 今バージョン4.6のテーマイベント「荒瀧・生命いのちのロックイリデッセンスビッグツアー」にて、荒瀧一斗とパイモンが舞台で「ロック」を披露した。この記事は、その圧倒的歌唱力でかき消されそうになった歌詞の意味について、読解を試みようとするものである。

 まずはその歌詞の全文を掲載する。

 これだけ見てもよく分からないが、ストーリーに絡んできた狗子いぬころ商会」との関係を考えることで道筋が見えてくる。

狗子商会

 今回のストーリーで判明した重要な事実として、戦時中に「狗子商会」という組織が活動していた、というものがある。ここでいう戦とは、幕府軍と抵抗軍との争いを指す。

会場の端にある平蔵の手紙

 どうやらペットの治療や取引を生業なりわいとしていたようだ。ただ一つ怪しい点があり、活動資金が「六つの手を経て」いることである。

 「六つの手を経て」とは、「六つ段階を経由して」ということであり、大元の資金の出所がどこか分かりにくくしていたことが分かる。その後の平蔵の調査により、大元の資金源がどこかが仄めかされる。

 要するに、珊瑚宮は「一般客向け商会」その他数箇所を経由して、社奉行は「木漏茶屋こもれぢゃや」その他数箇所を経由して、それぞれ狗子商会へ資金を提供していたということである。

 その後、会場の外れで「狗子商会の収容・治療明細」を見ることができる。

 一番下に「ドヴォルザーク」という名前があることで勘付いた方も多いと思うが、これは「ペット」の治療なんかではなく、「戦争による負傷者の治療」を表向きは「ペット」として表記、記録したものである。

明細に書かれている名前について

 大郎Dalang(6歳)」は英版だと拼音ピンイン表記のため、璃月人の少年であろう。長次ちょうじ(8歳)」は世界任務「三千里の期待」に登場した少年と同一人物の可能性が高い。少年ら二人は「宝盗イタチ」として記録されており、「宝盗イタチ」は恐らく「少年」であることの暗号と思われる。これは歌の歌詞にも関わってくる。

 「コッケレルCocquerel(35歳)」はフランス語名のため、フォンテーヌ人であろう。「ドヴォルザーク(40歳)」もフォンテーヌ人であり、二人は「陸ウナギ」として記録されている。「陸ウナギ」は「フォンテーヌ人」であることの暗号かもしれない。

 「春(25歳)」に関しては同名の人物が社奉行の使用人にいる。

 明細書での「春」は、原文は「小春」、英版では「Koharu」となっており、これらの表記はこの NPCの表記と一致するため、同一人物であろう。「将軍ガニ」として記録されている。

 久住くすみ(60歳)」は稲妻人の高齢者であろう。「妖狸ようり」として記録されている。「老人」の暗号かもしれない。

 ここまでのことをまとめると、狗子いぬころ商会」は、幕府軍と抵抗軍との戦時中、密かに社奉行と珊瑚宮が互いに資金を出し合ってできた非公式慈善団体であり、戦争による負傷者を救助していた(場合によっては海外へ逃がしていた)。ただ非公式ゆえ、表向きはあくまで「ペットの治療・取引業」をよそおっており、記録上もペットとして生き物の名前で記載していた、ということである。

 そして、当時救助されたうちの一人がドヴォルザークその人であり、今回の歌詞は彼が書いたものである。

 戦争時、ドヴォルザークは稲妻の離島にいたことを本人が語っている。

歌詞の意味

 以上の事情を把握した上で、歌詞を振り返ってみよう。

「羽を たれたカラス」
戦争中に弓矢で射たれ、負傷した人。

「タヌキの化ける 松明も消え去る」
タヌキを先ほどの明細に照らして老人の暗喩だとすれば、負傷した老人が息絶える様。

「なけなし イタチさんの遺産〜」
イタチを先ほどの明細に照らして少年の暗喩と解釈する。「遺産」とか「父さんと母さんに財産を分け与えている」ということは、親より先に亡くなっているということである。

「将軍ガニ 欠けてく足」
戦争により足を失くす描写。

「陸ウナギ ボロ屋に眠り」
治療された兵が、応急でこしらえられた粗末な寝床にしている様か。陸ウナギはドヴォルザークの明細上での記録であるため、彼自身の経験が反映されているかもしれない。

「だから転生!オニカブトムシ
穢れた世界にツノで咲かせたい、赤い花を」

穢れた世界というのは無論、争いにまみれた世界。眠れる者どもよ、オニカブトムシ(勇敢の象徴)に転生し、争いのない平和な世界へとひっくり返そう、という意気込み。タイトルに「ひっくり返す」という言い回しが使われているのは、カブトムシのツノで相手をひっくり返す習性になぞらえたものだろう。

おわりに

 述べたように、狗子商会の活動は戦争に起因していたため、戦が終わればその用を終える。

 思うに、ドヴォルザークは狗子商会への恩返しがしたくて、今回のイベントを計画したのだと思われる。

当時、商会の活動をテーマに計画した音楽祭は一度頓挫とんざしている。なので今回は満を持してという感じ。

 狗子商会は秘密裏に動いていたため、事情を知っている彼は表立って当時のことを明言することはせず、犬の物語にぐうして当時の関係者にだけ分かるよう暗示した、ということだろう。犬とはもちろん「狗子商会」のことである。

犬=狗子商会、倒れてしまった動物たち=戦争による負傷者

 そして歌詞に歌われているのは、戦争という社会情勢への反骨精神、つまり「ロック」の精神である。

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