2020/04/08

千葉県の柏駅にキネマ旬報シアターというお気に入りの映画館があって、ここも明日から休館らしい。柏駅に直結する高島屋にはかなり前から映画館があって、そこが一度無くなって僕が大学生の頃に久々に復活したのがキネマ旬報シアター(元TKPシアター)だ。ここが出来たばかりの頃にキネマ旬報の社長兼支配人の清水さんが、若い学生に半年映画が無料で見れるパスを配っていて何度も通った覚えがある。今はお見かけしないので支配人も変わってしまったのかもしれない。今思うとその支配人の粋な計らいによって映画館で映画を見る事が好きになった様な気がする。大学生の頃は狂った様に映画を見ていて、山戸結希監督の「5つ数えれば君の夢」に衝撃を受けて無料パスを使って映画館で6回くらい見た。5回目の鑑賞の時に山戸監督のサイン会があって「5つ数えてくださりありがとうございます」みたいなコメントをサインと一緒に書いてくれたのを覚えている。

そんな思い出がある映画館がしばらく休館という事、そしていつ再開するか分からないので休館前の最後に行く事にした。ちょうど凄く見たかった映画もあった。チケットを買ってロビーで待っているとお年寄りのお客さんがスタッフに「何で営業中止なんだよ。東京だけで千葉は関係ないだろう。おかしいだろ」と大きな声で喚いていた。正直、映画館側も本当は営業したいと思っているし、物凄く悔しいという事をその年配のお客さんには分かって欲しいなと思った。街中には行く場所がない年配の方が溢れていて、やはり映画館も同じくらいの層の人が比較的多く、僕の職場にも「明日は上映ありますか?」と映画館に来る気満々に電話が掛かって来ていた。コロナウィルスは若者も重篤化するという事だけど、熱が上がったり下がったりを繰り返し体力を奪われるらしいので、僕ら若者よりも年配の方のが体力的な面で亡くなる可能性が高いのだと思う。映画館に対して文句を言っていた年配層の方々を守る為にも今回の休業というのは止むを得ない気がした。

そんな事を考えながら「スウィング・キッズ」という韓国映画を見た。1950年頃の朝鮮戦争が背景にあり、捕虜収容所が舞台の映画。収容所のイメージアップの為にダンスチームを作るというのが大まかなあらすじで、これがめちゃくちゃ面白かった。戦争の悲惨さを描きつつも、エンタメとして完成度が高くて面白い。ポン・ジュノといい韓国の映画は現実と虚構のバランスの匙加減が抜群に上手い。北と南、人種や性別、言葉やイデオロギーの違いで起こり得る分断もダンスや音楽の前では関係ないぜっていうベタなテーマで、朝鮮人の主人公が因縁のアメリカ人兵士に捕まってボコボコにされる流れだなと思ったらダンスバトルが始まるのはギャク漫画的で少し笑ってしまうのだけど、分断された人々がダンスによって繋がっている事を象徴する様なシーンに思える。主人公のギスの感情が爆発してデヴィット・ボウイの「Modern Love」が流れる中でダンスするシーンはカラックスの「汚れた血」のオマージュだと思うのですが、もうそこだけでも100回見たいくらい感動してしまった。今年のベスト級くらいに良かった。昨日のnoteに書いた星野源の取り組みもそうだけど、カルチャーによって人々が繋がって溶け合う瞬間っていうのは素晴らしいなとつくづく思う。

お腹が空いたので松屋で復活したごろごろ煮込みチキンカレーを食べた。こんなご時世にコスパ最強のこいつを復活させてしまう松屋は罪深いと思った。帰りに本屋さんに寄ったら今村夏子さんの新作「木になった亜沙」を見つけたので購入。今村夏子さんは新作が出たら迷わず読む作家さんの一人。ちょこっとだけ読んだら、またまた得体の知れない不気味さが漂っていて楽しみだ。運動不足になりそうなので帰りは30分くらいの道のりを歩いて帰って洗濯と掃除、米を炊く準備をしつつ「有村架純の撮休」の3話を見た。1話に続き3話も是枝監督らしいのだけど、今回は有村架純さんが人間ドッグに行くという話で執拗に有村さんの腹部のエコーのシーンを撮っていて物凄くフェチっぽい回で笑ってしまった。今後も楽しみなドラマの一つだ。

今日はTBSの「水曜日のダウンタウン」と「ザ・ドリームマッチ2020」を見て寝よう。今月は1ヶ月休みだけど、規則正しい人間的な生活をするのを目標にします。

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