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孤島の砂浜に場違いな足漕ぎボート、白鳥を模した遊園地じみたその乗り物のそばに子供が一人座り込んでいる。突然跳ね起きると、慌てて荷物を引っ掴み、小川の上流へと走り出す。その間わずか七秒余り、数十メートルと遠ざかってはいないはずなのにその姿はもう視認できない。
時空スタビライザー、展開。
物語領域固定。
オぺレーション貝楼始動。
突然スマホがバイブして、「遅いよ、君」と詰られた。画面に映るその顔と同じタイミングで声がする。いつの間にかそこにいる彼女が「さあ、急ぐよ」と、アケルの荷物の一つを手に取り、森へ向かって走り出す。「待ってよ」と伸ばした指先がほんの少し相手の肩口に触れた時、その一瞬眩い光に世界が反転した気がしたけど、直ぐにそんなことは忘れて「待ってったら」と少女の後を追いかける。
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