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あれから何年たったのかって話だけど、船酔いって文字を見るだけで、いまだに僕はうぇーってなる。だって長かったからね、あの時の船の旅。大きな船でゆったり揺られ、小さな舟ではくるくる揺られ、手漕ぎの筏でチューブもくぐった。大きな島から小さな島へ、いったい何島を巡ってきたことか島と島と、最短の移動距離は50センチくいらで飛びうつった小石のようなやつなんだけど、あれも島っていうのかな。後で地図見て確認しよう。
とにかく、やっと到着、怪獣島。見た目は普通に景色の良いどこにもあるよな無人島。浅瀬が長く続いてて、底をずりずり苦労して、スワンボートを乗り上げたのはだーれもいない静かな入り江。キラキラまぶしい白い砂がずーっと遠くまで広がっている。きれいな小川が海に注いで、それを追って奥の方へ見やるとこんもりとした森の姿が浮かび上がる。
ほんとにここかな?
砂浜に荷物を下ろし、一息つく。水筒の水をちびちび飲みながら、スマホの画面を確認すると、到着という文字がぴこぴこぴこぴこ飛び跳ねてた。
初めての一人旅、小学五年の夏休み、グランマの家ってほんとにここにあるの?、泣きそうな気分でアケルは空を見上げた。
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