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差別と意識

先日事務所のインスタライブの時にnoteの話を少しした。

その時に、コロナの話の流れで

『差別』
について話をしたので、今日は差別について自分の思う事を書きたいと思う。


大まかにわけると、差別には2種類あると僕は考えている。

悪意のこもった差別と、悪意のない差別。

この2つだ。

実際、今回の新型コロナウィルスがきっかけとなった差別的な言動をみても、そうだ。

一方で、このウィルスに感染しないようにするための知識等を持っていないために、中国人をはじめとした東アジアにルーツがある人たちを避けようとする人たちもいる。

ただ、その原因に考えをめぐらせてみたり、自分が彼らと似たような状況だったらどうするだろうと想像してみた。

前回のnoteの記事にも書いたように、僕に14日間にわたって自宅から一歩も外に出ることを許されなかったから、十分な時間もあった。

ドイツ生活が6年目を迎えた僕は、目の前にいる人が母国語を話しているのを聞けば、おぼろげながら、どのあたりの国にルーツを持つのか類推できるようになった。

言葉の意味はわからなくとも、ヨーロッパのオランダの出身なのか、北米のカナダ出身なのか、南米のブラジル出身なのか……一定程レベルの推理はできる(もちろん、その推理が外れることはあるけど)。

ドイツに来てからヘルタ・ベルリン、フォルトゥナ・デュッセルドルフ、そして今のハノーファーと3クラブを渡り歩くなかで、世界中の様々な国から来た選手たちと接してきたからだ。

でも
もしも、自分がずっとJリーグでプレーしていたら、どうだっただろうか?

Jリーグでプレーするブラジル人は多いから、彼らの母国語であるポルトガル語と、中学や高校で学んだ英語との違いはわかったかもしれない。

でも、それ以外の言語を話す人がいたら、それがオランダ語なのか、ドイツ語なのか、スペイン語なのか、見当をつけることは不可能だったと思う。同時に、その人がヨーロッパから来たのか、中南米から来たのかを想像することもできなかったかもしれない。

「欧米人」、「アジア人」、「アフリカ人」程度の識別しか、僕にはできなかったかもしれない。

仮に、ヨーロッパのとある国で伝染病が発生し、それが世界に広がっていったとする。そんな状況で僕の目の前にいるのが、ヨーロッパからみて地球の真裏に位置するオーストラリアから来た人だったとする。

それでも僕は「欧米人だから」という理由で、無意識であっても、その人のことを傷つけるような行動をとっていたかもしれない。

それはたぶん、「悪意のない差別」の始まり。

僕も無意識のうちに、そこに加担してしまう危険性はあった。



ドイツでプレイしている中でこんな出来事もあった

「おい、中国人!」

試合中にそんな言葉をかけられたことがある。

ドイツでの戦いも5年半が過ぎた。
これまで、相手チームの選手から何度かそんな差別的な意味合いを含んだ言葉をぶつけられられたことがある。

プロのレベルでは対戦するチームの戦術から、試合に出る可能性のある各選手の特徴にいたるまでしっかりと分析する。

その分析の過程で、僕が日本人だということは相手チームの選手もわかっているはずだ。

にもかかわらず、あえて、そんな言葉をかけてくる。

実際の中国人のみなさんにとっても、日本人の僕にとっても、差別的な意味合いを持った言葉だと感じる。

試合中 “キレイごと”では片づけられないような激しい闘いがピッチの中にはある。
そこでの言葉づかいが荒くなることはあるだろう。

でも、多少の荒々しい言動が許されたとしても、差別は許されない。


僕にとって大事な2匹の愛犬の事も引き合いに出された事も数回ある。
自分のInstagramの投稿の中に、ドイツで飼っている2匹の愛犬の写真をよくアップしている。

愛犬たちの写真を載せる時、DM(ダイレクトメッセージ)が送られてくる事があるが
面識のない人のアカウントからこんなニュアンスの文章が来たこともある。

「おまえは、いつか自分が食べるつもりで犬を飼っているんだろ?」

差別の重さは測ることはできないけれど、第三者からは見られることのないDMで送ってきてこの内容ははタチがわるい。

もちろん、そんな食文化に対して、欧米で批判的な見方が存在しているのは僕も知っている。

でも、だからといって、そんな言葉が許されていいわけがない。

これも、差別だと思う。

このような内容は
中国のみなさんのことも、僕のような中国出身ではない人のことも、リスペクトしていない。


では、これから先、差別はなくなっていくのだろうか?

個人的に懸念しているのは、これから先新型コロナウィルスに端を発した差別が増えていくことだ。

僕は医学の専門家でも、政治家でもないから、ウィルスが世界中に広がった本当の原因をつきとめることなどできない。
もちろん、ウィルスが世界中で猛威を振るうことになった責任を、特定の集団や人物におしつけて、責めたてたいとも思っていない。

むしろ、みんなが同じ方向を向いて、この苦難に立ち向かえる世の中になればいいと願っている。

でも、世界中のみんながそう考えてくれる状況を安易に期待できるかというと……そうではない。

中国の武漢で発生したことから、中国の人たちをダイレクトに差別する声、中国だけではなく東アジアの人を差別する声が、残念ながら挙がっている。
嫌でも目についたり、耳に入ったりする。

もちろん、差別はなくなってほしい。

この記事を書いた理由も、差別がなくなることを願っているからだ。

でも、この世から“すぐに”差別がなくなることを期待するのは難しい。

だから、知らないことに興味や関心をもって学ばないといけない。

個人個人が努力をしなくてはいけない。

ささやかであっても、この世から差別を減らせるように行動をする必要があるのだ。

同時に、自分が差別をされたときにも、それを乗り越えられるような

「心の準備」

が必要だと考えている。

差別は、簡単には“なくならない”。

でも、自分の取り組み次第で、ほんの少しかもしれないけど、「減らせる」と僕は信じている。

数年ヨーロッパでプレイする中で、差別もふくめサッカー選手として認めてもらう事の重要性を感じた。
その中でも日本人のプライドをもって、日本人としてここヨーロッパで勝ち抜いていく。

『意識』

が強くなっていった。

その 
『意識』
によって差別に対抗していける。

差別をされたとしても、屈しないような意識を持つことがどんな人にも大事なのではないか。


意識次第で何事も変えていける可能性を考えていきたい。


追伸:

前回のnoteで触れた14日間の自宅隔離期間が、どうにか終わりを迎えた。
ドイツでは今、不要不急の外出は禁じられているが、買い出しやペットの散歩など必要なことがあれば最低限の外出が認められている。
それは、僕にもあてはまる。自宅から出ることは一歩たりとも許されない状況ではなくなった。

次回のnoteではこの14日間について紹介するつもりだ。

もちろん、ドイツをはじめとしたヨーロッパはいま、大変な状況にあるから、不要な外出をする気はさらさらないが。

これ以上のウィルスが広がらないことを祈っている。

後、このnoteを書く上で今回の題材もふくめ、言葉の使い方や発言に対しても考えて続けていきたいと思い、僕の他にマネージャーとライターのミムラユウスケさんにも入って頂き文章を構成している。


まずは伝えたい題材を決め、1時間~2時間自分の伝えたい事をしっかりと言葉にして話をする。
それを文章にしながら、内容を確認する。
ミムラユウスケさんには、文章の構成もふくめ絶大なるサポートを頂いている。ありがたい。

4月から基本的に有料でやっていきたいと思う。
8日 18日 28日 
8のつく日に文章を更新する。
28日の文書だけは無料にしたいと思う。
自分の経験や想いを時間をかけてしっかり文書をつくる。
読んでもらう皆さんには、読み返す価値のあるnoteになるようにしていきたい。

※デュッセルドルフ時代ブンデスリーガとして各クラブが差別に対するTシャツを着用して入場するなどリーグとしての活動などもありました。


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