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ヨーロッパの移籍と契約に関するスタンダード

ブンデスリーガはすでに閉幕して、他のヨーロッパの主要リーグもまもなく終わりを迎える。そうなれば、ヨーロッパの移籍市場が本格的に動き出す。

この時期にはスポーツディレクターのもとに1日に100~200人くらいの選手の情報が送られてきて、代理人から売り込みを受けるというニュースを最近、目にした。移籍をする選手にとっても、選手を獲得するクラブにとっても、大変な時期がこれから始まる。

選手の移籍や契約については色々なところで語られているが、選手自らが話をすることはあまりないのではないだろうか。今回のnoteではヨーロッパでプレーする現役の選手だからこそできる話をまとめていく。2014年の夏にドイツに来てからの生々しい話をふくめて書いていくので、移籍に関するリアルな話から何かを感じたり、発見してもらえたら嬉しい。

まず、移籍について語る上で前提となる、2の要素をあげる。

1つ目が、その選手の価値を最も大きく左右する要素が、選手の年齢だということ。若い選手は、その年齢だけで重宝される。僕は23歳でドイツに渡ったけど、そこから1年くらいは、少し活躍しただけで多くのクラブから興味を示された。若さというのは、新たに獲得するクラブにとって大きな価値を持っている。

その理由は、若い選手の成長に期待しているからというだけではない。将来的にビッククラブへと移籍する可能性を若手選手が秘めているからだ。1億円で獲得した選手は、将来ビッククラブへと移籍するときに2~30億円の移籍金をクラブにもたらしてくれる可能性がある。一方で、30歳の選手を獲得する場合、その選手が活躍してくれる可能性は十分にあるが、数年後に大きな移籍金をクラブにもたらしてくれる可能性は高いとは言えない。

若さというのはそれだけの価値があるのだ。

もう1つ、攻撃の選手の評価に大きく変わるのが、数字となって表われる結果。つまり、ゴールやアシストなどの数だ。

シンプルだけど、ヨーロッパにおいて、個人が残す結果の重要性は日本で考えられている以上に大きいと思う。過去にも報道されていたように、ヘルタでプレーしていた時代に、プレミアリーグのクラブへの移籍が決まりそうなことがあった。当時はヘルタでレギュラーとなり、多くの試合に出ていた。それでも最終的に移籍が決まらなかったのは、ゴールやアシストなどの数字が十分だと見なされなかったからだろう。攻撃的なポジションの選手に限れば、献身性、安定感、運動量など以上に、そうした数字がものをいう。

逆に言えば、攻撃の選手は目に見える結果を残してはじめて、それ以外の部分を評価してもらえるということだと思う。

ここからは、僕の実際のやり取りから、移籍のスタンダードについて見ていく。

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