歩くのはいいぜ！(byエレファントカシマシ)

相変わらず毎日時間を見つけては散歩をしています。iPhoneのヘルスケア機能が勝手に歩数を数えていてくれるので、ちょくちょく確認しては「今日まだ4000歩か…もうちょい遠回りして帰ろ」みたいな感じでとりあえず最低でも1日5000歩は超えようと地味にがんばっています。先週は週平均で1万歩を超えたのでけっこう達成感がありました。相変わらず数字に翻弄される毎日です。生命保険の営業をしていたときも、バンドをやっていても、SNSなんかでも、数字はどこでもついて回ります。嫌な世界です。

先日もそうやって歩数を稼ごうと近所の商店街をふらふら歩いていると、「浪速の星野源」ことガリザベン兄さんを見かけました。

「浪速の星野源」というのは見た目の話ではありません。彼はとてもいい歌をうたうのです。

その日はコンタクトをつけていたので声をかけても最初は誰かわかってもらえませんでしたが、須田と認識するやいなや「すだやん〜1杯だけのもや〜」といつもの調子で誘ってくれました。そうだ、コンタクトの件については色々と言いたいことがあるので、それはまた改めます。

晩ごはんを食べた直後だったのでお腹はいっぱいでしたが、ガリさんにひさしぶりに会えて嬉しかったので近くのきたなめな串カツ屋さんに行きました。串カツ屋さんはちょっときたなめなぐらいが最高です。「おれ酒やめたんすよー」って言っても「なんやそれ、おもんな」みたいなバイブスを微塵も出さず「ほんまか〜」とニコニコしていてくれるガリさんも最高です。「ビワミンソーダ」というよくわからない飲み物を頼みました。

なんかもう最近みんなしんどそうよね、みたいな話をしました。ガリさんも5〜6月ごろは本当に精神的にキツかったとのことですが「ほんまに無理になったときは、1回とりあえず飲みに行ったらええと思う。知らん人でもええから、とりあえず1回飲みに行ってみよ。試しに。」という結論に落ち着きました。酒やめてるけど私もそう思います。知らん人といきなりはハードル高いけど、友達ならいつでも大歓迎ですので、しょうもない話しながらご飯たべたりしたいです。飲みましょう。私はりんご酢ソーダとか飲みます。

お店から出ると、突然近くから「ええ〜すご〜い！」みたいな声が聞こえ、なんだろうとそちらに目をやると2人組のマジシャンが道ゆく人にマジックを披露していました。それを見て私は驚き「ガリさん！！おれあいつら知ってる！！」と、でかい声が出てしまいました。

緊急事態宣言が出た直後、商店街から人がいなくなって、20時にはお店も全て閉まり、始発前かってぐらいの静けさの中で彼らはぽつんと立っていました。声をかけられ、「僕ら普段いろんなパーティとかでマジックしてるんですが、この状況で仕事が全部なくなっちゃったのでこうやって路上で見てもらってるんです。無料なので見てくれませんか。」と彼らはいくつかマジックを披露してくれました。最初は「やっぱみんな大変なんだな…」ぐらいの気持ちで話を聞いてただけでしたが普通にマジックがすごかったので気持ちばかりの投げ銭をして、お互い頑張りましょうと言って立ち去ったのでした。
※自粛警察の残党がこれを読んだら「何おまえ緊急事態中に出歩いてるんだ！」と言ってくるのでしょうけど、その期間うちの風呂ぶっ壊れてたんですよね。めちゃくちゃ大変だったんだよ！

あれからあっという間に半年が経ち、あっという間な割に色々ありすぎてナードマグネットはメンバーが1人いなくなりました。彼らは変わらず2人組のままマジシャンを続けていました。同じ商店街でやってたのでまだあまり前のようなペースでは仕事できてないんだろうけど、それでも何か嬉しくなってガリさんにそれを説明すると「ほうか〜感動やなあ〜」とやっぱりニコニコしていました。

本当に何が起こるかわからない世の中、毎日毎日ニュースを見るたびに頭がおかしくなりそうですが、そんな中でも芸事を続けている人たちを見ると励みになります。音楽もマジックも無くたって生きてはいけるけど、別に無くたって生きていけるようなものに心動かされる瞬間こそが尊いと思うのです。

今日はナードマグネットはよみうりランドでライブします。会場めちゃくちゃデカくてウケます。サポートベースはマイミーンズのえりっささん。人生何が起こるかわからんね。