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ケアばー

趣味らしい趣味もなく、
読書くらいか
道楽らしい道楽もなく、
バー通いくらいか。
趣味も道楽もない人生、合わせ技で
せめて、バーで飲むときは、一行でも
新しい文章に出会い、勉強をしようかと
文庫本を必ず持ち込み、一口一頁くらい
のペースで、じっくり読もうと思いつく。

◉山口恵以子『いつでも母と 自宅でママ
       を看取るまで』小学館文庫
母の異変に気付いてから介護認定を申請する
まで約十年も掛かったことに、著書は、
今更ながら我が身のうかつさに呆れてしまう
と嘆く。自分の足で歩けるし、食事もトイレ
も入浴も介助なしでできたから、介護認定の
か、の字も頭に浮かんではこなかったという。

たぶん、自分の身近なところで、同じような
事態が起きても、気がつかなかったり、言葉
としては知っていたとしても、それが自分の
場合に関係することとして、認識したり、結
びつけたりできなかったりすることは、いろ
いろあるように思う。小中高と義務教育受け
ても、大学行っても、大学院行っても、知識
としては知っていても、制度は聞いたことが
あったとしても、それを活用することの知恵
は全然身についていないような気がする。
恋って、よくわからないけど、傷つく感じが
いいね!、じゃないが、50年も生きてても
80年生きてても、わからないことはいくらで
もあるんだろうな、と。そんなこんなも、
気づかせてくれるのは、身近な他人だったり
するらしい。だけど、そんなアドバイスも、
食堂で働く同僚との、雑談から生まれたらしい。
雑談は、人を救う、ときもあるのに、コロナ禍
のなかで、掬われない雑事から、案外に、人は
深みに嵌ってしまったり、つまづいたりして
ないか。仕事の質を高める、周辺事情の改善に、
取り組む余裕があるか。ジブンの毎日を振り返り
ながら、介護保険料、というものは、なんの
ために払い込んでいるのか、死ぬまで忘れない
ようにしよう、と備忘録。
さ、呑もか。

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