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第1回内科専門医/第179問(消化器)/2021

第 1 回内科専門医試験
2021年度・改変

非アルコール性脂肪肝炎( NASH ) について正しいものを2つ選べ。
a. 本邦の罹患率は < 0.1 % である。
b. 肝のインスリン感受性が亢進している。
c. 膵頭十二指腸切除術は発症リスクである。
d. MRIにより単純性脂肪肝との鑑別が可能である。
e. 遺伝子多型が発症に関与している。

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解答

c、e

解説

本邦の成人検診受検者における非アルコール性肝疾患(NAFLD)有病率は約 30% であり、非アルコール性脂肪肝炎罹患率は約 2 〜3 % と推定される。NASHでは肝のインスリン抵抗性が惹起され、高インスリン血症下で肝における糖新生抑制不全と脂肪合成亢進が並行して起こり、NASHの病態の一端を説明すると考えられている。
NASH/NAFLDの発症に関連する遺伝子多型として,PNPLA3(patatin-like phospholipase domain-containing 3)、TM6SF2 (transmembrane 6 superfamily member 2) をはじめとするいくつかの多型が報告されている。
膵頭十二指腸切除術後や内分泌疾患(下垂体機能低下症、性腺機能不全症、成長ホルモン分泌低下症、甲状腺機能低下症、多嚢胞性卵巣症候群)はNAFLD/NASH を高率に伴う。肝脂肪化検出はエコーによるスクリーニングが簡便であるが、脂肪量の定量評価にはCTやMRIを施行する必要がある。しかしNAFLDとNASHの鑑別は困難である。
NAFLD/NASHの死因としては、心血管イベント、肝臓以外の発癌などが死因の第1位、2位となり、肝臓自体の疾患は3~4位となっている。

関連問題

・クエスチョンバンク総合内科専門医試験予想問題集vol.1 or 2 第 1 版  問題 14

参考

NAFLDの病態と治療〔日本内科学会雑誌 111(9): 1959~1968,2022〕

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