【最強戦法】ロードライボード編
※この記事は全文無料です。
「A、KハイボードではBBにとりあえずレンジCBを打っている」
「ローボードの場合は何をしていいかよくわからない」
という人は多いのではないでしょうか?
今回は、
ロードライボードでBBから「徹底的に」搾取してEVを最大化する
方法についてまとめています。
「最強戦法」シリーズでは、Flop以降の戦略をある程度の粒度でパターン化するために、代表的な25種類のFlopをGTO Wizardを用いて徹底的に深掘りします(乱暴なタイトルをつけていますが、真面目な記事です)。
また、よくある反省会的なハンドレビューと違い、
「学んだことを実践で再現する」
ことを非常に重視しています。
長い記事なので、先に戦い方の結論を抄録としてまとめます。
抄録だけ読んで本記事を閉じていたただいても問題ありませんが、全体を通して理解することで戦略構築プロセスが強烈に印象に残ると思います。
よろしければ最後までお付き合いください。
本来の最初の章は第2章からです。
1.抄録
■【最強戦法】ロードライボード編
2.ロードライボード徹底攻略(GTO戦略)
■ロードライボードにおけるアクション選択
それでは今回のシチュエーションです。
このとき皆さんはLJでどのアクションを選択するでしょうか?
次に進む前に、簡単にでも良いので自分なりの意見をもって考えてみてください。
(ちなみに筆者は33%betを選択しました。)
GTO Wizardの提示する戦略は、Flopは小〜中sizeのレンジは低頻度、主にcheckと125%betで4:6程度の混合戦略を採用しています。
つまり、画像の頻度で大sizeのbetやcheckのレンジを持たないとExploitされる余地があるということですね。
次にこの戦略のbetレンジにおける、バリューベットとブラフベットのレンジを考えていきます。
■バリューベット
セットは、bottom > middle で125%betの頻度が大きく、topの8ポケは125%betの頻度は存在せずに高い頻度でcheckを採用しています。
オーバーペアは、AAを除き95%以上の頻度で大sizeのbet、トップペアは、高いキッカーほど高頻度でbetしています。
■ブラフベット
AXoの2overとAXsの低いキッカーで小さめの125%betレンジが存在します。
Aを除くツーオーバーも高頻度でbetをしています。
※THWK:トップヒットウィークキッカー
今回のLJのハンドであるQhQdは、
QhQdの33%betは頻度としては存在するものの、95%の頻度で125%sizeのbetを採用しています。
33%betを選択した時に筆者は、
LJはTPGKやオーバーペアなどEVが高いハンドを多くレンジに含んでいるのに対し、BBはストレートもフラッシュなど強い役が存在しないため、LJにレンジアドバンテージがあると考えてレンジベットの選択が適切である。
レンジベットのsizeはロードライボードでは33%くらいのbetでもBBの多くのレンジを無差別化、降ろせるのではないか。
※TPGK:トップペアグッドキッカー
と考えていましたが、この考えはGTO戦略としては誤りのようです。
ここからは、さらにGTO戦略を深掘りしていきましょう。
■エクイティ分布
エクイティはほぼ均等に分布しています。
BBのハンドは全体的にはやや弱いですが、両者のレンジで大きなアドバンテージはないようです。
よってFlopでLJがレンジ全体でCBする動機はありません。
またBBの方がFlopでペアを作りやすいですが、ストレートやフラッシュの可能性はなく、ツーペアのレンジも限定的です。
そのためLJはどのオーバーペアも基本的にナッツとなります。
実際にBBの持つレンジの97%に勝っています。
しかし、QhQdのEquityは80%程度のため、KやAのオーバーカードやドローでBBに追いつかれる前に、早くポットを構築する動機があります。
■BBのレンジ
BBのレンジも見てみましょう。
Aハイや Kハイのボードと違って、8ハイのローボードでは、Flopでゴミハンドになるような弾力性のないハンドは少ないです。
■ベットサイズによるアクションの違い
BBに弾力性のないレンジが大きければ、LJはレンジCBによってそれらのEquityをfoldによって放棄させる戦略が有効となります。
しかし今回の8s6h2dのローボードでは、弾力性のあるハンドがBBに多いため、LJはベットサイズを125%と大きくすることで相手のBDSDやBDFDなど弱いドローハンドのEquityを奪っています。
※BDSD:バックドアストレートドロー
※BDFD:バックドアフラッシュドロー
念の為33%betのCBに対するBBのアクションを見てみましょう。
125%betのときと比べてBBの持つドローハンドのfold頻度が大きく減少しています。
33%betでガットショットはfoldせず、BDFDも多くのレンジでfoldしません。
むしろトップヒットやドローハンドでx/rする余地を与えてしまい、LJ側はAXoやKXoの2overなどEQRが低いハンドの多くでEquityを実現できない苦しい状況に立たされます。
※x/r:チェックレイズ
※BDFD:バックドアフラッシュドロー
■ブロッカー
LJのセットにおけるアクションの違いが特徴的です。
bottom > middle > topの順でbet頻度が高くなります。
8ポケは相手のバリューハンドの多くをブロックしてしまうため、バリューターゲットが少なくなります。
ロードライボードにおけるセットのEQRはとても高いためFlopはcheckし、Turn以降でpotを膨らませることを目指しています。
■GTO戦略を着想する
以上を踏まえると筆者の場合は、
・LJがBBに対して大きなレンジアドバンテージがあると考えていたこと
がミスにつながっています。
Flopのmiddle, bottomカードを6d, 2cに固定してハイカードのランクを変えてみると、Tハイ以上のボードでLJはレンジCBを採用しています。
LJのレンジには9以下を含むハンドがオフスーツではA9o以外存在せず、対してBBはスーテッドで全てのレンジ、オフスーツも9以上は全て存在しています。
UTG vs BBなど他のポジションでも集合分析をかけてみましたが、
ロードライボードにおけるレンジアドバンテージは、アグレッサーのopenレンジにおけるスーツを問わないキッカーと、BBのcallレンジのオフスーツのキッカーが、ボードの最も高いカードにおいてどの程度含まれているかのバランスを考えることで、実践においてGTOにおけるレンジアドバンテージを概ね正しく着想することができそうです。
3.ロードライボード徹底攻略(Exploit戦略)
■Exploit戦略
ここまででLJの125%betの意図は、
・BBのBDSDやBDFDなど弱いドローハンドのEquityを奪う
・BBのx/rを防いで2overなど比較的低いEQRのレンジのEquityを守る
という2つがメインであると仮説を立てました。
これはBBがGTO戦略に基づいて、33%betに対して正しい頻度でx/rを返してくることが前提の戦略です。
しかし実際の国内大型トナメなどのリアルな場(所謂rec相手)では、BBはBDのアクションがcall or foldに大きく偏っており、x/rが返ってくるのはトップヒット以上のバリューハンドかブラフハンドのOESDやガットショットなど強いドローハンドの割合が大きい印象があります。
BD以下のゴミハンドでも正しい頻度で3betできている人は本当に少数ではないでしょうか。
試しにLJの33%betに対する通常のBBのGTOレンジから、OESDとガットショットを除いたゴミハンドで3betの選択肢を消してみたらLJの戦略はどうなるでしょうか?
LJは小~大sizeのbetによるレンジCBの混合戦略となりました。
つまりGTO戦略よりもゴミハンドのx/r頻度が少ないパッシブなBBに対しては、ブラフレンジを拡張してゴミハンドのEquityを放棄させるというアジャストを行うだけでLJのレンジ全体のEVが上がるということがわかります。
皮肉にもCBの打ちすぎている人がGTOを意識したプレイへの修正した場合、rec相手ではレンジ全体のEVを下げてしまう可能性があるということです。
BBからx/rが返ってきても、recのx/rレンジはとても強いためサードペアや2overすらオーバーフォールドで応答することでExploitできます。
こちらのレンジCBはGTOとは乖離している戦略をあえて採用しているため、当然ながらカウンターExploitされる余地があります。
先程のレンジCBに対してBBは65%以上のレンジで55%sizeのx/rを行うことで、LJの低EQRレンジによるブラフ過多を咎めることができます。
4.結論
■形式知を実践スキルに落とし込む
最後に今回学習したことを、実践で着想できるように大まかな戦略構築プロセスを振り返りましょう。
vs BBのSRPでFlopがドライなローボードだった場合
5.あとがき
■最後に
長いnoteとなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
本記事は全文無料ですが、お気持ちでお布施などで応援いただければとても嬉しいです。スキだけでも嬉しいので是非お願いします。
それでは、次回の記事でまた会いましょう。
ありがとうございました!
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