ものまね泥棒

「ものまね泥棒」

え~、まいどばかばかしいお話を聞いていただきます。

江戸の町にたいそう、ものまねの上手い泥棒がおりました。

名を「佐平次」と申します。

この佐平次が泥棒仲間の金造と話をしております。

佐平次:おい!金造~俺はよう。ものまねにかけちゃお江戸一の泥棒なんだぜ

金造:へぇ~そりゃ凄いですね。なんかやってくれませんか?

佐平次:にゃお~ん

金造:へ~!うめ~もんだ

佐平次:じゃぁな、この動物知ってるかい?ぱお~~~ん

金造:恐ろしい鳴き声ですが何ですかいそれ。

佐平次:こいつはな天竺からきた「ぞう」という生きもんだ。

金造:「ぞう」ですかい?

佐平次:そう「ぞう」だ。江戸動物園の札に漢字で書いていたんが、おれっち漢字が読めねじゃねぇか。漢字の横に平仮名で「ぞう」と書いてあった。まちがいねぇ~

金造:へぇ~どんな生き物なんですかい?

佐平次:鼻の長~い生き物でな、伸ばすと江戸から尾張を通って滋賀県は琵琶湖まで伸びるんだ。

金造:へぇ~そいつぁぶったまげた!!

佐平次:それがよぉ、それだけじゃねぇんだよ。琵琶湖の水を吸ってな、今度は身体を北にくるっと向けて鼻を伸ばすと黒部第4ダムだ、そこに水を足す仕事をしているそうだ。

金造:へぇ~人間の役に立つんですね、その「ぞう」は

佐平次:そうだ!えらいんだ「ぞう」!

金造:しゃれですかい!

佐平次:まぁそういうこった、んじゃ、おれっちは仕事いくぜ!

金造:兄貴!今日はどちらへ

佐平次:うむ、今日はな、越前屋に忍び込む

金造:兄貴あっこはいけません!越前屋の旦那は賢くて到底盗めませんぜ。

佐平次:俺を誰だと思ってやがんでぇ!お江戸一の「物まね泥棒」たぁ俺のこった、いってくら~

というやり取りがございまして佐平次が塀を乗り越え屋敷に忍び込みます。

隣の座敷では越前屋が本を読んでおります。

佐平次:へっへっへ簡単だな、ちょっくら金子を盗んでいくか、、おっとっと。。。

調子に乗った佐平次が花瓶を倒してしまいます。

越前屋:うむ!誰か居るのか!!

佐平次:にゃ~~ん

越前屋:猫か!。。。。座敷を荒らすといかん追い出すか!

佐平次:む!まずいひとまず庭へ

越前屋:ん!!障子があいてるな猫は開けられんし犬かぁ?

佐平次:わお~~ん わお~~~ん ガサガサガサ

越前屋:犬にしてはやけに大きいな鹿か!!

佐平次:シカ~~~~?????鹿の鳴き声~~~~(困ったな~えーーい)

    ばうばうばう

越前屋:むむ~どうも怪しい、こりゃ変な泥棒のようだな、よぉし、ひとつからかってやるか~ おお!奈良で鹿が「ばうばうばう」と鳴いておったなぁ~


佐平次:さすが天才の俺だ・・・鹿と言われて一瞬あせったが、ふっふっふ。。おっと!

足を滑らせ池に落ちる泥棒・・バシャーン!!

越前屋:こりゃまたでっかいカエルが落ちたもんだなぁ

佐平次:ゲロゲーロ ゲロゲーロ(あぶないあぶない、きょうはついてないや)

泥棒は池の中から頭をそうっと出します。

それを見つけた越前屋、側にあった棒で泥棒の頭を思いっきりひっぱたいて。

越前屋:コイツは泥棒かバシ!池の杭かバシ!泥棒かバシ!杭かバシ!泥棒かバシ!杭かバシ!

たまりかねた佐平次が~

佐平次:クイ~;クイ~;クイ~;

お後がよろしいようで。

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