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花業界が衰退している理由

花の業界に入って26年。
アルバイトから始めて今は経営者になりました。
自分なりに花の業界が衰退している原因を考えました。
どちらかといえば会社組織の花屋経営者向けです。

結論

花業界低迷の一因は低賃金だから。
有能な人材が花業界から離れていくのを防ぐには花屋オーナーが経営努力し適正な賃金を払うこと。
そしてそれは将来への投資でもある。

花屋の平均年収はいくらか

花屋での給与は間違いなく日本の平均年収を下回っています。
国税庁の年齢階層別の平均給与データでは以下のように発表されています。
25歳~29歳男性394万円
25歳~29歳女性301万円
30歳~34歳男性485万円
30歳~34歳女性431万円
35歳~39歳男性580万円
35歳~39歳女性495万円
もしかすると花屋オーナーでもこの年収に届いていない場合もあるのではないでしょうか。
私の感覚だと花屋では30歳正社員で平均年収300万円あたりではないかと思います。

花業界の低迷

花の消費量は年々減りつづけているのは事実で、2020年の消費量を2000年と比較するとバラは-56%です。
花業界ではさまざまな消費拡大活動をしていますが成果が出ずにいます。
20年間の長いデフレと収入の停滞で花を買う余裕がない状況を政治のせいにしたくなるのもわかりますが、花屋オーナーの経営力の弱さもその原因の一旦ではないかと思います。
花屋が儲かっていないから給料を多く払えないということです。

仕事と趣味

花屋オーナーの中には花で自分の思い描く世界観を表現したくて起業しアーティストやフラワーデザイナーを目指します。
またお金が目的ではなく「お客様の笑顔」だとか「花のある生活」を提供したいという強い信念で起業する方もいます。
しかしどちらもその活動で成功する人はほんの一握りで、実際には「収益」に繋がりにくく夢と現実に苦悩しますが自分が選んだ道を進むのは自由なので、自分一人でその信念に従い突き進んで目標を達成していただきたい。
ただ私が考える「仕事」とというのは「収益」があってこそ成立する経済活動なので収益がない活動はどんなに立派でも「趣味」の領域だと思っています。

優秀な人材が花業界から離れていく

仕事というのは人々が求めているものや困っていることを解決することが基本で、自分がやりたいことは他人を巻き込まず「自分一人」で趣味でやればいい。
私はアーティストとかデザイナーとか自称して趣味に経費を費やし「自己満足を得るために従業員を低賃金で使っている」無能なオーナーに呆れています。
花の業界全体が下降気味である一端は、適正な賃金を払わず有能な人材が次々に花業界から離職していく状況を作った花屋オーナーの責任も大きい。
春から中途採用する方から前職の話を聞くと、有能で10年以上の職歴があるのに手取り14万円(残業代・交通費無し)。
30代で年収220万円・・・
こんな状況では花屋は夢も希望もない業種になっていく。

適正な対価(給与)はいくらか

私の考えをまとめると
趣味→好きなだけ自分一人でやればいい
仕事→収益を目的とした経済活動
雇用→労働や能力に対して適正な対価を支払う責務
社会貢献→納税

大手花の有名企業は専門学校卒で基本給12万円だと聞いて驚きました。
私が思う適正な対価というのは時給1,000円×8時間×22日で最低176,000円。
職歴や能力に合わせて昇給したとして「有能な」30歳正社員は352,000円。
努力しない無能な従業員は昇給など必要ないが、有能な人材にはきちんと給与を払い花業界で能力を発揮し活躍してもらいたい。

花屋オーナーとしてどうすればいいのか

まずは経営を学ぶということが重要です。
難しい経営学ではなく資金繰りや事業計画、年間の計画を立てていくら収入があっていくら支出があるのかを明確にすることで自社の現状がわかってきます。
そこから収益性が低い仕事や無駄なコストを削減して「儲かる」部分に力を入れられるようにします。
場合によっては長年の顧客を手放すこともありますが、収益性が低ければ仕事としての意味がないので決断も必要です。
花屋はよく考えると無駄な仕事が多いので一度客観的に自店を見直しましょう。
決してどんぶり勘定で経営するのではなく、さらに人を雇うなら適正な対価を払える状況にしてから雇用してください。

自分の将来のため

私は花屋を経営して17年が経過しました。
年齢も45歳になります。
現場の仕事をメインでやっていますが最近あと何年仕事ができるか考えるようになりました。
自分が創業者ならわかると思いますが、起業して継続するということはとてつもないリスクと努力と運が必要です。
今従業員である若い次世代の人達にこのハイリスクを冒して独立し0から花屋を起業させるくらいなら、今ある店を任せて継続させるという選択肢もあります。
有能な人材に店を継承し収益を分配することで、自分が作った店を若返らせてさらに長く継続できるかも知れません。
自分には理解できない新しい技術やサービスが生まれ大きな会社に成長するかも知れません。
創業者の0→1という過酷な道を開拓したことは「投資」だと考え、継承後にリターンとして死ぬまで配当を受け取ればいいと思います。
若く有能な人材を低賃金で雇用し使い捨てするのではなく、将来の継承者として考える道もあるのではないでしょうか。

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