紅茶のはなし
もっぱら私はコーヒー派。
朝の一杯に始まり、甘いお菓子のお供に、一息つきたいときに、、そうは言っても一日3杯程度だけど。
自宅ではカプセル式のコーヒーメーカーを使っているのだが、このご時世リモートワークで夫婦ともに自宅にいる時間が増え、これではランニングコストが馬鹿にならないと、朝の一杯だけはコーヒーメーカーで淹れ、あとはインスタントコーヒーで済ますようになった。ケチな、、もとい堅実な夫婦なのだ。
紅茶も好きだし、常備はしているけど、なんとなくいつもコーヒー。
だったのだが・・・
少し気になっている紅茶があって。
前にネットだか何だかでおいしいという情報を聞きつけ、頭の片隅にずっとあった紅茶。先日とある商業施設で買い物をしているときに、ふとそれを思い出し、その場で検索してみると、運命なのだろう、その商業施設に店舗があるではないか。ということで早速行ってみることに。
小さな空間ながら上質感・重厚感といったら。整然と美しく並べられた紅茶の缶。スーツを格好良く身にまとった男性スタッフの方が、ほどよい距離感で声をかけてくれる。そこはもう、まるでパリジェンヌが集うフランスの街角にあるオシャレなショップ(行ったことないけど)。
まぁこちらは完全にド素人。紅茶のことなんぞ全くわかりません。
なのでそれを正直に伝え、おすすめを紹介してもらうことに。
お兄さん、さっと人気の紅茶の缶を取り出し、手慣れた感じでさわやかな風を送ってその香りを体感させてくれます。
甘い香りが特徴的で、私一人で飲むならぜひ試したいところなのだが、好き嫌いの激しい夫にはちょっとハードルが高いかなと断念。もう少しベーシックなものをということで、アールグレイの類のものを出してもらう。
もうここまでしてもらったら引き下がれないよね〜。
気づいたら手に紙袋持っていましたよ、やってしまった!
紅茶の葉っぱに3000円!!
しかも有料の缶に入れてもらった。
店を出たあと、ずっと気になっていた紅茶を手に入れた満足感以上に、大きな罪悪感に苛まれた。
「もったいないから2杯目以降はインスタントコーヒーにしようね」
夫の言葉を思い出す。
何なら朝一番のカプセル式コーヒーも、1つのカプセルで二人分淹れる。濃いのが好きな私が一杯目、夫は二番だし。
外食に行っても私が酒を飲めば夫は水。
ランチも遠慮しがちにお財布に優しいメニューを選ぶ夫。
そうやって日々倹約しながら、時にはおいしいものを目一杯ごちそうしたり、服を買ってくれたり、そういうときはケチらずに思い切ってくれる。
それなのに私ったら、、
誰かへの贈り物ならいざ知らず、日々の自分の飲み物にこんなにお金をかけるなんて。夫が一生懸命働いている一方、ちっぽけな収入で休みも多い私、美容室帰りにお紅茶のショッピング???
私、なんてことしたんだ。この3000円があれば夫においしいごはんをつくられるじゃない。買い足したかった食器が買えたじゃない。あのとき我慢した3000円分が紅茶の葉っぱに消えてしまうなんて。
夫はそんなことに怒ったりしない、優しい。
だから余計に罪悪感に苛まれる。
電車に揺られながら、衝動買いってこういうことね、あぁせめて、夫も気軽に淹れられるティーバッグタイプにすればよかったのかも。そもそも自宅用になぜわざわざ有料の缶に入れてしまったの、色んな後悔が押し寄せる。
帰宅後、すべてを洗いざらい、かくかくしかじか説明する私。
そう、こんなに高そうなお紅茶買ったのだけど、高いものを買ってしまったのだという認識は持っていることを正直に伝える。
笑う夫。
「ところで渋谷に行ったんだったらあのお菓子買ってきた?」
夫の好物のフィナンシェのことである。
えぇ買おうと思ったのよ。でもこんな高いお紅茶買ってしまったんだもの。そちらは我慢したのよ。
夫、再び笑う。
あぁ、色んな意味で残念な妻だな、私、、。
そうよね、こんな立派なお紅茶なのだから、なにか特別なものを食べるときに開けましょう。
ということで、後日仕事帰りにケーキ屋でケーキを購入(また散財)。
私は季節のあまおうを使った豪華ないちごタルト。
フルーツを食べられない夫は一番安いチーズケーキ。
(ここは好き嫌いの問題なのでしかたない)
お湯を沸かし、ついにお紅茶開封の儀。
おいしくいただきましたよ。
コーヒーの香りももちろん好きだけど、紅茶の華やかな香りもなかなかオツなものです。
紅茶には罪はない。そして実際にやはりよかった。紅茶を買うまで、そして買ってからのいろんなドラマが背景にあったこともあるのかもしれないが、飲んだ瞬間、まるでCMのように自分の周りにお花が舞うような。コーヒーが日常の生活に寄り添うものだとしたら、この紅茶は飲んだ瞬間、どこか違う世界、異空間に連れて行ってくれるようなそんな華やかさ。
もうすぐGWなので、自宅でゆっくりパウンドケーキでも焼いてお紅茶を楽しもうかしら。そんなことを考えながら1杯の茶葉で、3杯目の紅茶を楽しむ私なのであった。
ところで余談なのだけど、いざ紅茶を淹れようと思ったら我が家にはコーヒーカップしかないことに気づいた。
そもそもコーヒー用、紅茶用って何が違うの?なんとなくぼんやりとはわかるのだけど、この際だからちょっと調べてみた。
コーヒーは冷めにくいように、厚手で飲み口が小さく(口径が小さい=その分背が高い)。
一方、紅茶は熱いお湯で淹れるのでできるだけ早く飲める温度に下げるために薄手で飲み口が広い(口径が大きい=その分背が低い)。さらに水色も楽しむために白ベースのものが多く、内側にデザインが施されているものも多いのだとか。澄んだ紅茶の色を通してその柄を目で楽しむ、ということらしい。
なるほどな〜。
紅茶って優雅な飲み物だな。ちょっとハイソ(死後!)
いや〜紅茶ひとつで色んな感情やら知識やら、新たな経験をさせてもらった春のできごとでした。
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