アイマス合同ライブ2023の楽曲演奏パターンは9種に分類できる
「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」(合同ライブ)では、キャストやブランドがミックスされているパターンが多かったように思い、どのような型に分類できるか検討しました。時間をかければ誰でも思いつくので新規性が特段あるわけではないですが、どのようなキャストの組み合わせが好きなのか・原曲通りのメンバーで歌って欲しいのか・カヴァーを許容できるのかなどを考える際に役立てばと思います。
「この分類方法は楽曲の意図やキャラクターの関係性を無視している、浅はかだ」と思う人もいるかもしれません。楽曲の意図やキャラクターの関係について考えることこそ重要だという意見には大いに賛同します。しかし、おそらくその方法では一部の楽曲について説明はできても全楽曲にパターンを適用するのはできないと思います。
この記事では「かっこいい系」や「かわいい系」といった主観が混じりそうな分類は扱わず、それは他の人に任せようと思います。楽曲の意図や背景で分類しなかった理由については記事の最後で言及します。分類方法よりもその先の話のほうがよっぽど重要ですが、それは別の機会にします。
フローチャート+分類の概要と定義の前提
図1が合同ライブでの楽曲を分類するフローチャートです。yesかnoで矢印を辿れば型が決定します。図に間違いがなければ、合同ライブで披露された全ての曲は9つの型に分類できるはずです。型とそれに対応する楽曲の例を挙げます。
「(A)原曲型」はCD音源(M@STER VERSION)での歌唱者をフルメンバーと定義します。ユニットのメンバーのみで歌唱する、あるいはソロ曲を本人が歌唱するなどです。合同ライブではミックスされての歌唱がほぼ全てなので、両日合わせてこのパターンはとても希少で2つしかありません。ちなみに今回のライブではソロの歌唱はないです。
「(B)フルメンバー+他ユニット混合型」は、CD音源でのメンバーに加えてユニットが1つ・2つ追加されている珍しいパターンです。「Trancing Pulse」のようにオリジナルのフルメンバーに加えて2ユニット追加されているものもあれば、「バベル 」のように元ユニットに1ユニット追加しているタイプがあります。
「ユニットで過不足なく分類できる」のが肝心で、たとえば「Gaze and Gaze」のようにフォーリンシーサイド+和久井 優&土屋 李央となっているパターンはこの型に該当しません。なぜならノクチルにはあと二人メンバーがいるので「ユニットの観点では」不足があると考えるからです。厳密な観点でいうとたとえばシャイニーカラーズは25人なので、本記事ではそのように定義します。
前述したフルメンバー以外の一部のメンバーが追加されたものと、各ブランドから一人ずつアイドルが追加されているものを「(C)フルメンバー+他アイドル混合型」に分類します。追加メンバーがユニット縛りではない分演者の采配として小回りが効くからか、両日合わせてこのパターンが最も多そうです。
前提としてこの記事では、765プロオールスターズとミリオンライブ!は別ブランドとして分けて考えます。たとえば如月千早は765プロオールスターズにのみ分類します。
「(D)1ブランド型」は歌唱者が原曲と同じ1ブランドで統一されているパターンです。今回のライブではシャイニーカラーズなどほとんどのブランドがday1とday2で出演するユニットが大きく異なります。本来ならブランド全員の数十人で歌う曲でも、その半数のメンバーで歌うような曲がこの型に該当します。
「(E)一部フルメンバー+他ユニット混合型」は型Bと似ているのですが、演者の都合などにより本来の歌唱メンバーが揃っていないものの追加で歌うメンバーがユニット粒度である型です。計3ユニットだったり2ユニットだったりします。
前述の型Eでもオリジナルの歌唱メンバー以外が複数のブランドになる可能性がありますが、「(F)一部フルメンバー+他ブランド混合型」はユニットの粒度で分けれない場合のパターンです。「過不足なく」というのは型Bと同様に判断します。「M@STERPIECE」もこの型に該当します。「CRYST@LOUD」だけは新しく10パターン目を作りそれに分類しようか迷いましたが、CD音源の5人をフルメンバーと定義してこの型に分類します。
「(G)他ブランド単体カヴァー型」は型Dと同様に歌唱者が1ブランドで統一されていますが、原曲とは異なる他ブランドで披露された場合のパターンです。
「(H)複数ブランドユニット混合カヴァー型」に該当する曲は型Aの次に種類が少ないです。本来のメンバーが誰一人いないにもかかわらず、ユニットの粒度で構成されています。
「(I)複数ブランドカオス型」はユニットの粒度で分類できないパターンで、ブランドの種類も最も多そうです。
分類をふまえての考察
定義と前提を説明したので、実際に合同ライブの全曲を本記事の基準で分類してみます。記事末尾に両日の分類結果を載せるので、興味がある方は先にそちらを読んでもらえればと思います。
さてここからが本題で、分類して諸々考えたことを書きます。客観的に言いたいことと主観的な感想が入り混じるかもしれませんが、できるだけ分けて書きます。正しいかどうかというよりは、こういう考え方もあるみたいな方向で読んでもらえると幸いです。
因数分解しやすいユニットの粒度でのコラボ
「(B)フルメンバー+他ユニット混合型」と「(C)フルメンバー+他アイドル混合型」は大雑把に言うとオリジナルメンバー+他メンバーなのですが、この2つの型を分けたのはユニットの粒度で扱うメリットがあると思ったからです。ユニット同士の組み合わせであれば、〇〇(ユニット名)と△△(ユニット名)が歌ったのだと一言で説明しやすいです。説明しやすいということは言語化するのも容易で他者に共有しやすい気がします。
〇□(キャラ名)と△□(キャラ名)と〇△(キャラ名)と△□(キャラ名)が歌ったというより複雑ではないということです(双子組が「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」を歌ったというのも説明しやすいですが)。「(I)複数ブランドカオス型」にあるうちの共通項を見出すのが難しそうなパターンよりは記憶もしやすいでしょう。これは型Bや型Cが型Iより優っていると言いたいのではなく、印象としてシンプルなのではないかという話です。
ユニットの粒度で思いついた2つ目は、今後IP(Intellectual Properties)間で連動しやすいのではないかということ。ユニット同士の組み合わせをいくつかみて想像したのが、ミリシタにおけるシンデレラとミリオンのゲーム内コラボでした。IP間を跨いでのコラボはこの前例があるので、もしかすると今回のライブでの2ブランドかつ2ユニットでの歌唱がきっかけでゲーム内コラボがあるかもしれません。「(I)複数ブランドカオス型」だとブランドの数が4や5になる場合もあり、それだとスタマスなどの所謂みんマスでないとコラボするのは難しそうに思います。
「(E)一部フルメンバー+他ユニット混合型」は演者の都合が理由で一部メンバーのみの出演となっていますが、セットリストを組んだ人の意図としては「(B)フルメンバー+他ユニット混合型」と全く同じなのではないかと思います。要は「〇〇(ユニット名)は演者の都合でフルメンバーじゃないけど△△(ユニット名)と組み合わせて演奏してもらいたい」ということです。
他にユニットの粒度で扱っているのは「(H)複数ブランドユニット混合カヴァー型」ですが、なぜこの組み合わせになったのか一考する価値はあるかもしれません。型(H)は両日ともいずれの曲も、歌っているメンバーのブランドと楽曲のブランドは異なっているのが特徴です。別ブランドの既存曲を異なる2ブランドの演者に歌唱させることで、2ブランドの新曲の方向性に影響を与えるかもしれません。もちろん楽曲側のブランドにも同じことが言えます。
まとめると、ライブ終了後の将来的にはユニットの粒度で扱えばバラバラに個々人を扱うよりもいろんな意味で扱いやすいのではないかということです。バラ売りよりセット売り・ダース売りのほうが売る方も買う方も扱いやすいみたいな話です。演者の都合上、型Bは型Cより実現難易度が高いのは自明でしょう。なので型Cのほうが型Bよりもパターンとして多く目立っています。
楽曲の前半と後半で変化する演奏
型Bや型Cのようにオリジナルメンバーがいる場合は、歌詞の1番をオリジナルメンバーで歌ってから2番以降に追加で演者が加わるパターンが多かった気がします。1分半程度はオリジナルメンバーで歌って後からフェスのように他ブランドの演者を混ぜる方法は、9つの分類の中でも原曲での演奏をある程度楽しませようとする意図はある気がします。
この演出をみて思い浮かんだのは、昨年話題になったワールドカップでのサッカー日本代表の戦術に似ていることです。日本代表も前半は「死んだふり」をして後半頭から攻撃的なカードを切って戦術を大幅に変えるみたいなことをしてドイツとスペインに勝利しました。今回のライブでの型Bや型Cも同様で、前半のフルメンバーのみの演奏と中盤以降での追加演者が加わる演奏では意味合いが変わる気がします。是非はさておきこの手法自体は面白いなと思いましたし、他でも流用できる気がしました。
「Destiny」で『あとから追加するなら初めから765全員で歌わせろ』みたいな意見も見かけたし同意するのですが、演出自体は特に面白かったと思います。元ブランドのメンバーに他ブランドのメンバーが混ざってきた規則性から、元ブランドのメンバーに元ブランドのメンバーを加える意外性で不意をつかれたからです。これを好意的に捉えるか、それとも否定的に捉えるかは各々の自由です。余談ですが10年以上前のとあるアニメのラジオの演出を思い出しました。男女二人組でMCを務めて毎回ゲストを呼んでたのですが、最終回は女性一人がMCでゲストにその男性を呼んだ演出と似てると思いました。
分類してみた理由
なぜ今回分類してみたかというのは、どれだけの場合分けができるのかという純粋な興味があったことです。加えて、どのカヴァーであれば許容できるのか・どのカヴァーなら好きではないと思うのかを考えるきっかけになればいいと思ったからです。自分自身がどのカヴァーをどこまで許容できるのか探りたかったのが理由です。
自分の場合、ライブに参加する前は「合同ライブといってもセットリストの順番がミックスされるだけで、基本はオリジナルメンバーによる歌唱でブランド混合での歌唱は多くないだろう」と思っていました。しかし実際はブランド混合での歌唱がほとんどで面食らってしましました。筆者の意見ではどの曲だろうがカヴァーよりもオリジナルが勝ると思っているので、こういうタイプの考えの人はカヴァーは苦手な可能性が高いです(であれば『合同ライブに合ってないので来るべきではない』云々の批判への返答は長くなるので割愛します)。
「どの曲を誰が歌おうが関係ない、アイマス最高!」みたいな意見の人は今すぐこの記事を閉じてもらえればと思いますが、もしそう考えるのであればVTuberがアイマスのカヴァーを勝手にやろうがお気持ち表明なんかしないはずです。もちろん合同ライブはアイマスのライブなのでIPと無関係のVTuberが歌うことなどないですが、その場合でも少なくとも「アイマスの演者でなければアイマスの曲は歌ってほしくない」というカヴァーに対する線引きはあるわけです。
たとえば自分だとシャニマスが特に好きなので「『ヒカリのdestination』はイルミネーションスターズの演者以外で歌うのは違う」と思っている一方で、「『虹色ミラクル』をシャニマスが歌うのはどうなんだ、765に歌わせてほしい」とも思いました(歌詞がシャニマスと親和性がありそうなのはわかりますが)。しかし「SWEET♡STEP」のSideMカヴァーは別に嫌いではなかったので、(自分の場合は)一概に全てのカヴァーに嫌悪感を示すというわけでもなさそうです。ということは今回の分類方法で同じ型に分類されているものでも、許容できるものとそうでないものがあるわけで、すなわち別の評価軸があることがわかります。
キャラクターの関係や楽曲背景で分類しなかった理由
今更ですが今回は演者の種類で分けただけなので、他にも分類方法は考えれます。しかし、たとえばなぜキャラクターの関係や楽曲背景でパターン分けしなかったかというと、要素分解がとても複雑であり、そして多分に感覚的な結果になると予想したからです。
ユニットでの分類にこだわったのもこれが理由です。ユニットに所属しているというのは客観的な事実です。なので前述した通り、「〇〇(ユニット名)と△△(ユニット名)が歌った」とシンプルに一言で説明できてしまいます。
演者とその所属ブランドで分類する方法はとても単純であり、そして客観的なので誰がどうみても自明です。しかしキャラクターの関係や楽曲で分けるとすると、「この曲の曲調はカッコいい系だから、カッコいい系のメンバーで組んだんだ」「各ブランドのお姉さんキャラを集めた」など、主観的な判断になる可能性が高いと思います。
たとえば、(巷で言うところの)「各ブランドの信号機の青が歌った」「各ブランドの信号機の黄色キャラ三人が歌った」であればユニットとして公式な名称がなくてもまだ説明はしやすいです。しかし全パターンで最も複雑な「(I)複数ブランドカオス型」や、「(C)フルメンバー+他アイドル混合型」における他ブランドのアイドルの組み方にはおそらくパターンはないと思います。なぜなら演者が1回のライブで歌える曲には限度があるし、大勢の演者を偏りなうローテーションさせる必要があるなど演者サイドの都合も大いに影響しているはずだからです。
また個人的な理由ですが、今回のライブの演出家が強い信念や設計思想に基づいてライブを組むタイプの人ではないと思ってることもあります。各ブランドの双子アイドルだからとか、ユニットのエンブレムに三角形が入ってるからだとか、料理が得意だからぐらいの共通項しかないのではと思ったからです。
Twitterランドでは「『Trancing Pulse』が異物混入されている」と言う人もいれば、「『Trancing Pulse』に他ユニット2つ追加された良さがわからない奴は『浅いオタク』だ」と宣っている輩もいます。異物混入と考えるのか解釈一致と考えるのかは個人の感性によると思いますし、自分も最終的にどういう考えになるかをこの記事などを通して模索しています。
客観的に説明できない組み合わせでも人によっては感動できる
今回の分類方法について考えているなかで、全く別の視点で思いついたこともあります。それは人によっては全く関連を見出せない組み合わせでも、別の人にとっては感動できる組み合わせかもしれないということです。
たとえば、ユニットの雰囲気もアイドル個人としての性格やスタイルにおいてもほとんど関連を見出せないブランドの異なるキャラAとキャラBがいたとします。この2キャラの演者が今回のライブで一緒に歌ったとしても、ほとんどの人は関連を見出せないかもしれません。しかしブランドを跨いでAとBを担当しているファンにとっては、ブランド間の担当同士が共演していると唯一無二の感動になるでしょう。
別ブランドで必ずしも同じようなタイプのキャラを好きになるとは限らないでしょうし、この可能性はあり得ます。ただしこれが大勢の人たちにとっても同じように共感され、賛同を得られるかは難しい気がします。単純な2ユニットの組み合わせより説明に時間を要するだろうし、共通項を探るのが難しいからです。とはいえ、ある人にとってはとても思い出深いものになるでしょう。それは尊いものだと思います。
楽曲の分類結果
本来なら最後にまとめを書くのですが、今回はとくにまとめることはないです。強いて言うならこの分析結果がまとめみたいなものなので、これで締めたいと思います。曲名の頭についているのはセットリストでの番号で、♪のあとが歌唱者です。セットリストは公式サイトから引用しました。文字数削減のために、フルメンバーの場合はユニット名のみ書いてます。
day1
day2
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