『劇作家による著作権との付き合い方勉強会 “もし私が今日死んだら”』開催延期のお知らせ

平素より劇作家女子会。をお引き立て頂きまして、誠にありがとうございます。

劇作家女子会。では、3月14日(土)に、劇作家女子会。のQuest②として、『劇作家による著作権との付き合い方勉強会 “もし私が今日死んだら”』を予定しておりました。

しかしながら、新型コロナウイルスの拡大とその対策の情勢が刻々と変化する現状を鑑み、劇作家女子会。メンバーで話し合った結果、『劇作家による著作権との付き合い方勉強会 “もし私が今日死んだら”』のイベント開催を延期とさせて頂くことになりました

イベントにパネラーとしてご登壇頂く予定だった、演出家の川口典成氏、黒澤世莉氏。
ゲストとしてお招きしていた福井健策氏。会場のBUoY Cafe、何よりご予約を頂いていたお客様方に、このようなご報告となりご迷惑をおかけすることを、お詫び申し上げます。

イベントについては、引き続き状況を注視しつつ、時期をあらためて開催する予定です。

なにとぞご理解ご容赦のほどよろしくお願いいたします。

以下、この度のイベントの開催是非について、劇作家女子会。で話し合った内容になります。
お時間とご興味ありましたらご一読ください。

イベント開催の是非については、議題にあがってから結論を出すまでに、劇作家女子会。でも時間がかかりました。主な論点としては、

1)感染症の影響によるイベントの収支

2)感染症の拡大による日用品の不足等、人々の生活への影響が増しているなか、イベントへ参加しようという気持ちをお客様がもてるのか

3)イベントを自分たちのやりたい形で開催可能か

という点です。
収支については、今回はもともと規模の小さいイベントの予定だったため、赤字がでたとしても私達で担えない金額ではありませんでした。

また、多くのイベント、公演が延期や中止となっていった2月下旬においても、イベントに予約をいれてくれるお客様がおり、そうした方の存在は女子会。のメンバーの気持ちを奮い立たせてくれました。

今私達の周囲では、多くの公演、イベントが中止や延期となっています。
公共の施設に関わるところでは、首相の自粛要請をうけクローズせざるを得ない事情もあるでしょうし、そうでない場所でも多くの劇場や劇団、団体が、情勢を鑑みて中止や延期という選択をされています。いずれにしても苦渋の決断だと思います。

その、多くの公演やイベントが中止や延期をせざるをえない現状への憤り、反抗心、今なお予約をいれてくれるお客様のためにイベントを開催出来ないか、という思いは今も、劇作家女子会。メンバーのなかに少なからずあります。

それをおして、最終的に今回のイベントを延期する決断をしたのは、今の状況では私達がやりたい形でイベントを開催することが出来ない、という判断をしたためです。

『劇作家による著作権との付き合い方勉強会“もし私が今日死んだら”』のイベントは当初、

・メンバーであるモスクワカヌの生前葬を通じて死後の劇作家の著作権を考えること
・福井健策氏、川口典成氏、黒澤世莉氏をお招きしての著作権についてのトークイベント
・参加者同士による、自分の死後、著作権のある自身の創作物について話し合い考えてもらうワークショップ

といった構成を考えていました。

しかしながら、平時でもやや不謹慎と受け取られかねない生前葬を、感染症による死者が連日報道される今行うことは本意ではありません。
(どんな表現も、いつでも誰かを傷つけ不快にさせる可能性があるとはいえ、現状では不適切な形式だと考えています)

また、イベントの参加者同士で話し合い考えてもらうワークショップを行う場合、感染の要件となる「対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされるような環境」が発生し、通常の演劇やコンサートよりも感染リスクが大きい可能性があります。

生前葬や参加者同士で話し合う時間を削り、登壇者が参加者にむけて講義するといった内容にすれば上記のリスクは抑えられるかもしれません。
ですが一方向のイベントは、劇作家女子会。がもともと開催したかったイベントの姿と異なります。

会場に消毒用アルコールを設置する、映像配信にする、無観客にしてイベントだけ開催し後日レポートにして発表する等、イベントの開催にむけて様々な案をだし話合いの時間をもちました。
ですが、やはりライヴで、私達がやりたい形で開催したイベントに人をお招きしたいという結論となり、今回私達はイベントの延期を選択させて頂きました。

勝手なお願いではございますが、ご理解頂ければ幸いです。

最後に、現時点で、中止や延期を選択する場もあれば、開き続けることを選択する場もあります。
いずれの決断も、その催しに手と心と時間をかけて関わってきた人が考え悩み、痛みを伴いながら選んだことだと思いますし、そうであって欲しいと思っています。

混沌とした社会のなかで、異なる立場や選択が尊重されることを願いつつ、最後のご挨拶にかえさせて頂きます。

(文責:モスクワカヌ)

劇作家女子会。は「死後に戯曲が残る作家になる」を目標に集結した、坂本鈴、オノマリコ、黒川陽子、モスクワカヌによる劇作家チームです。 演劇公演やイベント、ワークショップ、noteで対談記事を公開する等の活動をしています。 私達をサポートして頂ければ幸いです!