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20周年特別インタビュー(11)大橋敦史×紙本明子

7月某日 大阪某所で

紙本:現在は大阪で、バリバリの商業演劇の営業をされている、大橋敦史さんです!よろしくお願いしますー。

大橋:めちぇめちゃ汗かいて営業してます。衛星の時の比じゃないですね笑

<大橋敦史プロフィール>

愛知県半田市出身。制作者。拠点にしていた名古屋を離れ、2009年より11年間の全国武者修行の旅に出ることを決意。移住しながら各地のフェスティバル事務局や劇場に在籍し、転戦中。2010年春〜2012年秋、フリンジシアタープロジェクトに修行に来て、劇団衛星メンバーとともに、KAIKAの立ち上げに携わった。


劇団衛星、ユニット美人との出会いは?

大橋:劇団員との出会いで言えば、植村さんですね。「PMP2006(※2006年に東京で行われた制作者の勉強会。各地の制作者が集まった)」で出会いました。「劇団衛星」を僕が知ったのは、それより随分前に、名古屋でやっていた「東海シアタープロジェクト」の(サイトの)掲示板に、劇団衛星の・・誰かわからない人なんだけど、書き込みをしてくれて、それで知ったんです。

紙本:へー!誰やろう?

大橋:"名古屋から京都までは電車で何分です!"とか、"チラシ配布にご協力ください!"っていう書き込みがあって、えらい元気な劇団があるな・・と思ったのが最初ですね。いつだったかな、2002年とかかな。

紙本:「(劇団衛星の)コックピット」の初演とかですかねー?

大橋:作品自体を最初に観たのは、「大陪審」の豊田公演(※2009年9月豊田子ども劇場の公演として上演)で観ましたね。

紙本:その時はどういう印象でしたか?

大橋:やっぱり役者がよかったですよね。

紙本:おう!!!嬉しい!

大橋:舞台を観たのは、ユニット美人の方が先だったかな。「カラフル」(※名古屋の演劇人によって企画された演劇ショーケースイベント。2009年5月に愛知で行われた、大橋さんがプロデューサーを務める「カラフル3」にユニット美人が出演した)ですね。


「カラフル3」とユニット美人

紙本:「カラフル」のプロデューサーだった大橋さん、2009年の「カラフル3」に、なんでユニット美人を呼んでくれたんでしょうか?

大橋:僕、以前、公立劇場にいたんですけど、企画として取上げる作品って、企画書とか大人のあれこれで結局は決まるんですよね。

紙本:ほう。

大橋:企画書が面白く書けていて、他の劇場でも上演するので安くでいけますよ!とか、しっかりした運営してそうだ、とか。もちろんそれだけじゃないんですけど。なんか、そういうのが嫌だったんですよ。「書店員が今読んで欲しい作品」みたいに、「私が応援する作品集!」みたいな事がやりたくって。それで、僕以外の人にも選んでもらったら面白いんじゃないかって事で、全国のプロデューサーに推薦してもらったんです。

京都は、ニットキャップシアターは直接お声がけさせて頂いて、もう1団体を植村さんに推薦をお願いしたんです。そうしたら、"私が言うのもあれなんやけど、ユニット美人ってどうかな"って言われまして。

紙本:なるほど!植村さんのおかげで、出れたんや。「カラフル3」は本当に楽しかったです。

大橋:「カラフル」は「金沢ラウンド」(※2011年9月金沢市民芸術村で開催。ここにもユニット美人が出演した。)で一旦終わってますけど、僕の武者修行終わりでまたやりたいなと思ってます。

紙本:わあ、ぜひやってほしいです。


武者修行の旅とは、、

大橋:武者修行の旅に出るのを決めたのが、2009年。11年間の演劇制作武者修行に出て、2020年に名古屋カムバック予定です。

紙本:なんで武者修行に出ることにしたんですか?

大橋:大変だったんだよね、「カラフル」が笑

紙本:ああ…。

大橋:でも、本当にいい経験だったし、力もつけさせてもらったんだけどね。何にもできんな俺。なんも知らんな俺…って思ったんだよね。

紙本:そこで、2010年にフリンジシアタープロジェクトに修行に来て、KAIKAをオープンしたんですよね。

大橋:そうそう。


はじめて劇団衛星と一緒に仕事をした感想は?

大橋:"劇団" だな・・てことですよね。リーダーがいて、みんながリーダーを信頼して動く、みたいな。素晴らしい作品やコンテンツもあると思うんですけど、劇団力が強いなって思ったのが最初の印象でした。

紙本:働き出して、これは大変だった!とかっていう経験は?

大橋:あのー、大変だったのが、KAIKAのオープンのための掃除ですね笑

紙本:そうですね!ずっと倉庫状態でしたから。(※2010年7月にオープンする前、長らく使われず倉庫として放置されていたので、大掃除から始めた。)

大橋:当時のKAIKAは、ドラクエで歩くたびに毒でダメージ受けるみたいな状態でしたね。

紙本:あはははは!

大橋:天井から不思議な粉が降ってくるんですよ。今は、KAIKAの天井抜いてますけど、昔はね、天井があったんですよね。

紙本:そうそう、照明を吊るために、一部だけ天井をくりぬいたりして使ってました。

大橋:それで、面白かったのが、衛星が使った後、一部変な穴があいてる状態(※「劇団衛星のコックピット」公演の際、サスを吊りたい部分だけ天井に穴を開けた。)で、他の劇団に「はいどーぞ!」ってそのまま貸しちゃうっていうのが、もう、「ええ!?」みたいな笑

紙本:あはははっ。確かに。明らかにおかしな穴の開き方でしたもんね。

大橋:そうそう笑。お客さんからも完全に見えてるんだけどさ。で、「東京デスロック(※2011年に初めてKAIKAを使った外部の団体でした)」が来た時に、「せっかく穴開いてるし使おう」って、照明さんが天井の謎穴を使うんですよね笑。そんな心意気のある人たちが集まってくる場所になってて、その時にしかできない作品たちが生まれていってた。

もともと衛星は、劇場じゃない場所で作品を創る集団でもあるので、KAIKAが出来て行く様そのものが、蓮行さんの作品だったと思うんですよね。そこのプロセスにおつきあいさせてもらえたのが印象深かったですね。


蓮行さんとはどんな人ですか?

大橋:人と向き合う人ですよね。結局、人が大好きなんだろうなって思います。確かに、代表もやっていて、開拓者でもあるので、厳しいことも言いますし、言われましたし、女子にしか興味ない!とかおっしゃってましたけど。

紙本:友達はいないようですけどね笑

大橋:人が好き!とかそんなんじゃないですけど、蓮行さんは人を通して作品をつくったり、表現をしてる。人を育てる。そんな印象ですね。実際、人材育ってますしね!

紙本:育ってますかね〜。

大橋:自立した俳優集団だと思います。これまでもたくさんの演劇人を輩出してるしなあ。

紙本:それでは、最後に、劇団衛星に一言お願いします。

大橋:いつまでも、プロでいてください。

紙本:おおう。

大橋:衛星の独自のやり方で存在していてほしいです。衛星はいつまでも衛星だなー!って言いたいです。

紙本:ありがとうございます。

大橋:あと、ユニット美人に対しては、吉田寮食堂であの近距離で観た眩しいブルマ姿が忘れられないんですよ。なので、いつまでもブルマを履いててほしい。

紙本:頑張ります!

おわり。

劇団衛星の活動継続と公演の実現に向けて、みなさんのサポートを、ありがたく受け取っております。応援ありがとうございます。