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8月・麦わら帽子をなくした・日記


1日


西武新宿線で野村克也みたいなおじいさんが、ロロノアゾロと鷹の目のミホークがかれてるシャツを着てた。

モスグリーン色

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小平霊園の横でiPhoneを拾ったので駅前の交番に持って行く。

警官の第一声が「急いでます?」で、たのもしかった。

52分の電車に乗って、鷺宮に10分に着きたかった。なんの書類にも書かずに出勤。

iFaceって書いてあった。

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誤配達を2件。

気持ちがゆるんでる。

2日


小平駅前のファミリーマート前で、飲み終えたお茶ペットボトルを道に捨ててる細いじいさんがいて、ポイ捨てするなよ!と反射的に言っていた。細いじいさんだから反射的に言えたんだと思う。

空中から落とす感じじゃなく、百恵ちゃんが引退するときのマイクの置き方で〈寝かしてた〉ので、なんか 倍 腹立った。うるさい落下音は聞きたくないのかよ。


「町を汚すな」ってよりも、「この世の他人は自分に注意してこない」と思ってる、その脳をびっくりさせたい感情で怒ってた。

戻ってきた細いそいつに、ペットボトルを拾って手に掴ませたけど、拾わせればよかった。おれの手元にはキャップだけ残ったし。むっかつく

3日

休み。中原昌也作業日誌で「陽気な夜まわり」がすごいと書かれてて資料取り寄せしてた「古井由吉自選短編集」が到着してたので図書館へ。


家にあったらもっと黄色いんだろうな

夜はこっちの部屋でうなぎを食べる約束を母としてたので、17時までに帰る。
国産の小さめのうなぎだったので、卵も二玉焼いて丼ご飯に隙間にしく。

近くの病院で配膳の仕事をみつけたみたいで、健康診断の結果が大丈夫なら中旬くらいから働くらしい。母の毎日がカラフルになるといい。

なんでこんなに友達と会えてるんだろう。東京に来たの一年半前なのに。

母が帰ったあと「岬の兄妹」を見る。
さっきまで母親がいた部屋で見るには気まずい映画。

濡れ場がいやな邦画は他に「百円の恋」とかがあるよねみたいな話をしてたら「次はこちら」に出る。


なにかを食べながら観るのは無理だと思う。

4日

武骨すぎて「松屋」とすら言わない地図


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幽霊の足元の消えかた


5日


気に入ってたんだけど、この扇風機がこうなことを知らない来客が指をズタズタにする可能性に突如 気づいたので、他の部分も留めていく。
クーラーの中で楽しく留めていく。


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志(こころざし)半(なか)ば

6日

図書館で隣だった男の子(中学一年生だと思う)が、自己採点をしてるんだと思うんだけど赤ペンのシャッ!がうるさくて、ペンを置くのもうるさくて、いきなり立ってこっちの椅子を引っ掛けて座高が浮いたり、シゲキックスを食べたりしていて(この子が「この世、クソだな」と思わない程度のトーンで注意しようかな)と思っていたらアイマスクを出してきて、眠ってしまった。

もう知らん!

と楽しかった。


夏を楽しみやがって

⚫︎


鷺ノ宮駅前から中野駅方面を見た。あのマンション群に立ってこっちを見るのもやってみたい。配達のエリア外。

8月7日(水曜日)

日にちだけ書くと、なんか読んでて心に入ってこないな。なんでなんだろう。×月×日表記にする。

「自分は8月7日なにをしてただろう」と思いたいもんな。
人の日記本とか読んでても

今日と明日は休み。「喧嘩稼業」を残して「喧嘩商売」は売りにいこうと思ったんだけど水中書店は休み。

焼きそばが食べたいくせに、おいしくならないイチョウ切りにニンジンをするのを辞めなかった自分に胸を開き、心を入れ替え、千切りにしたら劇的においしくなった。



今度はここにちくわを入れよう。

8月8日(木曜日)

沖縄から友達が来てたので吉祥寺で会う。喋ってると那覇に1ヵ月、石垣に1ヵ月くらい暮らしたくなる。昼を食べれてなかったので、クロックムッシュというのを食べた。

写真ありがとう!

バイバイしたあと三鷹駅に移り、水中書店で百円の「en-TAXI」を三冊と、嶽本野ばらの「遺言」を買う。りんてん舎にも行く。サグな亡くなりかたをした友達のことでけっこう頭がいっぱいになって、東伏見駅まで歩く。「れんげ食堂」というところでチキン南蛮定食を食べる。帰ってお線香をあげる。

8月9日(金曜日)

古本の嶽本野ばら「遺言」のヘンリー・ダーガーのページでぶっとく折られてたドッグイヤー

菊地成孔を読んでるときみたいな快感がある。
「まったく分からない話題であろうがこのようにすらすらと喋ってる人」



【布団で寝るまでのあいだやってくることがある「母親がいつかはけがしたり病気したりで体を悪くして、亡くなってしまうことが怖くなる」の時間のあと、その時刻に送ると通知で起こしてしまうから翌朝にトーストを食べながら送った】だ

8月10日(土曜日)

親との会話をログアウトすな

8月11日(日曜日)

国立で九時半に髪。


7階から階段で帰るのがほんとうに好きだ……

家の押し入れにある、プリントアウト用紙での穂村弘『熱い犬』を読もうとしたら最初の一枚目が無かったので、都立多摩図書館にコピーし直しにいく。
佐佐木定綱さんがとった号の「角川短歌」だったのだな。

「熱い犬」派か「ふりかけの町」派か、みたいな雑談のテーマがあったころが懐かしい、
「熱い犬」派は人数的に分が悪かったけど、
今でもこの連作は好きです。

何もそんな泣くようなことを書いてないのに涙がでてくる。

穂村さん×海×(直接は書かない形での)いつかはみんな死んでしまう感 という配合を読みながら見つけた感じ。

『ぶご』の、月の夜×年を取った親 という配合も最高。

瀬戸夏子さんの木原音瀬評(SFマガジン)という文章を見つけてそれも複写申し込みする。『雪の偶然』が釈迢空賞をとったときの選考員評を読みたくてその号もコピーする。

14時に御茶ノ水の『遠い感』批評会へ。ホームから大鶴肥満が入れ違いで乗ってきた。初めて伝説のすた丼やに行って唐揚げ定食を食べる。


「シロソウスキーさんとか通ったら手を振るのにな」と思いながら定食を待った。衣にギトった油の黒色が入ってて、体に悪いもん食べてるなーの喜びがあった。

パネリストで出てるんでない限り、批評会は悔しくて終わる。
ミステリーの「新本格」みたいな感じで、理想とする短歌観は一人一派みたいな感じで各々の心の中なにあるジャンルだと思うので、誰も誰の言うことに100で納得しない。で、それで本当にいいと思うんだけど、納得しないけど聞けるものは聞く の人の空気にあてられてしまうことがある。この日はそうで、自分だってその空気を出してると思うし。

よっぽど、みんなの時間を無駄に奪うんでない意識……っつうか……自分はこの世へスタンドプレーをしにきたわけではなさ、を忘れないようにしないと活動期間=「今日もあのグロい人来てるね」になってしまう。

懇親会、お金だけ払ってやっぱり帰ろうかなと頭の中で思っていたほどはつらいことにはならなかった。初めての人とも何人か話した。初めて見る人が楽しそうだと「何よりです」と思う。

8月12日(月曜日)





【もしもタモリが老後に本当に独りぼっちになったら】

批評会の翌日に運送業で働くと一日頭のなかで自分に欠けている要素についてを考えるはめになる ももう6年目くらいだ。

警備員とかのときはあんまり思わないんだよな。

8月13日(火曜日)


霊園のお墓がないエリア

電車がほんとにガラガラ。通勤しやすい。
休憩のときに行ったら図書館は信じられないくらい人がいた。

8月14日(水曜日)

はだしさんがきれいな空の写真をあげてるのがなんでこんなにおもしろいんだろう

8月16日(金曜日)

台風で休みになる。焼きそばを作って窓の外を見ながら食べる。


もともとは母親と食べる予定だったんだけど、あまりにも真っ白すぎる外なのでジップロックに入れて持っていく。


やっぱり無理があったか


帰ってきてからは後遺症ラジオを読む。
「不安の種」の方が好き。でもラスト2冊がすごい。

8月17日(土曜日)

中島裕介さんが四ツ谷で開いてくれたSS歌会に参加する。つくづく、いろんな歌会がある。
懇親会のモツのお店で飲んだ野村? 野口研究所? の日本酒がおいしかった。

帰りにJRの四ツ谷から西武新宿まで歩く。「喝采」ばっかりを延々、延々、聞く。

帰りの町をめっちゃ歩くの好きになってきた。
ナルシストみたいな気持ちになれる。

8月19日(月曜日)

読んだ「後遺症ラジオ」と喧嘩商売、月に吠えらんねえの十巻まで、そのほかを売りに三鷹まで小平〜東伏見〜三鷹で売りにいく。千円。小平駅前の王将でチャーハンセットを食べるとそのくらいになる。

マンガの入ってたリュックごと店員さんに渡すときに、中身をいったん店の前の花壇に出しといたこれ


を忘れてきてしまう。
もうバスにも乗った帰りの最終盤で気づいて、大雨の外を見た。


この耳のところから目を覗かせた自撮りを撮ろうと思ってたのに、


8月20日(火曜日)

服に吹きかける冷却ミストスプレーも置いてきてしまったので、ひさびさに体ひとつで配達する。夏の住宅街はわかめスープの中みたいにトロトロとした走りにくい暑さ。
休憩時間の図書館でゴリラが描かれた冷却スプレーを注文する。アコースティックギターを立てておく700円の台も。

麦わら帽子とハットを一つずつ、冷却スプレーとミニ・イーゼルを失くして傘を2本折った夏になった。味噌汁は一回も腐らせなかった。飲むたびに椀のなかで味噌をとくスタイルにしたから。

図書館席の向かいに座っていた篠弘に似てるおじさんが、「これは要らない…笑」 「うん?これは…」 みたいにぺちゃぺちゃ独り言をいいながらハサミでなにかをスクラップしていた。


運送も楽しいよ。
デザインが毎月怖いので注目してる催し
また、死しかおもしろくない時期かよこいつ

8月21日(水曜日)

休み。母と近くの「とんぼラーメン」に初めて鯛ラーメンを食べにいくも店主さん体調不良のため休み。となりの「喜楽」で自分はニラ肉そば、母はギョウザが三切れついてくる醤油ラーメンを食べた。

母の座ってる席からは天井のテレビが見えたので、甲子園を見ている向かいで「ギャバン」の原材料のところを見ていた。原産地がマレーシア。

ラジオ体操友だちのじいさんからBluetoothスピーカーをもらったらしく、部屋に行って設定をする。このじいさんがハーモニカを吹き、母が喜納昌吉の「花」を歌う見せものを老人ホームに行って慰問でしたんだけどハーモニカが歌声に負けてしまうので、Bluetoothスピーカーでカラオケ音源を流して次はやろうということに決まったらしい。

ずっと何をしてるんだ。

部屋に帰ってきて、「芥川追想」を読む。萩原朔太郎のパートが長い。「月に吠えらんねえ」に芥川龍之介が出てきた理由がやっとわかった。

「ちあきなおみに会いたい」に引き続いての、ひとりのスターが「あの人は天才だ」と延々 生き残り者(しゃ)たちに語られる感じの本は、だんだん自分が称賛されてるような気分になってくる効能を持つと思う。思考回路としてやばいのだろうか。織り込まれてる要素だと思うんだけど。

今は16時。


8月22日(木曜日)

隣の自転車にカマキリがいた。



8月23日(金曜日)

鳩がまた「始めて」いる。

自分のことばっかりしやがって


自分のことばっかりしてるからそんなおもしろい見た目になるんだ

8月24日(土曜日)

いやぁ、いいね 窓の外


自分に好きな人がいたような気がしてくるね

8月25日(日曜日)

朝起きて「アフターサン」を見て、午後はLOSTAGEのライブを観に川崎のクラブチッタへ。






ツアーファイナル。クラブチッタ初めて来たし、川崎の駅前は資本が自分に対してムラムラしまくってる空間の活気があった。
一人1万7千円くらい使わせようとしてる気概を感じた。

結局チッタのワンドリンクのハイネケンへ600円しか落とさずに帰ったけど、こういう町のお昼に真っ白いポロシャツとか買ったら気分いいだろうな! ラコステの。

「手紙」の終盤の五味兄さんが叫びまくるところはやっぱりかっこいいですね。
ニコニコ動画にあがってる4人時代の演奏だと、〈うじゃうじゃじゃじゃ〉みたいな字幕をつけられてるところ。

ここに、動きも加わってて、叫びながらステージをかなり動き回っててて、ほんとうに自由な動物に見えて嬉しかった。
ライブはこういうのが見れるので開放される。


前髪の髪質が自分が若者だったときに見てた若作りのじじいの写真のそれだな~


川崎~品川~高田馬場~小平。

8月26日(月曜日)

自転車 ✖️返却 ◯譲渡 自宅 2時間 麦茶 タイプ音 速い 間取り 浴室 森新一の「冬のリヴィエラ」を聴きながら向かったけど、どっちかというと帰りに聞いた方がよかった 帰りの電車で九月のパフェ屋を予約してる人たちが隣にいて一方的、にイケてそうな見た目の方の女の人ばっかりが喋っててこの人の交友圏内にいたらおれなんて「なんか短歌? 小説ではないらしい! 服いつもいっしょ。たまに短パン。前髪とかを作らない。いつもよくわからないこと言ってる。」と片付けられてしまうだろう。と思ってたら渋谷

「恋関連でみっともなかった」日に最寄駅の駅前で家系ラーメン食って帰るやつまじで普通

帰ってからコッペパンも二つ食べる

おれはザコすぎ

8月27日(火曜日)

起きたらベランダがけっこう雨残りしてた。
夜のうちに降ってたのか。スリッパの先に溜まってた水の光に見とれた。

8月28日(水曜日)

8月2日の日記にいた、飲み終わりペットボトルを歌手引退の置き方で地面に捨ててた人が、今度は駐輪所のところで「ウコンの力」を缶の蓋と缶を別々に、少し離した位置で同じ捨て方をしてたので「おい!」と言った。

あんなに出会ってすぐに人に「おい!」と言うことはもう今後ないかもしれない。おい!と言っていた。

「前も捨ててたよねー!?」と言ったら「はい、 はい、」と拾いながら霊園側じゃないほうの道へ歩いて行ってなんなんだこの人と思った。

今度は以前よりよく見る余裕があったせいか顔をよく見れて、そんなにおじいさんじゃない年齢くらいの人で、駅に向かいながらちょっと怖くなった。

注意の仕方を考えたほうがあの人にとって良い人なのかもしれない。

ぜったい3回目もあると思う。
職場とか聞いてみようかな。

聞きだせなくても良くて、自分の悪事(言われたらすぐ拾うってことは、たぶん悪いと思いながらやってるはずなので)に、「職場」って言葉をつなげることで、いやなパブロフの犬をできるんじゃないか。

「免許証」とかもいいかも



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