『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』

           著者 : 橘 玲 (たちばな あきら)

 私は会計事務所に15年以上、勤めています。
 税理士業界のことを、あまりにも赤裸々に書いてあり、ニヤニヤしながら読んだ箇所をご紹介します。


 税務署と税理士の関係は、税務署OBが地元で税理士として開業することで、さらに歪なものになります。
 日本では、23年以上税務署に勤めた職員に無試験で税理士資格が与えられます。国税OBの税理士は、全国7万5,000人の税理士の半数に及びます。国家資格であるにもかかわらず、試験で選ばれた者が半数しかいないという不思議な世界です。さらに、弁護士や公認会計士も税理士業務ができますから、いっそう話がややこしくなります。
 欧米では、税法にかかわる相談は弁護士の仕事とされています。税理士という職業は、そもそも存在しません。

 ウチの所長もいわゆる「国税OB」であり、「法人課税部門」出身であり、独立当初はほとんど「法人税」のことしか知らず、他の税法は知らない状態だったと思われます。


 公認会計士が税理士を兼務できるのも珍しい制度です。会計士はその名のとおり会計の専門家で、専門に税法を勉強したわけではないからです。ただし資格試験としては公認会計士の方がはるかに難しいため、彼らは税理士のことを馬鹿にしています。

 これまで仕事で直接、公認会計士の方に関わったことがありませんが、さすがに”馬鹿にしています。”は言い過ぎでしょうね。
 おもろいですが・・・。
 公認会計士の試験に税法が無いので、当然、実務でもわからないはずなので、逆に税理士が公認会計士を、馬鹿にすることがあるかもしれません。


 税理士のなかでも試験組は、このこと(上記)に強いコンプレックスを持っています。弁護士は仕方ないとしても、税について大した知識のない公認会計士にまで見下されるのが耐えられないのです。そして、自分たちの地位が低いのは、試験も受けずに税理士になる人間が半分もいるからだと考えています。

 「国税OB」の先生は最短でも、23年間国税関係の部署を勤めてから開業するので、どうしても高齢の人が多くなります。
 税務署であまりパソコンを使わないのか、コンピューターに疎い人が多い印象を受けます。
 また多くの場合、自分が勤めていた部門の税法しか知らないので、税理士になってから勉強する必要があります。
 でも、まー勉強といっても税理士会が用意した研修生に行くくらいになるんじゃないですかね・・・。
 なので試験組とは、知識量でかなり差があるのでは・・・。 


 一方の税務署OBは、ひとの嫌がる仕事を20年以上やってきたのだから、税理士の資格を与えられるのは当然の権利と考えています。しかしそれでも、試験組の税理士からは蔑みの視線は意識していますから、面白いはずはありません。こうして、税理士業界の内部は試験組と税務署OB組で真っ二つに割れています。
 無試験で税理士資格を与える制度はずっと批判の対象となってきましたが、税務署当局はこれを廃止することはできません。
 税務署員の多くが、税理士資格を目当てに日々の過酷な仕事に耐えているからです。その特典をなくしてしまったら、人材の確保ができなくなってしまいます。

 このような背景を知っている顧問先の個人事業主から、税務調査に入られたとき、ウチの先生が税務署と裏で繋がってるのではないかと、勘繰られたことがありました。税務調査後、その事業主はウチとの契約解除を申し出られました。

 他にも私が税理士業界で知らなかったことなどが、書いてあり非常に興味深かったです。興味のある方は是非一度、読んでみてください。

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