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石膏像を作っています5月21日

いつもこちらのnoteをご覧いただきありがとうございます。

本業の石膏像の製作が繁忙期真っ只中ということもあり、ここ数週間の古代エジプト編は少し機械的な更新になってしまいました。古代ギリシア・ローマ、ルネサンスなどと比較すると、古代エジプト文明についての知識はずいぶん手薄な気がします。勉強せねばとも思うのですが、どうしてもヨーロッパ美術偏重になってしまって…。

石膏屋は年明けから7月末までに受注が集中します。8月以降は静かになり、12月くらいからまたぼちぼち忙しくなる・・というのが毎年のスケジュールです。もうすぐ5月が終わるということで、もうひと山越えたらそろそろ今年の着地点が見えて来そうな感じです。商売的には、今年もほぼ及第点で進みつつありますので、ほっと一息というところです。

さて、古代エジプトに関連した石膏像の紹介はほぼ終わりましたので、明日からは古代ローマ編に進もうと思います。

このnoteに興味を持ってくださる方ならご存じのこととは思いますが、古代ギリシア彫刻と、古代ローマ彫刻というのは混沌としていて、はっきりとした線引きが難しい部分があります。

古代ローマ文明は、古代ギリシア文明地域を支配下に収め、その文化を吸収、同化して行った経緯があります。ローマ神話にはギリシア神話の要素が溶け込んでいますし、美術についてはよりダイレクトに受け入れました。多数の彫像をギリシアから略奪してローマに移設し、さらにたくさんの複製品が作られました。現代の評価としては「ローマンコピー」と呼ばれる大理石像です。

古代ギリシアの彫刻作品が古代ローマ時代に大量にコピーされたため、後世になって発掘されたそれらのローマンコピーは、古代ギリシアの作品なのか?古代ローマの作品なのか?評価が曖昧な状況が生まれました。

古代ギリシア時代のオリジナル彫像は僅かしか現存せず、現代の我々が目にすることが出来るのは、ほとんどがその写しのローマンコピーでしかないという現実があります。

石膏像でも有名な、ボルゲーゼのマルス、闘士、ソクラテス像、クニドスのアフロディーテ、円盤投げ…、ヨーロッパの大美術館が大切に収蔵しているこれらの作品は全てローマンコピーであり、オリジナルとして存在していたであろう古代ギリシア時代の彫像は失われてしまいました。


ということで分類上難しい部分はありますが、こういったローマンコピーのみが現存する古代ギリシアの彫刻作品については、私の石膏像図鑑では古代ギリシアの作品という扱いにしています。

では古代ローマ彫刻とは?

まず第一に、皇帝、政治家の肖像彫刻があります。そしてローマの社会制度や、宗教を象徴する要素が含まれる彫像作品もあります。それらを明日からご紹介して行きます。それほど数は多くありません。おそらく20点くらいだと思います。ご興味があればぜひ。


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