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RDT episode 01 / 5,000円ギャンブル

これは実話かもしれないし、作り話かもしれない。
もしかしたら、誰の身にも起こりうる事かもしれません。


ある日、デザイン制作の依頼がありました。
どうやら内容は印刷物のデザイン依頼のようです。

A6サイズの保証書を作りたいとのこと。
ちなみに保証書、保証証のどっちの表記なのか軽く悩み、調べてたらそのままネットサーフィンに陥って返信がだいぶ遅くなってしまった。


依頼者は5,000円(修正回数3回まで無料)の予算でやって欲しいとの希望だったが、報酬額が少な過ぎるため10,000円(修正回数5回まで無料)で2案でどうか提案しました。

なぜなら、原稿はテキストベースでレイアウトのカケラもないものだったので、レイアウトバリエーションがいくつも考えられるため、依頼者の求めるイメージを1発で提出するギャンブルに勝てる自信がないから。

テキスト量が多過ぎるので誤字脱字や、不要なテキストや修正が発生するであろうこと。
(あといくつか理由があったけど思い出せない…)


返事は5,000円で1案で良いとのことでした。
嫌だけどまあ仕方ないし、せっかく依頼してくれたのでこの挑戦を受けることにしました。


補足情報を説明しておくと、依頼者のデザイン要望は、柔らかい感じ、可能ならイラストとか入れて、お店で使っている色を活用して欲しい、文字情報が多いから上手い感じでレイアウト調整もして欲しい。
とこんな感じでした。(たぶん…)


私の読み取った解釈はこうだ。
・イラスト作成料金はかけたくないけど、サービスで作ってくれたらいいな
・5,000円の範囲でやってくれるレベルで良いかな
・10,000円で2案検討するのは面倒だし、そもそも予算オーバー。
・要望はそこそこあるけど、上手い具合に任せるよ!さあ、5,000円ギャンブルの始まりだ!

※手数料取られるから厳密には5,000円割ります。


そして、無数のデザイン案の中から要望に沿っているかの自己採点を繰り返し、基準値を上回る判定の案ができあがりました。

たぶん会心の仕上がりであるこの「案1つ」が、この後にどんな結果をもたらすのかはこの時まだ知る由もありませんでした。

というか5,000円で案1つ、テキストだらけの原稿、明確なデザインイメージなし、要望の言語化が乏しい中で依頼者のイメージしている正解を引けるわけがありません。
なぜなら私にはテレパシーのような人の考えを読み取る能力なんてものは持ち合わせておらず、ただの一般人であるため。
(デザイナーは何か特殊な能力を備えている特別な人間だと思っている人が多いのかな?)

そもそも、相手に本気で伝えたいと思っているならその行動、選択はしないと思っているからです。
つまり、別に伝わらなくてもいいや。
体裁としてやりとりをして成果物を受けとって、適当に感想を言えばOKだと思っているのかなと解釈してしまいました。


ということで話しは戻り、案の定修正の依頼がありました。

私の想定内で原稿外のテキスト修正がいくつかあり、デザインにしてみるとこの表記は不要だなとか、この見え方ならそもそもテキスト表現変えた方が良いなとか思ったのでしょう。
これはデザインにしてみないと気づかないこともあるので、仕方がないと言えば仕方がないかもしれません。
より良い結果を追い求める気持ちがあれば当然のように感じます。

あとは通例の誤字脱字、句読点の問題。句読点の問題は好みもありますが、このくらいで区切った方が良いとか、読みやすくするためにここに入れた方が良いとか色々あると思います。

誤字脱字に関しては、校正をする義務がデザイナーにもあるかなと思うので割愛。
(気づいたところは直すが、見落としはあるよってことです。)

これはワイヤーフレーム(構成)をちゃんと作っていないという解釈もできますが、私がテレパシーのような特殊能力を持っていないように、依頼者も最初から全てを網羅した完璧なワイヤーフレームを作れる特殊能力を持っているとは思っていません。


そして修正依頼2回目
対応し、「良くご確認くださいね」と連絡。


修正依頼3回目
「これで修正3回目ですので、この内容で納品用のデータを準備しますね」と連絡。


修正依頼4回目
納品データは待ってほしいと、まだ修正箇所があると連絡がありました。

修正依頼の内容は主に、文字のサイズ、位置、レイアウトに関するものです。この行動から熱心な気持ちを汲み取り、何くわぬ顔で修正回数をオーバーした事実を忘れる(サービスする)ことにしました。


ようやくデザインが完成し、無事に納品をすることができました。
いただいた感想が「納得のいく仕上がりにならなかったのが残念でした」


依頼者様はどうやら天竜人だったようです。
それは大変申し訳ありませんでした。


誇大表現をするなら、5000円で納得のいくオーダーメイドスーツを作ったり、5000円で納得のいく家を建てたり、5000円で人を自由に動かすような立場の人だったのですね。

それなら多少の契約内容は違反しても許されるのかもしれませんが、それなら最初から「話しが通じない」、「コミュニケーションができない」ことを教えていただきたかったです。


ただ、有難いお言葉をもらえたので、私の特殊能力のサービスでこのやり取りを忘れることにしました。

END.



テキストレイアウトのバリエーションに関して

テキスト中心のレイアウトは考えるほど多くのバリエーションがあります。
下記の要素を基点に考えられる簡単なバリエーションをいくつかご紹介します。
・タイトルコピーの文字の大きさ
・タイトルコピーの文字の色
・タイトルコピーの文字太さ
・サブコピーの配置する場所
・サブコピーの相対的なバランス感
・説明文章のレイアウト案
・イラスト等を入れた場合の案

細部への表現こだわりや組み合わせ方でさらに案は増えます。




原稿:RETHELD DESIGN
脚色:Greeking Marksy(フィクション人物)
※この記事は実話を元にしたフィクションです。




RETHELD DESIGN
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