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自己紹介リレー 世界に咲く日本女性と共に

Tomomi です。

約9年前。夫の海外転勤が決まった時、正直言えばその後どうなるのか、真剣に考えませんでした。当時、社会人大学院で新たな学位を取得。新たなキャリアをスタートしようと思っていた矢先。まぁ、2年くらいなら海外生活してもいいかな、くらいの軽率な気持ちで帯同を決意。しかし、その後当時の楽観的な判断を反省することになるのです。

この活動にはそんな自分への反省と、その後の9年から学んだ様々なことを、次世代のために活かして欲しいという思いから参加しています。


海外生活 理想と現実 

私は学生時代にアメリカに留学していたこともあり、日常英会話は苦労しません。しかし、どんなに努力してもネイティブレベルにはなれません。日々、勉強と努力が必要です。英国、米国、約9年間、慣れ親しんだ英語圏にいても、カルチャーショックの連続、新しい環境での生活や人間関係の構築に苦労が絶えませんでした。もし、他言語圏だったら、もっと大変だっただろうなといつも思います。

生活面において、外国暮らしにつきもののトラブル。英国でも米国でも住む家や環境にトラブルが尽きないのが現実です。私は英国にて4年間のうち3回引越しを経験しました。大家さん、業者、行政、企業等との交渉の連続。多くの日本人が持つであろう英国や米国のイメージとはかけ離れた生活インフラの低さ。さらに人種や格差問題の存在。特にここ最近の社会の分断、コロナ禍も加わり、アジア人として生活していることに不安を感じることもあります。

さらに、家族と一緒にいるという選択肢を取ったとはいえ、現地でも自分のキャリアを維持したい、就職したいと思っても、できない様々な課題、ハードルが待ち受けていました。


現地での就労、出産、育児を通して見えた課題、ハードル

キャリアを継続したいなら、現地で働けばいいのでは?と思いますよね。私もそう思っていました。では、なぜ働けないのでしょう?

現地で就職活動をしてみると、現地の日系企業や就職エージェントが持っている様々な構造的問題に気づくことになります。駐在員のパートナーが働く、という前提がない。離職期間を”ブランク”の一言で片付ける。以前のキャリアを活かせない仕組み。”駐在員の奥さんはいらない””元キャリア女性は面倒くさい” はっきりと言われたこともあります。現地では数えきれないほどの履歴書を送り、面接を繰り返し、悔しい思いを重ねました。

現地でキャリアを継続または再開したい場合、あくまで個人的な意見ですが、以下の課題やハードルが挙げられると思います。

1. 構造的(制度的)な課題 

国別就労Visaの違い、企業毎の就労許可の違い、税制や扶養制度の制限など様々な法的規制、現地日本企業及びエージェントの旧態以前な仕組み、駐在員パートナーに対する固定概念、現地法人の日本人上司の不理解など

2. 物理的な課題

治安、住居環境、交通インフラ、医療インフラ、保育施設の確保、学校制度の仕組みの違い、高額な保育費、日本語&日本文化維持の課題、コロナによる学校閉鎖、オンライン授業への移行など

3. 心理的な課題

新しい環境、現地言語での生活におけるカルチャーショック(認知負荷が日本にいるよりもはるかに高い)、家族のサポートの有無、女性・妻・母に対する固定概念、日本人コミュニティとの関係維持、滞在期間および滞在国を選ぶ意思決定権がない、アイデンティティロス、など


都市か郊外か、子供の有無、キャリア志向、専門資格の有無、周りにロールモデルがいるか、現地言語に馴染みがあるか、人種の多様性があるか、宗教的慣習・文化的風習が強いか、治安が良い悪いか、など挙げたらキリがないほど、置かれた場所によってそれぞれの課題、ハードルは違います。それぞれが異なる環境にいるなか、共通していることは、働きたくても働けない、自分一人では変えることができない課題やハードルが存在するということ。

果たして、日本企業は、駐在員のパートナーが抱えるこの多くの課題に気付いているのでしょうか?それともあえて目をそらしているのでしょうか?

さらに、女性ではなく、男性がこの現状に問題意識を提議したら。企業の姿勢や社会の問題意識は変わるのでしょうか? 


私たちは日本社会に貢献、構成する一員

私は駐妻という言葉そのものが嫌いです。なぜならその言葉一言で、女性が男性の付属品であるというニュアンスを無意識のうちに与える気がするからです。それは日本社会、または多くの諸外国でも根強い古い固定概念そのもので、その概念を払拭することは、認知的にもとても労力がいることです。さらに、私たち女性が自分たちでその言葉を使うことで、無意識に潜在的な、伝統的あるべき女性像を自分自身にも当てはめてしまい、自分達の可能性を自ら閉ざしてしまっているように感じてしまうからです。

私たちは、駐在員のパートナー。そして共に日本社会、日本経済に貢献し、構成する一員であるという認識を、なによりも私たち女性自身が持っていなくてはならないと思います。


置かれた場所に咲きなさい 

多くの問題意識を持ちつつ、私自身は今の生活をさせてもらっていることに心から感謝しています。この主張は一見、前述した問題意識と矛盾しているように感じてしまうかもしれませんが、とても大事なことだと思うので書きます。

Bloom where you are planted. 置かれた場所に咲きなさい 

私の9年間を支えてくれた言葉です。この言葉を胸に、現地でできることをどんどんやってみようと思いました。ワイン教育機関WSETのロンドン本校にて専門資格取得。ロンドンとニューヨークで、仏政府が運営するフランス文化センターに通学。フランス文化圏の視点を通して政治経済、文化を語るワークショップに参加。世界中から集まる人達との活発な議論は本当に刺激的でした。また、現地で参加していたボランティア活動では、今までに感じたことのない充実感、地域との一体感、地域への貢献という自分の新たなアイデンディティを知る貴重な経験でした。さらに米国にいながら、大西洋を渡った英国の大学院を受けようと思ったのも、その土地だからこそやれることをやろうと覚悟を決めたからです。

その土地にいるからこそ見えること、知れること。できること。置かれた場所で咲く。”働く”ことだけがキャリアではない。自分らしく生きる。

私が現地、オンラインで出会ってきた女性たち、国際結婚や現地での永住者を含め、世界中にいる多くの日本人女性が同じような経験を重ね、素晴らしい自分という花を咲かせています。新しい土地、慣れない文化の中で、家族を守り、ゼロから人間関係を築き、妻として、母として日々の生活を維持し、高いコミュニケーション能力、行動力、共感力を持ち、優秀で素晴らしい女性たちをたくさん見てきました。

私たちが苦しむのは、そこで得た体験、知識、スキル、苦悩から学んだ多くの経験知を含めた”総合的な人間力”が評価されず、離職期間をただの”ブランク”という一言で表現されてしまうことだと思います。


この活動で何をしたいのか

まずは、変えられること、変えられないことを知る。

そして、みんなでできること、自分でできることは何か、考える。

この活動は、変えられることを、みんなで一緒に考え、一緒に変えていく、だと思っています。

私は奇跡的に出逢えた、まだ一度も会ったことのないこのメンバー達の多彩な経験、知識、才能、そして行動力から多くのエネルギーと学びを得ています。自分では見えていなかった視点を教えてもらい、次の世代のために行動を起こす勇気を多く与えてもらっています。

心から感謝の思いです。

一人ではできなかったこと、伝えられなかったことを、ここに集う皆さんのエネルギーと想いと一緒に、変えていけることから変えていけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

Tomomi 












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