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酒量日記 11/9 晴

のどごし生 350ml 1缶
本搾り   350ml 2缶
自作白霧島水割り 1杯

 仕事終了後、駅そばのローソンに駆け込み、のどごし生を購入。1分かからず缶を空ける。
 家近くのスーパーに立ち寄る。今日もまた、鍋でも食べてしまおうか。そんな気分である。鍋を突いて酒を飲み、〆に雑炊を食らって寝るのが平日の良き作法だ。そこまで酔わずに明日を元気に迎えられるから。
 大好きなアルミ鍋はなにがあるやろかちょっと見てみようと。牛すき焼き鍋が3割引278円で売られていたが、小さなペラペラ赤牛肉4切れはちと寂しい。もつ鍋は最近食傷気味だ。今日は自作の鍋といこうか。
鮮魚コーナーにて、半額真鯛のぶつ切り2切れ300円を発見。あと買うものは決まっている。白菜100円、そして豆腐は4個パック200円のちと高級なものを選んだ。
 早速鍋を作りに取り掛かる。白菜をざっと鍋に盛る。すぐ壁にぶつかった。汁の味付けである。白出汁に薄口醤油など加えてやや濃いめにつくるか?果てまた鯛の旨みを極限まで味わうために昆布一切れに留めるべきか。食材入れ奥底に眠っている安物の利尻昆布のあまり一片と、半額の鯛2切れ。こんな簡素な組み合わせで信頼して良いのだろうか。A1級1号艇白出汁、2号艇薄口醤油のイン信頼の鉄板2連単。通常であればこれでいい。但し今日は真鯛だ。4号艇昆布がスタート決めて捲りに行って、5号艇真鯛追走の二段まくり展開。いいじゃないか。大穴を狙ってみよう。半額なんて隠れF2みたいなもの、真鯛の実力を舐めてはいけない。今日は冒険だ。
迷いはあった。マークカードを塗り潰す手は若干ぎこちない。半額の鯛をそのまま白菜の上に置く。食材カゴから引っ張り出した昆布のかけらを投入。傍らに豆腐の固まりを2つちょこんと小脇に。
“第12Rの発売を締め切りました。”
さて結果は如何に。
 鍋が煮立った。鯛の身はきめ細やかな白さ。ぷっくりと艶やかだ。おたまで汁をちょっと掬う。無味の味。朴訥として派手さはないが、芯の通った旨みが広がる。
“全艇スタートは正常でした”
 さて食らおう。鯛の身。ホロリホロリと骨から自然に剥がれていく。口に運んだ。柔らかく、そしてしっとりとしている。醤油をぶち込むなんて以ての外であった。この無味の味にしっとり浸らなければ。箸でほろっと崩しながら口に運ぶたび、白霧島の水割りがすすむ。鯛の旨味に浸った豆腐をひと掬い、食べた瞬間に酔いしれる。湯豆腐こそ至高の肴なんてどこぞの通人の言を聞いたような気もするが、人は大豆と出会った時に酒を欲するものである。白菜は柚子胡椒をつけてちょっと刺激的に。真鯛、豆腐、白菜だけの単純な構成にリズムが生まれた。あぁ只管に美味しい。
 作る前には心配ばかりの鍋であったが結果は大成功だ。半額の真鯛だし、茹でても灰汁ばかり出て味気ないかもしれない。しかも汁のベースは昆布一切れだけ。ちと大穴狙いが過ぎるのではないか?しかし結果は万舟、思わぬ味の高配当。これも水面のおかげだ。昆布を煮出して、余計に白出汁や薄口醤油を加えなかったからだ。白身魚が持つ、無味の味を存分に楽しむことができたのだ。
 最後にご飯を入れて雑炊に。味付けはシンプルに塩のみ。連続的中である。食べて就寝。

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