7年付き合った彼氏と別れる話。

   第一章 彼と別れた理由。
 七年付き合った彼と別れた。
 現在、自然消滅を狙って連絡を絶っている。一度来た向こうからの愛情表現のメッセージは
既読無視をした。
 七年といっても、知り合ったのが七年前。 体の関係を持ったのも七年前。
 私が彼にとっての私のことを「彼女」と表現してもいちいち
「彼女じゃないけどね。」
と訂正をしてこなくなったのは、ここ二~三年な気がしている。
 そう、私たちは元々恋人同士ではない。でも、セフレというには関係が深かった。名前を付
けるなら『セフレ以上恋人未満』だと思っている。
 結局、セフレじゃんという自分自身のツッコミは見て見ぬふりをした。
 知り合って、体を重ねて、一緒に出掛ける回数が増えてきたあたりで、彼から長文のメッセ
ージがきたことがあった。私たちの関係についてのメッセージだった。
 もう年月が経ちすぎて、どんな文章だったかなんてうつろにしか覚えていない。でも、しば
らく恋人を作る気持ちはない。だから、幸せにできないからどうしたいかと聞かれたような記
憶がある。
 私のその前の彼氏も付き合ってないけど、体の関係はあり、でも向こうからの束縛はあると
いう複雑な関係だった。だから関係性の形などどうでもよかった。
「またこいつもか。」
男ってなんて自分勝手な生き物なんだろうとしか思ってなかった。ひどい話だ。たびたび彼か
ら「結婚したいくらい好き?」「閉じ込めておきたいくらい好き?」と聞かれた。肯定はする。
でも「行動には移さない」ときっぱりと言い切っていた。
 そこから年月も経過すれば、彼の気持ちも変わるのだろう。ここ一~二年くらいは態度も軟化し愛情表現も増えていた。

 彼自身は人間嫌いで人に悪態をつくし、他人には本当に優しくない人。
 でも私にはとても親切で優しいし、大切にしてもらっているという実感もあった。
 一緒に出かけて、出先でたくさんの買い物をして荷物が多くなってしまった時。彼の家は私
の家と逆方向であるにもかかわらず、荷物を運ぶために私の家まで来てくれた。
 終電を逃して男友達の家に泊まった時も、いやな顔一つせずに許してくれた。
 友人との約束や仕事を優先しすぎて一か月以上会えない日々が続いても、文句ひとつ言わな
い。
 きっと、いわゆる普通の彼氏なら許してくれないことを、許してもらってきた自覚はある。
 でも相変わらず未来は見えないし、彼がどうしていきたいかも不明なままだったけれど。
 私は正社員で向こうは非正規社員。四つ年下といえど、私の年齢も上がれば彼の年齢も上が
る。
 彼に夢があって追いかけているのであれば、私は応援するし、非正規社員だろうが貯金がな
かろうがそれでも構わなかった。
 私自身が結婚を夢見るタイプでもないし、特別子供が欲しいとも思わない。人生における不
安をかかえているわけじゃない。
 彼はイベントを一緒に楽しんでくれることも少なかった。
「クリスマスのプレゼントは何欲しい?」
と聞いても、返ってくるのは
「あげるプレゼントを考えるのが面倒だからいらない。」
 誕生日も一緒。私の誕生日は、カレンダーで彼の誕生日よりも先に来る関係。欲しい誕生日
プレゼントを聞いても、私の誕生日にプレゼントをあげていないのでいらない。という定型文
が返ってくるだけ。誕生日プレゼントをもらってないのに聞いてあげる私も相当優しいと思う。 あるとき、彼が彼らしくない仕事を始めた。簡単に言えば、時間給ではなく日雇いでの仕事
だ。体が丈夫ではない彼にしては意外な屋外で行う仕事。
 私は淡い期待をした。もしかして、一緒に住むとか、将来の約束をしてくれるとか…。もう

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