越前敏弥『越前敏弥の英文解釈講義』(2021,NHK出版)

誤植を一つ発見。ディケンズの生涯を振り返る146頁で「私生活では・・40代半ばの1957年・・」。おそらく1957ではなくて1857とかだろう。

英語の勉強という点での感想は、なんかにているなー類書と。「ヘミングウェイで学ぶ英文法」やらと。英文が挙げられて、下線が引かれて、「このitは何を指してますか?」などと。それから解説があって、問と「答」なるものが後で述べられているのも似た本があるという雰囲気を醸し出す。違うところといえば「勉強会」があって会話が繰り広げられていること位?そうボンヤリ思っていたら269頁で、「ヘミングウェイで・・」が出ていることが紹介されていた。

興味深いのは、266-267頁で「この本ではくわしく紹介できませんでしたが、クラチット家で料理やデザートがつぎつぎ出てくる場面・・などを。ぜひ読んでみて下さい。・・」。自分はいわゆる「食レポ」が十分には今の言語にはできないと考えて文章にしたのだが、もしかしたら違うのかもしれない。あくまで『クリスマス・キャロル』はクリスマスにおける家庭の幸福をしているのであり、料理の味をダイレクトに伝えようという「食レポ」とは異なるという意見はあるかもしれない。

ここからはちょっとした批判?というか指摘。40頁で、登場キャラクターが三人でてきて先生が一人出てきてあーだこーだやっていて、これは駿台予備校講師、伊藤和夫氏の本を髣髴とさせ、微笑ましいといえば微笑ましいのだが、40頁には詳細な説明文とイラストとが載っている。(ところで参加者の一人である男子学生のイラストが両腕をXの字に組んでいて、ナルシストなこと甚だしいと思うのは僕だけだろうか。)でもそれらが十全に活用されているかはちょっと分からない。

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