ボトムアップ記録その1

僕が指導している中学生チームで先月からボトムアップに取り組んでみた。その記録をつけてみる。

1,取り組んだきっかけ
 チームにとってはじめての公式大会である新人戦がきっかけとなった。この大会は結果こそ伴わなかったものの諦めない姿勢が見えたし、内容に希望がもてたものとなった。一方で試合までの過程では僕が審判のためにいなかったこともあり、フワフワした状態での準備になってしまった。これだけ良い試合ができるのだからもっと前向きに自分達のこととして取り組めばかなり面白いチームになるんじゃないか?と思ったし、実際にそうなってほしかった。これがボトムアップをやろうと思った大きなきっかけだ。

2,はじまり
 いきなりボトムアップでいくぞ、と言っても子どもたちには何のことやらだと思ったのでまずはチームミーティングから始めた。理想とするチーム像をKJ法で共有する。次にそのためにどうすれば良いか具体的なアイディアを出し合う。出してみるといろいろ出てきたので、それをもとに組織図を作った。
 ここらへんの組織は作ってから変えることも可能だしと思い、わりとラフに作った。トレーニングを作成するテクニカル班、ウォームアップや筋トレを作成するフィジカル班、ゴールキーパーからなるGK班、ルールを確認、伝達するルール班の4つのグループをつくり必ずどこかの班に所属する。それとは別にボール係、声出し係、ビブス係など、一人一つは係につくようにした。

3,やってみての成果
 実際にはじめてみると子どもたちは予想以上に良くやっていたと思う。とくに声出し係になった子は本当によく声をかけてて役割をつくるとそれに引っ張られることってあるんだなと感じた。またそれまではアジリティのみだったアップがランニングや体操も加えるようになり少しずつ変化は見られた。

4,課題
 一番はトレーニングの質、量の低下だ。まずウォームアップとトレーニングがぶつ切りになってしまい、間も長いので休んでる時間が多くなってしまう。GKも基礎的なことに時間がかかり、チームとしてあわせる時間が取れない。またメニューも狙いが見えづらかったり、実践的で無かったりする。
 時間については基準が必要だろう。間の時間を測ってそれをフィードバックにする。それがないと自分達のトレーニングを評価するのが難しい。
 質についても同様に基準が必要だ。それを感じたのでチームとしてのゲームモデルを導入した。ゲームモデルの中のどの項目を重視しているか?狙ったアクションがどれだけ出てるか?が練習を評価する基準になると思う。それをメニュー後の1,2分で振り返れると良い。
 二つ目の課題はチームミーティングの機能不全だ。週はじめのチームミーティングはその週の練習メニューを決めるものだが、その場で考えるので上手くいかない。決まったメニューがあってその中から選んだり、それにバリエーションをつけたりする方が良いかもしれない。全て考えるのは時間がかかりすぎる。また、チームミーティングはもっと大きい視点でチームの振り返りや修正にあてた方が良い。毎週のチームミーティングについてはこちらの主導でやりつつ話し合いたい議題は適宜つのる方が良いかもしれない。
 三つ目の課題は個々人の意識差だ。全体的には導入前より確実に意識は高まったと思うがかえって取り組みに前向きな子とそうでない子の差が顕著になった。
 これについてはサッカーノートの導入と毎週のチェックはやってみても良いかもしれない。一人一人の考えを知る機会にもなるし、振り返ることができる。月、土に集めるを基本にすると良いかも。

5,今後について
 やってみて思ったのはボトムアップと言いつつ結局はこちらからの働きかけがとても大事だということ。もちろん子どもの自らやる力には驚かされる時もあるがそれだけでは絶対にうまくいかない。それを発揮できるような環境や機会をこちら側がいかにたくさん作れるかにかかっている。今後は組織論の本なども読みながらどんな取り組みができるかも考えてみたい。

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