見出し画像

医療コミュニケーションの講義を始めてみて「分かった」こと

この1年間での講義内容の変化

23年5月から、医療コミュニケーションのレクチャーを始めました。

「臨床って、飼い主さんとのコミュニケーションが重要だよ」と学生の頃に実習に行った病院の先生に言われました。
実際に獣医師になって、僕も同じように思ってます。きっと他の獣医師も考えていると思います。


それなのに、獣医師になってから治療法や手術法を勉強する機会はたくさんあるのに、飼い主さんとのコミュニケーションを学ぶ機会がないと思いました。
医療コミュニケーションの発信、教育に携わることが、獣医療に役に立つと思い活動を始めました。


この一年間、レクチャーを始めみて
うまくいかなかったり、うまくいったり、やっぱりうまくいかなかったり(今ココ)って感じでした。(seven転びeight起きの精神)

その時の僕が持つ全力を込めてやりますが、セミナーが終わるたびに、「まだまだだなー」「次はこうしよう」と反省も多かったです。

そんな、レクチャーの仕方の変遷を紹介してみようと思います。



最近考えた「ヨウギシャー・テリア」です。
(本文とは一切関係ありません)

①カッコつけ期(5‐8月)


始めたて、僕はカッコよく見られたいと思いました。みんなの前に立って、スラスラと面白い事も交えながら、勉強になることを伝える人に憧れていたからです。

だから、セミナー講師ってカッコよくないとダメだと思いました。カリスマがいいと思ってました。(ふと、思ったけどカリスマって何?)

大学院で学んだことを「(僕は知っていますが)みなさんは知ってますか?」みたいな感じで話していました。

聞いてくれている人を見ると
だいたい半分くらいの人が眠そうだなーって感じだったり、実際寝てる人も多いなと思っていました。(※NS 約50%)
どうしたら興味を持って聞いてもらえるのだろうと悩みました。

②さらけだし期(9‐12月)


どうしたら、うまく伝えれるようになるのかアドバイスをもらいました。それは「自分の経験や失敗をもっと出した方がいい」という事でした。

確かに、ドラマだって、順風満帆のハッピーストーリーよりも、苦労をしながら成功してくストーリーの方が盛り上がるよねと思いました。

幸い、僕の人生はコミュニケーションの失敗の宝庫でした。
友人とのコミュニケーション、獣医師になってからのコミュニケーション、自分はそんなつもりで言ったわけではなかったのに相手を嫌な気持ちにさせたり、怒られたりすることもありました。

自分がこんなコミュニケーションをしてしまって辛かったり、悩んだから、「聴いてもらう人に、同じように悩んだり、辛い思いや嫌な思いをしてほしくない」
そう思いレクチャー中に自分の体験を基にした話を入れると
セミナー後に、「面白かったよ!」「勉強になったよ!その気持ち分かるわー!」
と言われることが増えてきました。
寝ている人も減ってきました。 (NS 約20%)

③グループワーク取り入れ期(1‐4月)


セミナーをしていく中で、もう一つ気づいたことがありました。
コミュニケーションって「教える」じゃなくて「考えてもらう」ことが重要なんだという事です。
僕が話しているコミュニケーションの内容は、

①すぐに変えれる内容
・診察の最初に飼い主さんの顔を見て自己紹介をする
・診察の最後に「分からないことはありますか?」と聞くようにしてみる

②徐々に変えれる内容
・飼い主さんの気持ちや背景を基に一緒に治療の満足いく相談をするためにこんなことを気にしてみてください
・飼い主さんの顔色や声のトーンなど、非言語的コミュニケーションを見る

の2種類があると思っています。

①は、ひとまず次の診察でやってみよう!と出来そうですが
②は、教わったところで、次の診察から急にできるようにはならなさそうですよね。
そもそも自分が何十年とベースにして生きてきたコミュニケーションを変えていくのは簡単なことではないです。
でも、変えれますので安心してください!

だからこそ、「あれ?いつもの自分の診察どうだったかな?」とまずは「考えてもらう」のが変化のきっかけになるかなと思っています。

なのでグループワークを取り入れると
自分の診察の見直しや、他の人の飼い主さんとのコミュニケーションなどを知る機会になりいいじゃん!って取り入れると
セミナー実施後の、ポジティブな意見もより増えました。(NS だいたい0%)

こんなことを考えながら、毎回セミナーを実施しております。
また今年一年やってみると違う形が出来ているかもですが
ご興味がある方がいましたら、最近作ったHPまでお問合せ下さい。

今後ともブラッシュアップしながら獣医療に貢献できるよう医療コミュニケーションの発信をしていきます!

※NS 眠そう参加者

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?