2022年ガス主任論述【法令】

①消費機器について

ガス事業法において、ガス小売事業者には次の義務が課せられている。

  • 周知

消費機器を使用するものに対し、ガスの使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な事項を周知させる。

  • 調査

経済産業省令で定める技術上の基準に適合しているかを調査する。

  • 通知

調査の結果、技術上の基準に適合していないと認めるときは、技術上の基準に適合するためにとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずる結果を消費機器の所有者又は占有者に通知しなければならない。

  • 帳簿

調査及び通知を行った結果に関し経済産業省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

  • 調査結果の通知

ガス小売事業者は託送供給を行う一般ガス導管事業者又は特定ガス導管事業者に調査結果の通知をしなければならない。

・災害時発生時の措置

ガス小売事業者、一般ガス導管事業者、特定ガス導管事業者は、使用者から供給するガスによる災害が発生し、又は発生するおそれのある場合において、その事実を通知され、これに対する措置を求められたときは、すみやかにその措置をとらなければならない。自らその事実を知ったときも同様である。

ガスの使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な周知事項は以下の通り。

イ 消費機器の供給するガスに対する適応性に関する事項

ロ 消費機器の管理及び点検に関し注意すべき基本的な事項

ハ 消費機器を使用する場所の環境及び換気に関する事項

ニ ガス漏れを感知した場合その他供給するガスによる災害が発生し、又発生するおそれがある場合におけるガスの使用者の採るべき緊急の措置及びガス小売事業者、一般ガス導管事業者、特定ガス導管事業者に対する連絡に関する事項

ホ ガス瞬間湯沸かし器の使用の危険の発生の防止に関し必要があるとして経済産業大臣が定める事項

ヘ 風呂釜に係る排気筒の点検に関する事項

ト ガス漏れ警報設備の点検に関する事項

チ 消防機関に対する連絡に関する事項

リ イからチまでに掲げるもののほか、ガスの使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な事項

  • そのほかの周知に関するものとして以下のものがある

供給区域、供給地点のガス使用者に対し、2年に一回以上(建物区分のうち特定地下街等、特定地下室等、超高層建物、特定大規模建物にあっては毎年1回以上)上記イロハニリの事項を記載した書面を配布する。

  • そのほかの調査に関するものとして以下のものがある

通知をしたときは、その通知に係る消費機器について、毎年1回以上、当該消費機器の技術上の基準に適合するためにとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずる結果を消費機器の所有者又は占有者に通知する。ただしその所有者及び占有者が技術上の基準に適合するようにするために採るべき措置採った場合にはこの限りでない。

通知をしたときは、その通知に係る消費機器について、その通知の日から1月を経過した日以後5月以内に、再び調査を行うこと。

②ガス主任制度について

1.ガス主任技術者制度を設けている目的

ガス主任技術者制度はガス事業法における、ガス事業者が自主保安を遂行するための柱の1つである。

ガス事業法では※「ガス主任技術者免状の交付を受けている者であって経済産業省令で定める実務の経験を有する者のうちから、ガス主任技術者を選任し、ガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせなければならない。また、これによりガス主任技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。またこれを解任したときも同様とする。」と規定しており、ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安の確保、内部組織においての保安体制の整備することを目的として、ガス主任技術者の選任義務、届出義務を規定したものであり自主保安の中核をなす制度となっている。

2.ガス主任技術者制度として規定されている事項

① 上記※以降の規定。なお実務の経験は、甲種ガス主任技術者免状の交付を受けているものは、製造又は供給の用に供するガス工作物の工事維持及び運用に関する業務に通算して1年以上従事したこととする。乙種及び丙種ガス主任技術者免状の交付を受けている者の実務経験は不要。

② 事業場、ガス工作物別、ガス主任技術者選任基準
甲種・・製造所、ガスホルダーを有する供給所、導管を管理する事業場及び特定製造所における全てのガス工作物。
乙種・・製造所、ガスホルダーを有する供給所、導管を管理する事業場及び特定製造所における中圧、低圧のガス工作物、高圧の液化ガス用貯槽及び当該貯槽に係る圧縮機及び昇圧供給装置並びにそれに係る配管、高圧の移動式ガス発生設備又は小型もしくはユニット型冷凍設備、特定ガス工作物及び当該ガス工作物に係るガス工作物。
丙種・・1の供給地点群に関わる特定製造所の特定ガス工作物及び当該ガス工作物に係るガス工作物。
そのほかとして以下のものがある

  • 当該事業場に駐在しないものは原則として選任不可

  • 2以上の事業場のガス主任技術者を兼務することは原則として選任不可

③ ガス主任技術者免状

  • 免状の交付を受けることができる者

  • ガス主任技術者試験に合格したもの

  • 上記の者と同等以上の知識、技能を有すると経済産業大臣が認定したもの

  • 免状の交付を行わないことができる場合

  • 免状の返納を命ぜられ1年を経過していない者

  • この法律及びこの法律に基づく命令、処分に違反し、罰金以上の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者

④ ガス主任技術者の義務

  • ガス主任技術者は誠実にその職務を行わなければならない

  • ガス工作物の工事、維持及び運用に従事する者は、ガス主任技術者が保安の為にする指示に従わなければならない。

⑤ ガス主任技術者免状の返納命令

経済産業大臣は、ガス主任技術者免状の交付を受けている者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、そのガス主任技術者免状の返納を命ずることができる。

⑥ ガス主任技術者の解任命令

経済産業大臣はガス主任技術者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき、またはその者にその職務を行わせることがガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安に支障を及ぼすと認めるときは、ガス事業者に対し、ガス主任技術者の解任を命ずることができる。

③保安規定について

ガス事業者の自主保安の柱となるものは、保安規定とガス主任技術者制度である。保安規定はガス事業者がガス工作物に関する保安業務を行う際に定める諸基準の最上位に位置付けるものである。保安規定の内容は以下の通りである

  1. 保安規定の作成届出
    ガス事業者はガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、経済産業省令で定めるところにより保安規定を定め、事業の開始前に経済産業大臣に届出なければならない。

  2. 保安規定を変更したときは、遅滞なく変更した事項を経済産業大臣に届け出なければならない。

  3. 経済産業大臣は、ガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、ガス事業者に対し保安規定の変更すべきことを命ずる事ができる。

  4. ガス事業者及びそれらの従事者は保安規定を守らなければならない。

  5. 保安規定に定めるべき事項は以下の通り

  6. 保安業務を管理するものの職務及び組織に関すること。

    1. ガス主任技術者が旅行、疾病その他事故によってその職務を行うことができない場合に、その職務を代行するものに関すること。

    2. 保安業務に従事する者に対する保安教育に関すること。

    3. 保安のための巡視、点検及び検査に関すること。

    4. ガス工作物の運転又は操作に関すること。

    5. 導管の工事の方法に関すること。

    6. 導管の工事現場の責任者の条件その他導管の工事現場における保安監督体制に関すること。

    7. 導管の周囲においてガス工作物の工事以外の工事が行なわれる場合における当該導管の維持及び運用に関する保安に関すること。

    8. 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。

    9. ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。

    10. ガス工作物の工事、維持及び運用に従事する者であって保安規定に違反した者に対する措置に関すること。

    11. その他ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項。(ただし特定ガス発生設備にてガスを発生させ導管により供給を行うガス小売事業者については上記⑦⑧を除く)


④ガス工作物の自主保安体制

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