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2/1 未明から


寝れない

原因はわからない
兎に角寝れない


普通、寝るときに人は
その人が寝やすい格好に寝返りを繰り返し
そのうちスヤァと行くもんだと思う

だが、ごろごろごろごろ
どうやっても寝れない
そうこうしていると隣で嫁の寝息を感じる
こうやって隣でごろごろしてたら嫁が起きてしまうかもしれない。
そう思って思いきって寝室を出た


台所の電気をつけて、電気ケトルに水をいれてスイッチをいれる。
見上げると時計は零時半。まだふとんに入って一時間ちょっと。
これは参ったと溜息を吐くと同時に湯が沸いたぞと電気ケトルが知らせてくる。
とりあえず白湯をすする
意図せず頭が冴えていく
ユーチューブで過去のミカドの大会をゲラゲラ笑いながら眺めていると、30分ぐらいはあっという間に過ぎていく
そう言えば最後にミカドに行ったのは正月だった
しばらく行ってない。

もう明けて金曜日
明日の土曜日には嫁と新宿辺りに遊びに行こうと話していた

なら、そこらで嫁を連れてミカドに顔を出すのを良いだろう
Twitterで報告はしたが、いまいち『天神さんがまた何か言ってるぞ?』と言う空気のようで信じられていない気がする
これは

隣にいるのが僕の嫁だ、実在するぞ!

そうミカド勢にアッピーるしてこなくては

等と思いながらまた布団に潜る


しかし、寝れない
もぞもぞもぞもぞ
ウダウダウダウダ
ごそごそごそごそ

寝れない
だが、なんで寝れないのか、いまいちわからない

寝しなの酒か?長風呂か?

意識がハッキリとしている
そのせいなのか寝付けない。
寝付けないから体勢を少し変える
ただどう体位を変えてもすんなりと寝付けない

そんなこんなしていると嫁がもぞもぞし始めた
起こしてしまったか?
そう思ったらとりあえず寝室を出ることにした

明日仕事の嫁を起こすのだけは可哀想だったのだ

台所で白湯をもう一杯、時計の針は3時を回っている
朝は遅くとも6時には起きないと仕事に間に合わないし
6時15分には家を出る嫁の顔が見れない

そう思ったら『仕方ない』と都合のよいこと呟きながら
琥珀色の液体が揺れる瓶を手に取り、水割りをもう一杯、タバコに火をつけながら作る。
止めなきゃなぁ止めれないなぁ…と、
換気扇が紫煙を吸い込む様を眺めながら
体にジンビームの水割りを流し込む


さて、寒いし、もう三時間も寝れないし
なんで寝れないんだ?とか
長風呂で血行良くなりすぎたか?
とか考えながら布団に入る

今度はもう体勢も変えないし
ぐっと目をつぶって寝てやる!
と寝しなに意気込むと言う
良くわからない状態だった


そして陽が昇る
嫁が家を出る時の鍵を閉める音で目を覚ました
慌てて飛び起き窓を開けるが
足音と後ろ姿だけしか確認出来なかった

窓をしめ、LINEでおはようといってらっしゃいをスタンプする
駅に着く頃には返事があるだろう
さぁ、俺も仕事だ

着替える
だるい
頭がいたいとか
吐き気があるとか
そう言うことはなかった
ただ漠然とだるい

長湯した時のような
体がポカポカ。心地好くダルい
そんな感じだった

まだ効能が効いてるのか?
あの入浴剤凄いな!
等と思いつつも
そんなわけあるか!
風邪か過労か?
と、自らの脳内に突っ込みをいれる。

あと一日、今日一日頑張ろう
土日は嫁とデートだ

そう思い、部屋を出た
なんと言えば良いのだろう
変な高揚感があった
バス停まで歩き、
バスに乗り
辛いなぁダルいなぁ
と顔をしかめても
何か楽しかった
その何かは
今でも説明出来ない

最寄りの駅が終点駅なので
朝は始発になり必ず座れる
座ったらこっちのもんだと
携帯のアラームをセットして眠りにつく

これからざっと50分寝て
5分移動して5分ホームで待って
座れたらまた30分寝る

それでやっと会社のある土地に着く
苦でないのか?と問われれば
聞くなよ。と、苦笑いしかできない。

実はこの通勤生活を始めて
まだ二ヶ月たつか立たないか

嫁を貰うためには
どうしても今の家周辺に
移動するしかなかった
だからこの通勤を苦には思っても
後悔はしてなかった。

しかし、辛い
まだ座れるだけ、寝れるだけ
楽な通勤だと思う

しかし、
今まで徒歩10分で会社に通っていたのが
ざっと9倍の通勤時間

後悔はない!
胸を張って言える

しかし、辛いなぁ
と、吐露してしまうのは
仕方ないのではないか


と、思いながら会社に到達し、
社員カードを壁に押し付けて、
重く開かなければ良いのに
と思う扉を軽く押し開けて、
今日も
『辛いと思ったことすらないオフィスへ意気揚々と出社する』
ようなイメージでどんよりと席に到着する

ダルいなぁ
節々が痛いような
ダルいような
これインフルエンザ?
熱も咳もないが、念のため
と、マスクをして、朝のローテーション作業をこなす
5分もかからずこなしたのちに喫煙所に駆け込む
まだまだ始業のベルには10分以上余裕があるからだ

この通勤時間は確かに辛いが悪いことばかりではない

いつもギリギリに出社をしてたダメ社員が始業30分前には会社にいるようになった
もし始業より五分以上余裕がある時間帯に出社していたら、何かトラブルがあったか?徹夜か?
としか思われないダメ社員だ。
それがこの二ヶ月は30分前出社。
それは社会人には当たり前の出社時間だし
ダメ社員のレッテルはこんなものでは動じぬエンブレムなので物珍しさでからかわれる程度の変化でしかなったが、
しかし本人には良いこともあったのだ。
朝のローテーションをざっとこなし今日の作業を相談しながら始業前に集まる社員と
挨拶雑談ケムリケーション
身体には悪かろうが喫煙者同士にしかわからないレベルで効率はあがる。

その日の喫煙所では
後輩に体調の悪さを訴え、
近づかないで下さいよ
と、笑顔で悪態をつかれ、
苦笑いで煙草を灰皿に放り投げ
席に戻った。

その時だった。その時に実感した。
キーボードが上手く打てない

まったく打てないわけではない
ログオンの為のパスワードは約〇〇文字。
長くはないが短くもない毎日うちなれているパスワードが打ちづらい上手く叩けない
しかし、打ちづらいだけなので無理矢理叩いてログオンした。

しかし、キーボードを打てないのは仕事にならない
風邪か?インフルエンザか?
なんかダルい
この状態は倦怠感であってるだろうか?
そんな感覚に包まれて、なんとかその日にやらねばならない事を手早くやると、来週にまわしても良い仕事はまるまる残したままで、そそくさと部長の前にいき、
『ダルいので今日は休みます』
報連相は大事だがそれしか言いようがない。
うちは自慢のホワイト企業なのでそれで話は通じて了承を得られた。後は引き継ぎやって申請書を書けば良い。

万が一インフルエンザの時は月曜日もこれないからと多目の引き継ぎをしながらその日の休暇届をかいた

しかしダルい
だが、開放的な
なんとなく気分がよい
寒い
インフルだと明日のデートが延期で
嫁の機嫌を損ねるなぁ
と言うか嫁の機嫌とかより
まずデートにいきたいのはこっちだ
ニヤニヤしたいのだ
なんならいちゃいちゃしたいのだ

そう思いながら
いったん部屋に戻った。
妻と住む部屋ではない。
独身時代から借りているワンルームだ。
まだ引き払わず残っているのは
汚い部屋を片付ける暇も無ければ
そもそも仕事が遅くなる時に
家まで帰れない日も出てくるから
そんな時に泊まれるように
等と都合が良いことを言っているが
隠れ家的に維持していきたいと
思っていたのも事実だ

嫁にLINEで体調不良を伝える
心配されるが嫁も仕事だし
早くに帰ると伝えて携帯をしまいこむ

部屋に入り、暖房器具に灯をともす。
ハロゲンヒーターは燃費はこれ以上ないぐらい悪いが橙色に部屋が染まるのと同時に一気に暖まる

ハロゲンヒーターの灯りを眺めていると
ふと眠くなった
少しだけ…と、横になった

食欲は無かったが
昼時に差し掛かるときだった
昼めし食う前に病院行かなきゃ
そう思って身体を横にした

続く

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