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2019/1/31 夜の事



その日、めんどくさい仕事を終えて
明日から始まるめんどくさい仕事を考えながら
残業もそこそこに家路についた

雪かちらちら舞っていて
息が白いのが
夜の闇に良く映えていたのが印象に残ってる

家で嫁の手料理を食う
メニューは麻婆豆腐
マルミヤの麻婆豆腐の素を
今まで使ったことが無かったと
嫁が大はしゃぎだった
こんな便利なものがあるとは!
とクックドゥやなんたらの素を
使わない家庭で育った嫁のけらけら笑う声と
懐かしい母の味である
マルミヤの麻婆豆腐で
一杯引っ掻けた。

ここ最近眠れなかった
兎に角水割りを薄目で一杯
それで無理矢理寝ていた

そのまま寝ようかと
思ったが嫁が風呂に入れと追いたてる
雪がちらつく日だし
ゆっくり暖まろうと
風呂に入った
新しい入浴剤を買ったのだ
嫁が声をかけてきた
ラムネの香りが微かにして
昔こういう入浴剤あったなぁと
のんびりと長湯をした。

色々原因はあるだろう
トリガーも様々だ
ただ、この長湯が
最後の一押しであったのだと、
今なら思う


入ってる間に
嫁が先に寝ると声をかけてきた
適当に返事をし、持ち込んだスマホで
ミカドの大会の様子を眺めてた
けっこうな長湯になった

風呂を出て
サムイサムイと
呟きながら手早く
服を着る
風呂に入る前に作った水割りの残りを飲み干し
歯を磨きながら
月初めの仕事を
頭に並べる
ため息とともに
吐き出した水は
歯みがき粉と憂鬱の味がした

憂鬱を吐き出したら
希望にふれたい

寝室で嫁の頬に触れる
くすぐったそうに首を
引っ込める
幸せでしかない

隣の布団の潜り込んで
嫁の布団に手を入れる


『冷たい!』
嫁に右手を拒絶された
ここ最近、手が冷たいのは
寒さのせいだろ?
『なんでゆっくりお風呂に入ったのにこんなに手が冷たいの?』

そう言われて
なんでだろうな?
と言った時には
それ以上冷たい手で
嫁にちょっかいかけるのも
可哀想だし、お互い明日も仕事だし、
と、自分も布団に深く潜り込んだ。


目も閉じ、
体の奥から
長風呂のせいか
ポカポカしたものを感じる
アルコールのせいかもしれない

この倦怠感に身を任せれば
微睡みから夢の中へ

そしてまた変わらない一日が始まる
ため息と希望と入り交じった
変わらない一日が。

まぁ、変わらない一日なら
物語は始まらないわけで。


微かな異変は
日が変わった頃だった。

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