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2月2日 未明から朝にかけて

揺り起こされて目を覚ます
深夜の時間帯に
嫁は泣きそうな顔

どうした?
と聞くと
救急車呼ぶ?
と嫁が言う

気持ちはありがたいが
金曜の夜だし近所迷惑だ。
明日の朝、病院行くから
寝よ?

と言うと一応納得したのか
嫁が頷く
それを見てまた瞳を閉じた。

ふと気がつくと
嫁がヨギボーを椅子の形にして
毛布にくるまって寝ている

横にならなかったのか?
と思い嫁を揺り起こすと
だって何があるかわからないじゃない!
と、泣きそうな顔で言われる。
頭を撫でて、
病院に行こう?
と言うと嫁はキッチンへと向かった

とりあえず起き上がる
ぐっと身体を伸ばそうとした瞬間
立ち上がりきる瞬間だった

コロンと後ろに転けてしまった。

何が起こったかわからなかった。
咄嗟に受け身っぽい体勢は取れたようだ。
頭をぶつけるなどはなかった。

もうあぶない!
なんかあったら私じゃ運べないんだよ!
そう言う嫁に小さくなるしかなかった。


明らかに身体に
支障が出ている
だけど頭は何故か
それを認められなかった

嫁が夜のうちに
駅前の病院を
探しておいてくれた
予約は出来なかったが
朝イチで行けば
時間もかからず
見てくれるだろう

そう言って嫁は
指示を出してくる
準備しとくから
タクシー手配しろ
その言葉に素直に従って
タクシーの手配アプリをダウンロードして
そこまではさらっとできた
その先が出来ない
近場のタクシーを探して
手配してくれるから
乗る場所を入力すれば
手配出来るのに
入力が覚束無い
何とか自宅前の住所を入力するのに
十分ほどかかった。
やっと手配ボタンを押せたものの
回りにはタクシーが
走っていないのか
一台も捕まらなかった

仕方なしに
近場のタクシー会社をGoogle先生に問い合わせる。
すぐに出てきた会社に電話して一台手配する
10分ちょっとで来てくれることになったのを嫁に伝えると、
嫁はパタパタと支度をしに戻った。
その間にジャケットを
羽織ろうとする。

羽織れない。
何をやっているんだ俺は

急に不安が頭を過る
身体にまとわりついて言うことを聞かないジャケットが
急に軽くなる。


お前には嫁がいるんだぞ!

何処か怒ったような声で、
それでも優しい笑み声で、
そう言った嫁が服の裾を掴み、着せてくれる
振り向くとニコッと笑う嫁の顔

ありがとう


そう呟いて玄関に向かった

嫁に財布も保険証も
家の鍵すら任せて
外に出る

寒くても心地よい天気だ

馬鹿話をしながら
嫁が鍵を閉めるのをまつ
鍵を閉めた嫁は
僕の身体に寄り添う
まるで介助をしようと言わんばかりだが、
歩けるよって頭を撫でる

タクシーはもう来ていた。
嫁が財布を持っているので
先にのってもらう

タクシーに乗り込む時は
特に違和感なく、
タクシーから降りるとき
右足がタクシーから
降りてこなかった

ただもう病院の前だ
嫁と連れ添って病院へと向かった

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