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ダックと僕らの26年 vsテリー

チームダックスのお話(だいたい嘘) その2


ダイアグラムなんて数字のまやかしが紛れているもので、
全キャラに微不利がついたら相対的に最弱ではあるかもしれないけど
微不利程度なら経験と練磨と信念でひっくり返るのが格闘ゲームだ。
つまりダイアグラムでの最下位=最弱ではないのである。

思い出してほしいのだが、ガロスぺの発売は93年。
その時にいまのようなインターネットはあっただろうか?
草の根ネットのようなパソコン通信はあったかもしれない。しかしiモードさえない時代だ。
そのころは、ゲーム雑誌の情報と地元のゲーセンの掲示板やノート、それに噂話が情報源だっただろうし、ゲーメストが無ければハイスコアや攻略なんて概念すらなかっただろう
対戦格闘ゲームに当たり前にあるはずの『キャラ対策』なんてものは一般的ではなく憎いあんちくしょうに勝つための『人読み』での対策が主流だったと思う。
しかしそれから10年もたてば2003年である。
一般家庭にもネットは普及してきてテレホーダイとISDNが交わる頃だ。
情報の発信も容易になってくる。

この辺りの話は長くなるから割愛するが、所謂インターネットの発達により
「マニアック」や「誰にも理解されない趣味」が、
「仲間と共に楽しむもの」になってくる。

そうすると、同好の士が集まり、情報交換をし、切磋琢磨し、新しい発見も生まれてくる。
それは
オワコン(終わったコンテンツ)だったものが、
旬なもの(個人的やごく限られた仲間内で)になってくる
と言うこと。

格闘ゲームはその影響を本当に色濃く受ける。
旬であればあるほど、それが限られた人間同士の極々狭い間だけのものでも、新しい発見や攻略が出てくる。
そしてそれはインターネットの力で拡散され、
それをもって新しいコミュニティが生まれ、そこで新たな発見がありまた新たなコミュニティへと・・・
そうして、日々発見と進化を経ての増殖を牛歩のようであろうと起こり続けるのだ。

餓狼伝説スペシャル(ガロスぺ)もその影響を受けた。
93年発売のガロスぺも94年のKOFが出る頃には廃れ、餓狼3→リアルバウトの流れで完全に忘れ去られた。
発売から7年がたつ00年代
当時の記憶と共にガロスぺのキャラクター
ダックキングの評価は真っ二つに割れていた。
悪名高い立Aの刻みでの気絶→気絶の即死とド派手なブレイクスパイラルの印象から
お手軽最強キャラにランクインしている時もあった。
しかし、00年代初頭には格闘ゲームブームは廃れ、
最新ゲームのリリースも少なくなり昔のゲームに焦点が当てられ始めたころだ。
インターネットの発達により、対戦会や大会を行えばある程度の集客もあった。
ゲームタイトルによっては発売当時より盛り上がるものも出始める。
そうして様々な情報が様々な角度から交差すると、ダックキング自体の弱さが浮き彫りになってくる。
そう、そもそもある程度やりこんだ同士の対戦だと、ダックが近立Aを当てる事などほぼほぼ不可能なのである。
また、一部のキャラはしゃがんでいると近立Aが当たらない。
そういう情報が出そろうと評価が一変する。
突進も溜めとコマンドの二種類。
コマンド対空技に削りに使える連続攻撃にド派手な投げ技。
一通りそろっているようで、肝心な飛び道具がない。
この一点においてダックは他のキャラたちに僅かに遅れを取る。それは本当に僅かな遅れであった。
しかし、この遅れはここから始まる長い長い戦いを経ても、今だ縮められない遅れであった。
ハンデとは言わないが他キャラにそんな遅れを取っている上に、対抗策になるはずの飛び込みは全キャラ中最弱の部類でどうしようもなく使えない
ダックキングの対策として、ダック独自の行動に対する各キャラ別の対応と、だいたいの共通動作として、
飛び道具と避け・通常攻撃での対空の組み合わせが浸透する頃には、
難関コマンドのブレイクスパイラルの印象だけが残った
最弱の烙印を押されたダックキングの姿があった。

ある程度の対戦コミュニティでその話が常識になると、その後訪れるインターネットの進化「大容量通信」の発達により、個人サイト以外にも動画配信サイトにより実際の対戦風景も広がり、ますますダックは最弱と言う話が独り歩きしていく。

ダック使いたちには、つらく険しい時代の到来である。

さて、最弱とも言われたダックがこの20年でどう変わってきたか、
今回はキャラ対策の側面から、もしかしているかもしれない
これからダックを触る人の為に、書いて行こうと思う。

もちろん、書いている人間は、かの有名な嘘つきガロスぺプレイヤー
天神さんであるからには、だいぶ嘘を交えながらになるが、
話半分の与太話として流し見してほしい。


VSテリー
そもそもの扱いはライバルキャラだった。
ダックが一方的にライバル視している設定ではあるが、
同じマーシャルアーツ使いで、1からの因縁もある。
似通った必殺技構成ではあるが、一番の違いは飛び道具の有無だ。
当初、テリーは決して苦手なキャラではなかった。
テリーの持ち味はその重厚なラッシュにあり、
キャラクター設定にもあった押せ押せの動きが
テリーボガードの代名詞でもあったはずだ。
バーンナックルで突っ込んできて、
ぼこぼこ殴ってクラックで削って反撃をライジングで狩って
パワーゲイザーで豪快に屠る。
それがテリーだろう。
ラッシュに付き合う形の近距離の殴り合いならダックは決して負けてない。
全キャラ中最速最多の手数を持って、ラッシュの合間に差し込んで行くし、ガード後には必殺のブレイクスパイラルが構えている。
ラッシュ!ラッシュ!と戦うテリーとは噛み合いやすく苦手どころか有利だと思われている地域もあった。
しかしそんな戦い方は対人戦だと穴だらけのぶっぱプレイだ。
文字通り良いカモになってしまう。
そうするとプレイヤーは「勝つため」に戦法を考える
テリーボガードのキャラクター性ではなく
テリーボガードのキャラ性能で考えるのだ。
人がキャラクターを操って戦うゲームなので当然の流れではある

テリー使いたちは
遠距離でのパワーウェーブでの牽制と
遠距離Bや避け攻撃での対空を軸に
相手の飛び道具を強クラックで抜けたり
相手の隙にバーンを差し込んだりと動きを変えた。
パワーウェーブを嫌っての垂直ジャンプには
遠距離Dや強バーンで叩き落してからの起き攻めと削ったら無理せずバックステップでの離脱。
キャラ性能から考えるとヒット&アウェイがとにかく機能した。

このヒット&アウェイをやられると、ダックキングは相当つらい
まず、パワーウェーブに対する対処がない。
地を這う飛び道具なのでニードルローでは抜けれない。
ガードするか飛び込むかだ。

次に飛び込みは近ければ避け攻撃、遠ければ遠距離Bで落とされる
まず間違いなく落とされる。
落とされた後、起き上がりにウェーブで一削りされて仕切り直し。
取りあえず垂直ジャンプで避けてみても遠距離Dやクラック、
バーンで落とされて仕切り直し。
とにかくじり貧である。

試しにジャンプ強キックが通った時も簡単ではない。
接触判定の関係か、しばしば遠近の技がひっくり返る時があり
テリーだけ技の繋ぎがシビアだったりするのだ。
そもそもこの判定がおかしいせいで『めくりジャンプ攻撃→背面からコンボ』
と言ったダックの花形勝ちパターンが出来なかったりする。

そうするとワンチャンスをとったつもりがコンボミスから切り返されてやり直し。下手すれば気絶→気絶で死亡である。

このようにある程度の対戦環境が整った後のテリー戦は割と初めからキツイものだった。

そこでダック使いたちは対応策を考える。

まずはやられて嫌な事に対するお仕置きだ。
テリー側の「これやっとけばいいだろう」に
手痛い一撃が入れられれば、それだけで相手の動きを一つ減らせる。

テリー戦においての対策で90年代にはなくて、
00年代初頭に常識になった一番大きな違いは

クラックシュートはブレイクスパイラル確定

と言う認識である。

もちろん確定でも何でもない。
足の端を掠るように出されると間合いの外だったり硬直差が殆どなかったり。
しかし、逆にクラックシュートをガードしたら確実に吸うんだぞ!
と言うプレッシャーを与えると、テリー側もおいそれと出せなくなる

テリーに限った事ではないが、本当に一部のプレイヤーしか使いこなせなかった
ブレイクスパイラルと言う大技が、色々な試行錯誤によりガード後のブレイクスパイラルなら割と簡単に誰でも出せる

と言う認識と、安価になってきたネオジオROMやPS2移植版、あまり褒められたものではないがエミュレータ等での練習により実践レベルまで体得したプレイヤーがぞろぞろと出てきた為、やっと脅威として認識され始めたのだ。

これでテリー側は最後の削りであってもおいそれとクラックが出せない
やったぜ。クラックと言う選択肢を削れた!

しかし状況は何一つ変化がない。
飛び道具で削られて飛んでも叩き落とされてじり貧である。
しかも垂直ジャンプで逃げているのにバーンナックルで叩き落してくるようにテリー側も対応や反応速度をあげてくる。
これにはお手上げだった。

しかし、ここで過去の大道芸動画等が世の中に出回る。
そう「バーンナックルのしゃがみ歩き避け」である

ダックキングのしゃがみガードモーションの接触判定より
しゃがみ歩きモーションの接触判定の方が低いため、バーンナックルはかすりもしない。
弱バーンであろうが多少の硬直はあるので、
しゃがみ歩き避け→屈Bからのフルコンボ。
そして、テリーは気絶値14と他のキャラより少し気絶しやすい
無理してコンボを決めなくてもその意識だけで一度目の気絶は容易に出来る

そうなれば次はバーンナックルの誘いだ。
気絶しない程度で飛び込み→迎撃をされ、垂直ジャンプも迎撃されたら
距離を離して垂直ジャンプでバーンを誘う。
(これは一例なので必ずしもの誘いかたではありません)

一回で良い。バーンを潜ってフルコンボから勝てれば、
テリー側は安直なバーンを打てなくなる
やったぜ。バーンと言う選択肢を削れた!

しかし状況は何一つ変化がない。
飛び道具で削られて飛んでも叩き落とされてじり貧である。

しかしダック使いは諦めない。
実はパワーウェーブは出が遅い。
硬直もまぁまぁある。

最初に考えられたのはダイブでのウェーブ抜けだ。
地を這う飛び道具なら、その上は空いている。
普通に飛び込んで落とされても、ダンシングダイブで抜けていけば?
名案のようには感じたが、しかしこれが安定しない。
パワーウェーブの技モーションはテリーが拳を地面にたたきつける。
つまり大きく屈みこむので、距離を見誤るとその上をダックが飛んでいく。
当たる事なく攻撃判定が消失し、硬直中にテリーが笑顔でこんにちわ。
立A刻みからの近D→弱バーンだったり屈C→弱クラックだったり
死亡確認である。

しかしダック使いは諦めない。
今度は距離調節である。

パワーウェーブで削られるのはかまわない。
しかし、ワンチャンスで飛び込みを通す位置さえ維持できれば
大きなプレッシャーをかけることが出来るはずだ。

離れすぎると遠Bで落とされる。近すぎると避け攻撃で落とされる。
めくりぎみで飛び込むとコンボが通らない。
下手するとコンボどころか固めも怪しい位置取りになる。
しかしそこにかけるしかなかった。
ダック使いはとにかく前に出る。
たとえ追い払われても諦めない。

前へ前へ、ラインを上げていく。

じりじりじりじり、前へ前へ


そこで焦ったテリーが追い払おうと遠距離Dでも振ってくれたら
用意したニードルローの出番である。
近距離でパワーウェーブなら思い切って飛び込みだ。

混戦時に飛びが通った。通らなくてもガードさせれた。
しかし接触判定のおかげでコンボが上手く決まらない

なら、投げてしまえばいい。

接触判定が前に出ているので、離れているのに近距離技が出てしまう
しかし逆に言えばそこに投げられ判定があるわけで、
少し遠いかな?と言う距離でも投げれてしまう。
これは大きな武器だ。

ニードルローや投げでとにかく転ばす。
それさえできれば次は置き攻めだ。
多彩な攻撃で翻弄してやるぜ!

これで勝つる!!!


そう私たちダック使いは確信したんだ。
弱ライジングタックルの隙の無さを目にするまでは。


そう、起き上がりの起き攻めを嫌うのなら、
無敵技で切り返せばいい。隆拳ガイルからの伝統だ。
なんなら本田だって頭突きを差し込んでくる。
当然、テリーならライジングタックルだ。
安直な飛び込みや小技重ねは返される。

そこで、ライジングタックル読みの目の前でガードだ!

おっと、距離によっては2~3回も削られるのか
こちらの体力にも気をつけねば、それにかなり距離を離されたな
しかし、これで確定反撃が・・・


ない


いや、厳密にはある。
ニードルローなら何とか、ターンチョップは空中ヒットのタイミングで
強ローリングも行けるか?

しかしどれも単発技だ。
そこからコンボとはいけない。

これではウェーブをかき分けて何とかテリーを転がして得たリターンとしては
あまりにも少なすぎる。そうあまりにもだ。

では、どうすればいいのだろうか?


これ以上語ってしまうと、来週末の世界大会に向けて、
我々ダック使いの手の内を晒してしまう事になるので語る事は出来ない。
是非、実際にミカドで世界大会を視聴、もしくは各動画配信サイトにて、
その結果を見守って欲しい。いや、決して何もないとか手詰まりとか、
そういう事ではない。ほんとほんと。いやまじで。あるから。対策あるから。
テリー使いたちマジ強い人ばっかりですぐ対応してくるから
手の内を見せたくないだけだって。ほんとに。いや、ほん・・・手詰まりかなぁ?

長くなるのでテリー編でいったん締め。

次回は要望があれば、そのキャラへのダックの対策10年を書きます。
元ツイートにでもコメント下さい!


2019/8/11(日)高田馬場ミカドにてガロスぺ世界大会があります
まだエントリーは間に合うよ!
http://mi-ka-do.net/ffwc2019/

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