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忍殺TRPG二次創作【ダーケスト・キング、ダーケスト・ソウル】

ドーモ、がーねっとです。
忍殺TRPG歴も3ヶ月目に突入し、日々色々な卓を楽しませてもらっています。なお手持ちのニンジャは10人に増えました。さらにまだ3か月というのが信じられませんが3か月経ってました。
忍殺TRPGやるまで「TRPG」というもの自体を全くと言っていいほどやってこなかった人間としては、TRPG楽しい!となると同時にいくらなんでも短期間に色々詰め込みすぎでは?という気持ちにもなっています。でもまあ楽しいからいっかあ!

少しずつキャラビルドについて考える余裕が出てきたので、「今度は〇〇の組み合わせ試したいな」というノリでニンジャが増えています。あとは募集要項で新規作成推奨されていると当然増えます。
それでもバイオニンジャや重サイバネ、ハッカーニンジャなど、試していないビルドが無限に出てくるから忍殺TRPGは奥が深いぜ!ここしばらくはサイバネ勢のダイスボーナスやハッカーの火力羨ましいな~と思っているぞ(基本生身勢)

さて、今日も元気にスレイト投稿です。今回のお題は初めて作ったニンジャの「ロウトン」……のソウルについてだ!

きっかけとしては先日、ここに投稿したスレイトを見たサーバーメンバーの方から「ソウルについて語るシナリオをやろう」とお誘い頂きまして、とりあえず特攻してきました。結果様々な設定が生えることとなり、何故かロウトンはマスターヴォーパルの素晴らしきニンジャクランの一員になりました。(正確にはヴォーパル=サンの弟子になった)(どうしてこうなった)

そんなわけであのフタツアタマヘビや忍殺を鍛えたマスターにしごかれていたロウトンですが、全てがうまくいったわけではありませんでした。
というのもシナリオ内で己のソウルと対話を試みる展開があったんですが、出目が冴えなかったのでロウトンのソウルは思ったよりめんどくさい奴だと判明し、同行してくれたPC(アトロシアス=サン)の助けがなければソウルの闇に呑まれて終わるオチになるところでした。邪悪をこれ以上極めてどうするんだお前は

そんな厄介ソウルに憑依されていると分かったロウトンは、今どのようにして過ごしているのか?ロウトンのソウルは一体どんな奴なのか?我々は今回の二次創作スレイトを通して、その一端を垣間見ることができる……かもしれない!

なお以下の記事を読むと登場人物が少し分かりやすいかもしれません。




 マスターヴォーパルの元で鍛えられ、己のソウルに呑み込まれかけてから数日。ロウトンは以前よりも明らかに「住人」の声が大きくなっているのを感じていた。
 聞けば、初めからずっと話していたのだという。そんな声は聞こえなかったと言うと、自分は其方だと返され埒が開かない。ロウトンは己のソウルに苛立ちを覚えたが、それも相手の思う壺に嵌っているのではないかと思うと怒り切れない。マスターヴォーパルの言う通り、自分は己のソウルを制御する力を備えていないのだと、改めて思い知らされることとなった。

◆◆◆

 トコロザワ・ピラーの廊下に羽が落ちている。ロウトンは何気なく拾った。薄茶色の羽。それが同期の髪色と合致することに気づくまでそう時間はかからなかった。
 何があったのかは知らないが、廊下には点々と羽が落ちている。ムシでも見たのか。転んで羽が舞ったのか。ロウトンは目についた羽を拾っていった。手の中に薄茶色の束ができた。
 何の変哲もない羽毛を、ロウトンは自分の住処に保管した。部屋は薄暗く、外のネオンが窓や扉の隙間から漏れ出ている。重金属酸性雨の雨音がBGM代わりに絶えず流れる。
 己のソウルが静寂を好むという話を思い出し、ロウトンは再び苛立ちを覚えた。アーケイド・ゲームセンターにでも行ってやろうかと考える。あの場所は静寂とは真逆だ。光も音も異常な程に満ちているあの場所なら、あの不気味な影も大人しくするのではないかと。
(なら、そこに集まるモータル共を殺せば良かろう)
「!」
 ロウトンが眉根を寄せる。ニューロンがチリチリと痛む。ソウルが反抗しているのか? 彼に今までこのようなことはなかった。ザゼンをし、石造りの神殿に沈んで以来、影の怪物が明らかに自我を持ったような気がしてならない。
(我はあの騒がしさは好まぬ。気が休まらぬのだ。しかし若き者があのように集まっているのは都合が良い。老いぼれの心臓より若者の方が美しいのは明白! 其方も分かるだろう、見たことがあるはずだ……何度もな)
 怪物は澱みなく言葉を紡ぐ。ミクトラ・ニンジャ。ロウトンに憑依したニンジャソウルの名である。
(我もまた老いてしまった。だから若人の血が欲しい)
「ああ、知ってるよ。年取ってる奴は中身も大体ボロくなってるから」ロウトンは忌々しげに呟いた。「でもテメェに心臓捧げるつもりはないからな」
(落ち着け! 我は其方に贄を求めているわけではない。話しただろう)
「テメェが楽しんでるのはいいんだよ。俺のやってることに文句言わないならそれでいい。でも、俺を乗っ取ろうとしたことはまだ許してないからな」
(ハハハ……乗っ取るか。我は其方よ。既に我は其方のニューロンに溶けている。あの老人にも忠告されたのではないか? 其方のニューロンはニンジャとして目覚める前の其方と全く同じとは言えぬぞ? しばし我の声が聞こえなかったのを見るに、其方の自我は希薄とは言えまいが……)内なるソウルが邪悪に笑う。
「……うるせえ。俺は俺だ。テメェが俺を乗っ取るって言うなら、俺はテメェを黙らせてやる」
(ハ! ハ! なんたる矮小な未熟者にしては威勢の良い子供か……ハハハハ……)
 ソウルがさらに高笑いを響かせる。こちらを下に見られているようで、ロウトンははっきりと不快感を覚えた。
(良かろう、良かろう……一度は死の淵に立たされた若人にしては、諦めを知らぬ者であるな。良い。其方の周りにいる数々のニンジャ達と共に、鍛錬に励むと良い。あの時我の邪魔をした白黒の影も……其方を鍛えたかの老人も……あの聳え立つ塔に集まるニンジャ達も……其方の手で死の国に誘われるのが楽しみだ)
 ロウトンが窓の外を見る。視線の先には、雨雲と煙と霧で輪郭が霞むトコロザワ・ピラーがある。
(ロウトン=サン。我の後ろ盾を得たからといって、研鑽を怠るでないぞ。……ナラク・ニンジャが生きているのならば、尚更よ)
「……ナラク」不意に持ち出された名を復唱する。「おい、あんた、あの変なニンジャのこと知ってるんだな? 何者なんだよ? あれは」
(……災禍。滅びの象徴。太陽を落とす者。彼奴の炎を食らえば我のような不滅のニンジャすら灰に帰す! 恐ろしい! 死者の主人たる我すらも、彼奴に焼かれれば死者に堕ちるのだ……無論其方もだぞ? ロウトン=サン)
「……」
 ロウトンはあのニンジャに接敵したチーム・ステゴマの面々を思い出した。マルノウチ・スゴイタカイビルの屋上で出会ったバイカーヘルメットの男は、まだ生きているだろうか。
(しかし其方はまだ生者の身。いずれ我のように不滅の力を得るやも知れぬ。それでも……あの化物を滅しようなどと思わないことだな。少なくとも、今のうちは)
「ああ、思わないよ。まずあんたを従わせる方が先だから。あのニンジャを倒すかどうか決めるのはその後でいい」
(まず我を……冥府の王を従わせると? よくもまあ……無知故の勇敢さよの。其方はまだ我の全てを知らぬ)
「そうしなきゃ、どうせ王様に支配されるんだろ? 俺はテメェの奴隷じゃねえんだよ」
 ロウトンが刺々しい調子で吐き捨てると、ソウルが含み笑いを漏らす。(奴隷などとは思っておらぬ。其方は我なのだから)
「分かったら黙って俺のやってること見てなよ。見たいんだろ? 人が死ぬとこ」
(勿論。破滅こそ命が至る至高の頂ぞ)
「だったら俺の好きにさせてくんない? もし俺の趣味にまで文句つけるようになったら、それこそあんたを黙らせる。一生な」
 ソウルの声が薄れていく。ロウトンが目を覚ますと、時刻はウシミツ・アワーとなっていた。

◆◆◆

 廊下に羽毛が落ちている。壁紙がわずかに焦げ、床はにわかに湿り、甘い匂いを放っている。数十分前、聞き覚えのある悲鳴と騒音が聞こえた理由を察して、ロウトンは薄茶色の羽を拾った。
 彼が羽を弄びながら歩いていると、内側から声が這い上がってきた。まただ。事あるごとに顔を出したがるのは、修行のせいなのか、元々このような頻度で接触を試みていたのか、ロウトンには判断がつけられない。
(梟か。美しいな。この塔にはこんなにも素晴らしき材料があったとは)
「何の?」
(羽飾りよ! 王には冠が必要であろう)
「そういえば頭になんか付けてたね、あんた」
(他にも、この近辺には良質な魂が多く蠢いているように感じられるな。その上、どれもこれも死の匂いを纏っておる。良きことだ。我の子供達は見当たらぬが……なに、其方の目を持ってすればいずれ出会えるだろう)
「あんた子供いるの?」
(ハハハ……喩えよ。我が子とは即ち、我の配下ぞ。我の掲げる美しさに魅入られた者共。其方も多くのモータル共を死の世界へ誘ったはず)
「……ああ」
 ロウトンはサングラスの位置を調節した。ニンジャになって以来タマムシめいた光を孕むようになった瞳を、彼は常々鬱陶しく思っている。「この目もあんたのせいかよ、厄介ごと増やしやがって」
(厄介とは何事か。それはいわば死と闇を従える力。いずれは其方もこの力の偉大さを知るであろう)
「この変な色の目にそんな力あんの?」
(それは其方次第である。今は敵をただ殺すことしかできまいよ。しかしもし其方が我を受け入れるのであれば、其方はいずれ影の兵士を生み出す主となろう。あるいは其方が死そのものとなり、この地に生きる者共を等しく闇に堕とすやもしれぬ。……それにしても、この地には随分とニンジャが多い)
 ソウルの声がニューロンを揺らす。ロウトンはいささか気分が悪くなる。石造りの神殿でこちらを捕えようとした時のように、突然何かしでかすのではないかと身構える。
(カラクリに身を包んだ女と、顔を隠した男と、紫の悍ましい怪物と……あとは何がいたか。ライオンの死を共に見た、あの臆病な子供はまだ息災か? 不可思議なジツを使う小娘もいたな? この間我の邪魔をした忌々しい魔物はまだ生きているのか?)
 ソウルはさらに饒舌に語り出す。奇妙だ。ロウトンは違和感を覚えた。これも自分を「器」にするための罠か。あるいはこの不可解なニンジャのジツが成せる技なのか……。
「……怪物とか魔物って言ってるけど、あんたも十分オバケめいたツラだろ。目玉のネックレス作ったりさあ……」
(失敬な! 我をあのような醜き者共と同じにするか)
「テメェの美の基準なんか知るかよ!大体――」

「あれー、どうしたの? ロウトン=サン」

 ロウトンが怒りに叫びかけた時、不意に何者かの声が耳に入る。彼は声の方角へ振り向いた。見知った顔が立っていた。
「誰かと話してるかと思ったら、誰もいないねー。独り言?」
「…………」
「ま、いっか。えーっと、もし今時間あったら、掃除手伝ってくれたり……しない?」
 彼女は少し申し訳なさそうに手にした掃除用具を示した。薄茶色の髪と、柔らかなマフラー。ハート型のピンバッジには小さくクロスカタナのエンブレムが彫られている。ロウトンがソウカイヤに所属して以来、何度か任務を共にしたニンジャの一人である。
「いやー、突然ムシ見ちゃって、飲み物こぼしてさ……偶然いたラグバーナー=サンも焦って燃やすから、後始末しろって怒られたんだよねー……。簡単には掃除したけど、まだちょっと残ってて」少女ニンジャが笑った。
 その瞬間、ロウトンのニューロンが突然締め付けられたように痛んだ。今まで感じたことのない苦痛にロウトンは耐えきれず昏倒! 当然、目の前のニンジャは驚愕!
「グワーッ!?」
「アイエッ!?」
 彼女はしゃがみこむと、床に倒れたロウトンを心配そうに見下ろした。マフラーの裾が床に伸びたロウトンの体に触れる。彼の手元には、廊下で拾ったフクロウの羽が一枚。
「だ、ダイジョブ!?」
「……フクロウ=サン……」
 ロウトンはどうにか同僚の……フクロウめいた少女ニンジャを見上げた。ニューロンが何かを伝えてくる。警告? 否、命令だ。強制的に体を動かそうとしている。ロウトンは抗った。彼の体から骸骨めいた黒い手が伸びかけ、消える。
(おお、其奴か! 其奴の羽か! なんたる冠に相応しき美しさ!)ロウトンが苦悶に呻く中、ソウルが興奮した叫びを上げる。(其方、成すべき事は分かっておろう。まさか……ここに来て情けをかけるなど言うまいな)
 彼は落ちた羽を手繰り寄せた。それは何の変哲もない羽に過ぎない。しかし彼はそれを手放せず、また、さらにそれを求めようとしているのを感じた。
 誰が?
「畜生……!」
 ソウルが邪悪な笑い声を上げている。冠が欲しいと訴える声と、同僚の不安げな声が重なる。ロウトンは拳を固く握った。歪む視界の端で、彼は黒い骸骨が背中にのしかかる幻覚を見た。




……という感じで、ロウトンとソウルは邪悪の趣味が合うにもかかわらず隙あらばソウルが肉体のコントロール権を奪おうとする関係性が築かれています。正直公式の主人公と似たような感じになってるけど大丈夫なのかロウトン!
ただ自称「冥界/死者の王」だしアーチ級ではあるので、自我が残っているなら他のニンジャ(宿主含む)を従わせようとするのはある種自然なことかもしれない。元ネタである「ミクトランテクトリ(アステカ神話における冥界の神)も死者の上に立つ存在であったでしょうし。

あと終盤で同卓メンバーのニンジャであるホロウオウル=サンが友情出演していますが、これは「ミクトランテクトリがフクロウの羽飾りをつけている」という記述を見つけたことに由来します。羽飾り作るだけなのにどうして肉体のコントロールを奪おうとするんですか?(純粋な疑問)

なおスレイトの終わりだけ見ると不穏ですが、「仲間(=同卓させてもらっているニンジャ)に手は出さない」と決めているのでホロウオウル=サンの身には何も起こりません。実際ごあんしんです。(クミテで戦う・仲間が他人にボコられてるのを見るのは別です)
多分この後気合でソウルを黙らせたか、他のニンジャが異変を察知して助けてくれたか……とにかく恐ろしい展開にはならないのだ!


◆忍◆ニンジャ名鑑#XXXX【ミクトラ・ニンジャ】◆卓◆
フクロウの羽飾りと目玉の首飾りを纏い、「死者の王」を自称する邪悪なニンジャ。死と闇に美しさを見出し、自らのジツで他人を殺めることを楽しんでいた。殺戮の後に訪れる静寂を愛する。ずる賢く傲慢だが、自分の感性に共感する者には友好的。

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