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夫と交際0日婚した話

2013年に結婚したので、結婚生活はもう8年目になる。
結婚した翌年にすぐ双子が生まれ、新婚生活はほとんどなかった。
2年後にムスメ、更に3年後に息子を授かったので、婚姻期間イコールほぼ子育て期間。
ただ不思議なことに、新婚気分が薄く長く残っているとでもいうか、いまだに甘やかな感じは残っていて、おかげさまで夫婦仲は円満だ。毎日キスもするし。
もっともこれは「子育てチーム」になろうとすると、本当に有能なチームメイトになれてしまうので、夫婦であり続けるためにあえてそうしている部分もあるけれど。

毎日キスしていることはさらっと書けても、夫との馴れ初めを書くのは気恥ずかしい。
でも今日は書いてみようと思う。
夫と私は、ちょっと珍しい交際0日婚だからだ。

私たちは取引先の担当者同士として知り合った。
プライベートな関わりは一切ないまま、仕事でやりとりをすること3年。
私の方は実は、チャンスがあれば……と思っていた。
だってすごく仕事ができてすごく変人で興味深かったんだもの。
でもそんなチャンスはまずないだろうと思っていた。
夫も、いいなと思っていたけど自分は年上だし相手にされないだろうと思っていた、と言っている。


2012年暮れ。
28歳独身の私は、結婚に焦り、仕事も不調で、実家で泥酔してくだを巻いていた。
親にも「あんたねえ」と呆れられる始末。
明けて2013年。
不思議と今年はいいことがある気がする。おみくじもみんな大吉だし。

2013年1月上旬。
夫の誕生日を知っていたので、ちょっとしたプレゼントを渡す。
その際ちょっとした言葉の綾から、食事に行くことに。

夫が設定した食事の日は1か月後(なんでそんなに先にしたんだろう)。
その間メールのやりとりをしていた。
1日1通。文通か。
内容は世間話だけど、仕事以外のやりとりは初めてで、正直に言うと浮かれていた。

2月9日
二人で食事に行き、意気投合。
それも趣味の話とかではなく、なぜかお互いの生い立ちのような深い話。
あ、この人と結婚するなとなぜか思う。
この日は付き合おうという話も何もなかったのに。

2月14日
バレンタインだったので待ち合わせてデートに。
食事の時夫が「5月の(私の)誕生日にはキメたいですね」と言うので、プロポーズだと勝手に思い込む。
夫としては、その日に「付き合って下さい」と言うつもりだったんだとか。
3か月も先ですけど。悠長な……。
この日初めてキスをする。

その後メールのやりとりをしているうちに、どこかで夫が「あ、プロポーズだと思ってる」と気づく。
「なら5月まで待たなくてもいっか」ということになる(鉄は熱いうちに打て的な?)。

2月24日
この日初めて手をつないでデートする。
夜、食事に行った夜景の綺麗なレストランでプロポーズされる。


さて、大急ぎで式場を決め、招待状を出し、5月の私の誕生日に入籍して、挙式しました。

ほら付き合ってない。

取引先だったので、周りには「一体いつから……」と言われたけれど、

いつからなんてない。
隠してなんかないのだよ。


その後双子が生まれると、夫は「子育ても一緒にやるから」の言葉通り、保育園の送り迎えも毎朝一緒に行き、子供の療育だろうが通院だろうが何でもこなしてくれるようになった。
保育園の先生やよそのお母さんが「あそこのお父さんはちょっと特殊だから……」と言うくらい。
家事は料理以外何でもできる(分量としては夫の方が多い)。
その上で仕事の業績も爆上がりさせ、昇給している。
メンタル豆腐の私が、なんとか4人も育てられているのは100パーセント夫のおかげ。
本当に素晴らしい人と結婚したと思っている(夫もそうだと良いのだが)。
双子が生まれた後は、育児に追いつめられていたのもあって多少ケンカもしたが、どう接すればうまくいくか、何が地雷かが分かった後はうまくいっている。
小さなことでも「ありがとう」をちゃんと言うのがコツ。
何か困ったことが起きた時、夫は、私が一番幸せでいられる方法を考えると言ってくれる。
実際には子供が最優先になったとしても、私を蔑ろにしないという姿勢が安心させてくれる。
前述の通り、夫婦仲は円満だ。


私たちが交際0日であっという間に結婚したのは、それぞれ辛い経験をして、それが元で「独りぼっちだ」という孤独感、喪失感を抱えて生きてきたからだと思う。
まさしく「あなたに出会えてよかった」と言える相手、そして言ってくれる相手を求めて生きてきたのだ。
「私たちは二人で一つ」
そう感じたら、迷うことなどなかった。
そして、やっと出会えた「たった一人の人」だから、精一杯大切にしているのだ。

新婚の頃「私たちは死んだ後も二人で一つだよ」と話していた。
少し気恥ずかしいけれど、今もそう思っている。
これからもきっとそう思い続ける。
夫こそが、そして夫にとっては私が、孤独という長いトンネルから救い出し、光溢れる世界を見せてくれた人だから。

だから、あなたに出会えてよかった。

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