意書 end contents
みんなの熱狂から音だけを抜いた様な
私の目に映るものはぜんぶそんな感覚だから
彼らの心の動きなんてわかるわけがない
歴史という
キメラの継ぎ目がわかるくらい
時の隔たりを生きたよ
それを
流行りという絵の具で彩るアナタたちを
私は早送りでしか見送れない
今という瞬間に
焦点を合わせられなくなった
ドレッサーの引き出しの中で
隅っこにうずくまってる
亡くした自分の口紅
捻って現れたその輝きは
いつしか
自分が諦めた色だった
もうリアルが魂から剥がれていて
身体の中で
寂しくて泣き声を上げることも
無くなった
浜辺に打ち捨てられた
年代物のレターボトル
何度も冷たい夜に怯えて
昼間の灼熱が過ぎるまで
ぎゅっと目を閉じて
耐えていたのに
結局
知らない間に波にさらわれて
知らない場所を彷徨う
私が語る歴史も
継ぎ目から血を流してる
私だけの愛しいキメラ
痛く無いよ?
傷だらけで部屋を出たあの人が
最後に笑顔のしおりを
挟んだ言葉
その言葉を言わなければいけなかった
意味を大人になって知る
そう言えば
つぶやいてるうちに
乾いていくからだよね?
慰めもマヒしていく
それは名前も形の無い
心っていう曖昧な寂しさに似てる
まるで捨てられないまま抱きしめてる
ライナスの毛布
毛羽立ち色が落ちても
私の涙や夜を覚えてる
わたしだけに触れる、私のアルバムとして
私が言葉を紡ぐ理由
どこかに、何かに自分を投影しても
何ものにも混ざらないようにする
小さな必死さを
他の太陽が私の影を消しに来る前に
私がいたという影を穴の様に残していくのは
誰かに見つけて欲しいから
私の中の私を
たぶん最後のページは
私が読むことは無いけれど
どうか
深く、深く想像して
自分の中の闇を捉える
手掛かりにしたり
自分がいる場所を外から見れる
誰かからのサーチライトみたいに
そのままでも
バラバラでもいいから
私があなた達のこれからと
手を繋いで歩ける時
私の明日は途切れずに
足跡を作っていける
想像できるんだ
ありがとう
話しを聴いてくれて
これで
私がいなくなる理由と
あなた達が歩き出す理由が
一致する
まだ見ぬ未来のアルバムに
祝福と
何者にも侵されない
自己愛で満たしていいという
許しを
どうか
信じて続けて下さい
ずっと
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