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2021年全日本マスターズTT

コロナ禍でレースの中止が続き、しばらく自転車から距離を置き、トレーニングをせず家族や仕事。そしてオートバイに夢中になっていた。

それとかなりキツいCOVID-19にかかり、回復後にワクチンを2回。全く自転車に乗らない1.5ヶ月があり、そんな中徐々に世の中がアフターコロナへ向かい、全日本マスターズTTが開催とアナウンスされた。

ウィルスにいくらか破壊されたであろう細胞と、トレーニングをしてない鈍った身体からどれだけ戻せるかわからないのでエントリー締め切り日ギリギリまで参加するかを検討する事に。

まずは溜まったトレーニングログを今年初めてアップロードするところから。今年の走行距離は2000km程度だった。

久しぶりに朝練でペダリングしてみるも脚で無理矢理踏んでしまいスピードも45km/h出すのがいっぱいいっぱいで、10分以上高強度で踏めない。

8月末から1ヶ月かけてようやくハラから踏む懐かしい感触が戻ってきた。

勘を取り戻す為10月16日の実業団の霞ヶ浦TTにエントリー。仲間から「目標は?」と聞かれ「入賞できるかできないかくらいかな。」と答えた。

走り終わった時点ではトップタイムだったけど、チームの仲間に「感覚的に10秒足りない。多分この先タイムを抜かれる」と話したが、予言通り優勝タイムはピッタリ10秒自分より速かった。リザルトは5位入賞。

この辺の感覚はあまり失われない様だ。

そのまま練習を積んでいくと走る度にどんどん走力が戻ってきた。2019年の力は無いが戦える程度にはなったかな?と思い、締め切り日ギリギリに全日本マスターズTTにエントリーした。この時点で今年の走行距離は3600kmだった。

2019年の経験と試走を繰り返したのもあり、コースを完全に記憶し、自分なりの攻略法を考え、頭を伏せてエアロを優先しスピード重視に走るポイントやダンシングで駆け上がるポイントなどを決めた。

実際にレースが始まってみると2019年よりはるかに上手に走れてる感触を掴んだ。「脚が軽い!身体が軽い!今、間違いなく速い!」前回のタイムを更新できる予感。

予定通りのポイントでエアロを意識し頭を下げて、最大限にペダリングの感触にフォーカスし快調に飛ばす。

その時!突然天地が分からなくなり自転車と身体が離れた。

前を見ずに頭を伏せていたため縁石に乗り上げ、土でできた壁に激突した。

直ぐに起き上がり走り出そうとしたがハンドルが曲がっていて走行不能になり全日本マスターズTT連覇は絶たれた…

もともと大怪我するか40歳になったらレースはやめるつもりでいたので「自分の自転車レースは今日で最後かなぁ」と考えながら回収車を待つ。

病院で処置をしてもらいながら「色んな人に心配をかけてしまったけど、これで楽しくもキツい世界から抜けられる気がしてホッとしてる自分がいます」と話しをした。

宿に帰り床について何度か目が覚める。夢うつろの中、あの快調に走った最高の感触、傷んだ体と機材の情景が交互に蘇る夜だった。

子供達からおはようの動画が届き、申し訳なさで涙が溢れかけた。

宿のカフェでモーニングコーヒーを飲んでいると、スタッフさんが2019年も泊まった事を覚えていた様で声をかけてくれた。動画を観た直後だった為か、つい子供達の事を話してしまった。

「3児の父でありながらいい歳して自分の可能性を追い求めるより、子供達の可能性のサポートをしてあげるべきと考え始めている。一年早くその時が来たのかも」と。

スタッフさんが少し考えてからこう言った「相楽さんの可能性を追い求める事がお子さんの可能性を広げてる気がしますけど。私のアスリートのイメージは復活劇なんですよね。なので来年待ってます。」



宿をあとにし、あのままレースを走り抜けられたらと妄想しつつ、子供達の動画をもう一度観ながら船に心と身体を揺らされながらなんとなく今の気持ちを書き残したくなりました。



ご心配とご面倒をおかけしてしまいました方々へ。ありがとうございましたと同時に申し訳ありませんでした。重症との噂が立ってしまったそうですが、実際には大した事なく元気です。またどこかでお会いできましたら笑い話になればなと思っております。今後ともよろしくお願いします。








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